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年齢のハンディを乗り越えた伊達選手 (No.315 09/01/19)

 クルム・伊達公子選手が惜しくも全豪テニス本戦一回戦で敗退した。38歳という年齢のハンディを考えたら、世界4大テニス大会に挑戦すること自体が無謀であり、まず無理だろうと思われていた。それが予選を二度勝ち上がり、本戦まで進んだことは大きな驚きであった。これなら一回戦も何とか勝ち上がれるかなと、淡い期待を持ったが今回はここまでが限界だったのかもしれない。しかし、試合内容から言えば、もう少しで勝てるところまで行ったのだから、彼女のチャレンジ精神とその能力の高さに賞賛の言葉を贈りたい。
 小生はテニスをやったことがないので伊達選手のどこが優れているのか技術的なことは分からない。しかし、38歳という年齢で世界4大大会の本戦まで勝ち上がってきたその実力のほどは相当すごいものだろう。いやすごすぎると言った方がいいかもしれない。一回戦敗退とはいえ、ここまで飛び抜けていると周囲の人は彼女を賞賛する以外に評価のしようがないと言えよう。
 伊達選手の活躍を見て、昨日の「新渡戸稲造の武士道を読む会」を主催しているH先生がしばしば口にする言葉を思い出した。「出る杭は打たれる。しかし、出すぎた杭は打たれない」と言う言葉である。ドングリの背比べでちょっと飛び出た程度の人は、「生意気だ」とか「跳ねっ返り」と言われやすい。だが、飛び抜けすぎていると、誰も文句など言えない。むしろ賞賛の言葉以外は言えなくなるのだ。
 人が悪口を言うのは、たいてい自分と同レベルのライバル関係にある人である。例えば同期で入社した社員が数年経つと関係が微妙になることがある。誰かが突然課長に抜擢されたとか、給料の金額がわずかに違っていたりすると、それだけで気になって仕方がなくなってくる。そして「あいつは能力もないのに、上役にゴマすりをした」と言ったお決まりの悪口が飛び出してくるのだ。週刊誌で「日本の会社500社の平均年収ランク」なんて企画を時々見かけるが、それもサラリーマンの微妙な関心を突いたものである。「あの会社の連中はこんなに給料もらっているのか。俺のところは安すぎる」といったまさにドングリの背比べを週刊誌が公然とやっていると言える。こんなものをまともに受け止めたらノイローゼになりかねないだろう。
 しかし、ヒラ社員は同じヒラの年収は気になっても、社長の年収は比較の外に置かれる。自分とかけ離れすぎた所のことだからだ。駆け出しカメラマンが、先輩プロカメラマンの原稿料は気になっても、土門拳のような大御所だと、恐れ多すぎて考えられなくなるのと同じである。同じ程度のことをやっているライバルだから気になるのだ。
 人の悪口は蜜の味と言われる。世の中には人の悪口ばかり言いふらす人がいるが、人がそうした行為をするのは、実は悪口を言われている人の能力を認めているからである。出過ぎた杭なら打たれない。ドングリの背比べ状態だから相手も打とうと思うのだ。悪口を言われたくなければ、相手のハンマーが届かぬ高い所まで登ることだ。そして「悔しかったらここまで登って来い」と言ってやれば良い。
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今朝は朝のうち小雨が降っていたためか、小生が散歩する森の道にも人影は少なかった。森の中を歩いているうちに青空が拡がって、とても清々しい気分になった。こんな場所を独り占め出来るのがもったいないようだった。
by weltgeist | 2009-01-19 22:59


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