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2008年 08月 30日 ( 1 )

この道はいつか来た道 (No.192 08/08/30)

 日本経済に黄色信号がともり始めている。実感はなかったが、いままで景気は上向いていて、良かったのだそうだ。「好景気」の長さは戦後最長だったという。一体どこが景気が良かったのか、苦しいことばかり続いた我が家には、ついにその実感がないまま「不景気」に移行しそうである。不幸なことに好景気の実感は最後までなかったのに、不景気はひしひしと感じることが出来るのだ。
 どんどん悪くなる景気に、危機感を募らせる政府・与党は昨日「安心実現のための総合対策に関する会議」開き、緊急経済対策を発表した。生活不安を抱える人たち、中低所得層を対象に所得税などの一定額を軽減する定額減税を2008年度中に単年度の措置として実施し、高速道路料金の引き下げや中小企業向け信用保証制度の拡充による資金繰り支援なども盛り込んでいる。
 だが、その実体は民主党の鳩山幹事長が言うように「国民の歓心を買うために打ち出してきた選挙対策にすぎない」のではないだろうか。自公は見え見えの選挙対策として、「バラマキ」をやり出したとしか思えない。しかし、民主党でも昨年の参院選公約で、子ども手当の創設や農業者の戸別所得補償などの政策を発表しており、与党から「バラマキ」と批判されていた。どちらも同じ穴のムジナという感は否めないのだ。
 我々庶民は減税や様々な優遇策が本当に効果のあるものなら歓迎だし、嬉しい。税金が減ってくれば、生活も少しは楽になるだろう。しかし、過去に繰り返された景気対策を思い出してみると、いずれも一時的なカンフル注射に過ぎず、効果はほとんど無かったと言える。むしろその後に来る悪影響の方が問題となった。膨大な財政赤字だけが残ったのである。
 98年、大銀行が破綻の危機にあるとき、小渕内閣は公共事業中心の経済対策を赤字国債の発行でまかなった。これに個人所得税、法人税の減税までくっつけた大バラマキ刺激策をやったのだ。我々は確かにこの経済対策で恩恵も受けた。しかし、それで景気が上向いたかというと、首を傾げざるを得ない。むしろ、国と地方の借金を増やし、政府はその後自由な対策も打ち出せないようになったではないか。これが、結果としてどれだけ日本の景気の足を引っ張ったか。また、我々は膨大な借金のツケとして、様々な福祉予算を削りに削らされて今に至っているのだ。
 福田首相は「財政規律を堅持し、赤字国債の発行は行わない」と言うが、公明党の押した定額減税の財源はどこから持ってくるのだろうか。恐らくは国民が忘れた頃に赤字国債を発行してくると想像される。小泉内閣以降、財政再建路線を堅持してきた自民公明連立政権が再び借金を作る道に歩み出ようとしているのである。この帰結は我々の後の世代に大きな負担を負わせることになるだろう。
 リアルタイム財政赤字カウンタというものがある。国の借金がどのくらいあるか、刻々と計算するサイトだ。
http://ueno.cool.ne.jp/gakuten/network/fin.html
これによれば、今日現在の日本全体の長期債務残高総額は1223兆円。赤ん坊まで含めた国民一人当たりに換算すると借金額は978万円にもなるという。途方もなく恐ろしい額である。しかし、これをまだ増そうとしているのだ。すでに破綻状態にあるから、もう少し借金を重ねてもたいしたことはない、そう思っているのだろうか。
 今朝、元鳥取県知事の片山善博氏が「今回の景気対策はバラマキ(Baramaki)ではなく、パラマキ(Paramaki)だ」とテレビで皮肉っていた。一時的なパラマキで、景気が浮揚するとは思われない。むしろ、その後に来る反動は計り知れないものがある。かりに景気刺激策が必要だと思うなら、その財源は役人たちが享受している無駄な出費を減らすことで得るべきだ。財源も無しにいつまでも赤字を出す政策は無責任である。我々はその財源をどこから持ってくるのか、最後まで注意して見届ける必要がある。
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我が家の木に蝉の抜け殻が残っていた。彼らは長い間土の中で生活し、最後の数日間を地上で過ごす。暗く長い地中生活の残滓が、この虚ろになった抜け殻である。景気対策が選挙に勝つための無責任なバラマキで終わるとすれば、日本はこの抜け殻と同じような中身のない虚ろなものになって、後世の人ほど借金の重圧に苦しむことになるだろう。
by weltgeist | 2008-08-30 22:36