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2010年 12月 09日 ( 1 )

世の中、不公平すぎないか No.913 10/12/09)

 芸能界のことは知らないし、興味もないのだが、このところ海老蔵という酔っぱらいのことばかりで騒いでいる。マスコミはどうしてみんな同じネタを同じようにしか伝えられないのだろうか。多分、制作サイドの能力的な問題が大きいだろう。どの局も同じことをオウム返しに放送しているのにはうんざりする。
 たまたま名門の家に生まれたボンボンが、大酒飲んで暴れ回った。こんな話はどこにでもあることで、少し前にはスマップの草なぎ(難しい漢字で変換不能)なんとか君がすっぽんぽんで暴れ回った事件があった。酒で失敗した人は彼らだけでなく、ごく普通の人でもよくあることだ。酔っぱらって殴り合いの喧嘩をして、一方に逮捕状が出ているというのもおかしな話で、喧嘩両成敗。どちらが先に手を出したなんてことはささいな問題にすぎない。それをテレビが何時間にも渡って放送することではないだろう。
 海老蔵という人間を知らないので、テレビで見た印象だけの判断だが、たまたま歌舞伎界名門の家に生まれただけなのに、ちやほや育てられた甘ちゃんという印象がぬぐいきれなかった。人間に格差があるのは当然だが、どうも家柄を鼻にかけている雰囲気がちょっとした仕草に出ている気がして、あまり気持ちの良い印象を受けなかった。
 棚ぼたでその家に生まれただけの人間が、家柄を笠に着る権利はない。大部分の一般人から見れば、威張り腐った不愉快な良家の坊ちゃんにしか見られないだろう。大地主の伯爵の子として生まれたトルストイのように、恵まれない人に手を差し出す気持ちが少しでもあれば、「いい人だ」と思うが、海老蔵にそんな優しさは感じられない。彼は逆に人を見下すようなことをしたのだろう。こんな人間がいると思うと、世の中公平ではないな、と思ってしまう。
 彼の謝罪会見なるものを見たくもなかったが、どのチャンネルでもやっていて小生もつい見てしまった。それで感じたのは、心の無さだ。揚げ足を取られぬよう慎重に言葉を選びながら語る態度は演技に見えて、謝罪の気持ちがこちらに伝わってこない。儀式だからマスコミに顔出ししてこの件は一刻も早く終わらせたい、というニュアンスしか感じなかった。
 しかし、今回の彼の反省は嘘っぽいとはいえ、舞台に穴を開けるといった迷惑をかけており、心の中では「酒で失敗した」と思うものがあるはずだ。外からは見えないが、彼の心の中にはぐさりと突き刺さった深い傷が残ることだろう。そして、傲慢な気持ちを少しでも改め、心を入れ替えようと思う気持ちがあるなら、この事件は彼を深みのある役者に育てる契機となることだろう。傷が癒えてくると、他者の痛みが分かるようになり、それが自分を磨く肥やしとなるのだ。
 物事は長いスパンで考える癖をつけよう。短期的には頭にきても長期的には全然別な評価につながることがありうる。若気の至りという言葉がある。まだ成長しきっていない愚かな若者はミスを犯すが、それを水に流し、後の成長を見守るのが大人の役割だ。
 しかし、それでも彼の悪癖は直らないだろうと不信感を抱く人は、ヒルティが「眠られぬ夜のために」の中で、世の中にいる悪い奴が最終的にはどうなるかを語っているところを読んで、憤慨する気持ちを鎮めたらどうだろうか。
d0151247_22111972.jpgこの世には 数多くの不正が少しも罰せられることなく行われているように見受けられる。こうしたことは正義の神様が本当に実在しているのかということを、疑わせる元にもなっている。だが、そのような意見に、私は次のように言うことにしている。地上で罰が下されないことがあるのは、むしろこの世ですべての勘定が清算されるからではないからだ。なおその先に別な(死後の)生活があるにちがいない、ということがまさしく想像出来るではないかと・・
 この世は不公平でも、あの世ではきっと納得いくことを神様はやってくださると思えば、気持ちは楽になるだろう。

左の写真はロヒール・ファン・デル・ウエイデンが描いた「最後の審判」(フランス・ボーヌ施療院)のセンターパネル。死んだ人間の魂が清らかかどうか大天使ミカエルが秤にかけて調べ、清い人は天国へ、汚れた人は地獄に堕とされる。
by weltgeist | 2010-12-09 23:01