2008年 11月 10日 ( 1 )

度し難き人たち (No.245 08/11/10)

 ガソリンの価格が急激に下がってきた。9月頃は1 リットル180円くらいだったのが、今日見たら124円まで下がっていた。年末には200円まで上昇すると予測されていたから、これはうれしい誤算で、本当に有り難い。うなぎ登りの価格上昇で問題になっていた輸入食料、穀物相場も同じようにこれからは緩和されそうだ。
 値段が下がったのはアメリカの金融危機で原油価格が暴落したことが大きい。これに連動して円高にもなったから、余計価格が下がったのだろう。その原因はサブプライムローンの破綻と言われるが、構造的には投機が生み出した歪みがここで一気に弾けただけである。価値や需要を無視して価格を吊り上げた結果、実際の価値以上に高騰し、それが世界経済を滅茶苦茶にした原因となってしまったのである。お札をガンガン刷ってインフレを起こしたことと原理は同じである。今回はそうした行き過ぎが本来の水準まで引き戻された調整にすぎない。これはしごく当たり前の経済原理である。投機資金で原油をこのまま右肩上がりに吊り上げようと思っても、そうは問屋が卸さない。最終的には本来の価値に戻るのである。
 それにつけても腹が立つのは、適正な価格を無視して値段を吊り上げた投機筋や、それを利用してマネーを稼ぎまくった産油国、資源保有国、一部金融資本だ。世界中の消費者が困っているのを助けるどころか、原油価格が下がったら生産調整して値段の下落を防ごうとさえした。こうした産油国の身勝手さは非難されてしかるべきだろう。価格高騰で苦しめた人から、さらに身ぐるみ剥がしてまで金品を奪おうとするのと同じ行為である。こんな連中が勝手なことをしまくったあげくに大損を食らった。天罰てきめんで、彼らの傷は相当深いと思われる。ところが、そのとばっちりが世界同時不況の波を生み、無実な一般市民までも苦しめようとしているのである。
 資源や食料のようなものはそれを産出する国の所有物であると同時に、世界中の人間共通の所有物でもある。これは地球全体の財産であり、独占することは許されない。共有して管理すべきことであると思う。だが、何の労働をするわけでもなく、ただ金を右から左に動かしただけで利ざやを稼ぐごうとするやからが、それを独占しようとしたところに危機を生んだ原因の一端があったと言える。もしこの危機を生み出した張本人達が、今回生き残ったとすれば同じようなことはまた起こるだろう。今後は彼ら投機資金が手を出せないようなシステムをこの機会に構築することが望ましい。こうしたパラダイムシフトが起これば未来は多少明るくなるかもしれない。だが、人類にそんな大それた事がうまく出来るだろうか。
 今回の危機は百年に一度という大規模なものと言われていて、今後未曾有の大不況がやってくるだろう。しかし、それはいずれ克服され、また世界経済は上昇に転じる時がくるはずだ。だが、今回の危機で恐れるのは、資源高騰で芽生えた原油に頼らない他の代替エネルギーの開発や、資源の無駄遣いを排する運動が、ここでまた頓挫することだ。喉元過ぎれば熱さを忘れる。第一次石油ショックの後、再びガソリンを湯水のように使い、円高を利用して世界中から食料を買いあさった日本。我々が再び同じことを繰り返せばそれは度し難い馬鹿者の行為となるだろう。
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かって一斉を風靡したアメ車は、ガソリンを道路にぶちまけながら走るほど燃費が悪いと言われた。ガソリンが安かったアメリカだから許された車だが、今はほとんどこんな車を見なくなっている。身体の大きなアメリカ人が日本車のコンパクトカーに乗っているのを見ると、ちょっと可哀想な気もする。
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by weltgeist | 2008-11-10 23:49