2008年 10月 30日 ( 1 )

アメリカ旅行9・ザイオン国立公園 (No.234 08/10/30)

 ブライスキャニオン国立公園滞在二日目は、ブライスポイントからの朝日を見るつもりで、朝7時に起きる予定だった。だが、ここはユタ州だ。アリゾナ、ネバダとは1時間の時差がある。7時はアリゾナの6時を意味する。ということは一昨日までアリゾナにいた小生には眠いのだ。目覚ましを掛けたが、見事に寝過ごし、すでに外は明るくなっている。こうなれば諦めるしかない。ま、昨日夕暮れのシーンを撮影できたからと、再びベッドに潜り込み、9時頃起床。
 外に出て驚いた。雪が降っている。昨日の夕方は少し寒かったが、それでも気温は20℃を越えていたはず。それが今朝は一転して吹雪である。ダークブルーのレンタカー、トヨタ・カムリが真っ白になっている。ということは夜明けの撮影に行かなくて正解だったことになる。ブライスキャニオンはグランドキャニオンと違ってカーブの多い山道である。雪が積もっていれば危ないのだ。
 結局この日の午前中予定していたブライスキャニオン再探訪はキャンセルして、隣のザイオン国立公園に向かう。ザイオンまで距離的には1時間半ほどで行けるとガイドブックには書いてある。しかし、これはあくまでもガイドブックの時間。何処にも寄らず一直線にザイオンまで行けば1時間半で行けるかもしれないが、見る物全てが新鮮な我々にとっては、旅の途中も立派な観光道路である。面白い物を見つけたら即停まって、見学していく。これが気ままな個人旅行の良さでもある。そんなわけでザイオンに着いたのはお昼過ぎ。東ゲートで25ドルの入園料を払い、しばらく行くと、いよいよ公園の大きな岩山が見えてきた。
 日本でザイオンのことを教えてくれたYさんの話では「ブライスとザイオン、グランドキャニオンはそれぞれ全然違った景色をしていて、どれも素晴らしい」と言われたが、確かに今まで見てきたグランドキャニオンやブライスキャニオンとは全く違った、大きな岩だけで出来た山の塊りという感じである。これがザイオンの特徴なのだろう。
 ところで、ザイオン国立公園は、車で奥までいくことは出来ない。バージン川という渓谷の左右にある巨大な岩山を、公園の無料シャトルバスを利用し、途中下車して歩いて見るしかないのである。公園の中にはハイキングコースがいくつも作られていて、足の丈夫な人はこれを歩くし、丈夫でない人はバス停周辺を観光したら、次のスポットまでまたバスで移動するというのがこの公園の楽しみ方になっている。そのため、シャトルバスは15分おきくらいに来て、どんどん観光客を好みのポイントに運んでくれる。
 我々は初日はカーメルハイウエーにある「キャニオン・オーバールックトレイル」、翌日は「ヒドゥン・キャニオントレイル」という、二つのハイキングコースを歩くことをメインに計画を立てていた。
 「キャニオン・オーバールックトレイル」の方は最初の登りが岩の急な崖でややきついが、その後はゆるやかな登り坂で、最後にザイオンの山々がパーッと見え、眺望も素晴らしかった。しかし「ヒドゥン・キャニオントレイル」の方はかなり激しい登りと、高度感のある微妙なバンドのトラバースや涸滝の登攀があるハードなもので、こちらを登った後はヘトヘトになってしまった。道は垂直の岩壁に幅が1mもない非常に細いもので、しかも、砂岩のバンドの上には砂が乗っていて滑りやすい。下は数百mもの絶壁になっているからスリップすれば即死である。ところが、そんな危険と思われる所でも鎖のない場所が結構あり、高所恐怖症の人は足がすくんでしまうだろう。しかし、ここで墜ちてもそれは自己責任の範疇に入るようだ。トレイルの入り口には各種の危険や歩行時間、高低差などが書かれている。死にたくない奴は登るな、というわけで、自信のない人は歩かなければいいのだ。
 一般車両通行を禁止し、公園の核心部分は無料のシャトルバスで、各ビューポイントを見させて行くのも、国立公園の中を排気ガスなどで汚染させないための処置であろう。米国の自然保護についての考え方の一環が分かる気がした。バスは15分おきにやってくるから、車が無くても全然不便な感じがしない。むしろ、何本もあるトレイルの起点でバスを降りて、次のバス停までトレイルを歩くようなコース設定がいくつもあり、便利でもあった。
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キャニオン・オーバールックトレイルを登り詰めると、突然視界が開け、ザイオンの峰峰が見えてくる。このトレイルの登りはたいしたこと無いから体力の無い人にもお勧めできる。
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ヒドゥン・キャニオントレイルの途中から見た、「グレート・ホワイトスローン」。白い一枚岩は世界最大級の大きさで高さは732mあるという。
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写真左 今回のアメリカ旅行は蝶のシーズンが終わった時期のため、17日間でわずか数頭の蝶を見たにすぎず、たった5カットしか撮れなかった。そのうちの4枚はピンボケ。残ったこの1枚がアメリカを代表する蝶・オオカバマダラの飛翔シーンである。蝶オタクの小生にとって、一枚だけでも撮れたことは幸運だった。
左下 ザイオンのトレイルは危険な崖のトラバースでも鎖が無いところがある。岩の上に砂が乗った道は滑りやすい。足下が百m以上切れた崖を歩くときは注意が必要だ。ヒドゥン・キャニオントレイルにて。
右上 公園入口のスプリングデールの町で泊まったホテル Bumbleberry Inn 。このホテルの裏山からして迫力がある山が迫っていた。
右下 「司教の宮殿」と呼ばれる場所にそびえる3つの岩峰は左からアブラハム、イサク、ヤコブと旧約聖書に出てくる人の名前が付けられている。そもそもザイオンという名前からして、旧約聖書で言う「シオン」のことである。きっと公園や山の命名者は聖書に出てくるゆかりの地を思って名前を付けたのであろう。
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ウイーピングロックの垂壁に3人のクライマーが取り付いていた。ほとんど垂直の壁を人工登攀で登っているところを300㎜のレンズで狙ってみた。中は170㎜、右は70㎜にして同じ場所をそれぞれ撮ったもの。一番右の70㎜が人間の肉眼で見たものに最も近い。肉眼だと人間はゴマ粒くらいにしか見えない。
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夕方食事に出たら、「ウエストテンプル」の一部と思われる岩壁が赤く輝いていた。こうした景色を見つめていると何か崇高な気分になる。
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写真左 ザイオンのシャトルバスで行ける最終地点がここ、「シナワバ寺院」。これから先はバージン川を遡行して上流に行くのだが、しばらく行くと両岸が6mくらいの狭いゴルジュになり、左右の岩壁は600mもの高さになるという。そのため、ここを「ナローズ」(狭い場所)と呼んでいる。

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by weltgeist | 2008-10-30 23:42