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イギリス旅行のチャンス到来か (No.261 08/11/25)

 今朝の朝刊によればイギリスが今回の経済危機に対処するため、12月1日から付加価値税(VAT・消費税)を17.5%から15%に下げると発表した。その減収分は高額所得者(年収15万ポンド=2250万円以上)の税負担を上げることで補うという。日本では定額給付金を一人12000円にあげる代わりに3年後に消費税をアップさせてもらいますなんて言ってもめてる間に、よその国では素早い行動を起こしているのだ。その理由がふるっている。過去に日本のバブル崩壊後の処理があまりに後手後手で遅すぎたことを見て、素早くやった方がいいと学んだからだと言うのである。
 ブラウン首相のこの決定が目論み通りうまくいくかどうか、小生は経済の専門家でないから分からない。いや、仮に経済の専門家であってもこうした減税の結果がどう転ぶかは、実際にやってみなければ分からないだろう。この夏にアメリカがやった減税だって全然効果はなかったと言われている。それより小生がなるほどと思ったのは、この減税をやっても必要財源は200億ポンド(2.9兆円)程度ですむという予測である。日本の定額給付金、2兆円にちょっと毛が生えた程度の金額でも、やり方次第でここまで出来るのだ。麻生首相は多くの人がその効果を疑問視している定額給付金などご破算にして、もっと抜本的な日本経済再建策を考えた方がいいと思う。
 しかし、改めてイギリスの付加価値税を見ると、2.5%下げると言っても15%(食料品、子供の衣料、書籍などは無税)だから、これはすごく高い割合である。イギリスに行く度にいつもひどく物価の高い国だと悲鳴をあげていたが、その原因は主にポンドが高すぎるからと思っていた。しかし、実は17.5%も税金を上乗せされていたから余計高かったのである。それが、今回の経済危機で付加価値税は2.5%下がり、ポンドもグーンと安くなった。ひと頃1ポンド260円前後で推移していたものが、今日の三菱UFJ銀行の相場だと150円に下がっている。付加価値税減税と合わせると物価が安くなったイギリスへこれから旅行するのは、円高メリットが生かせる狙い目の国かもしれない。
 もしイギリスに行けるとすれば、小生の大好きなファン・アイクの「アーノルフィーニー夫妻の肖像」をロンドン・ナショナルギャラリーで飽きるまで見ることが出来る。それにクリスマスを過ぎると、海外の航空券は値段がガクンと下がる。燃油代も下がったし、2月頃は一年で一番安い格安航空券が出る時期でもあるから、次の旅行先にイギリスを加える可能性が出てきた。
 しかし、今年はタイ、フランス、韓国、そしてアメリカと海外に行きすぎた。そのうえさらにイギリスとなるとかなり苦しくなってくる。イギリスには行きたい。ナショナルギャラリーでファン・アイクの「アーノルフィーニー夫妻の肖像」も見たい。しかし、それには我が家の家計が破綻しないことが前提である。破綻しないためにも、麻生さん、しっかり頼みますよ、と言っておきたい。
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ネーデルランド(今のオランダ周辺)の画家、ヤン・ファン・アイクが1434年に描いた「ジョバンニ・アーノルフィーニー夫妻の肖像」( Portrait of Giovanni Arnolfini and his Wife ) 。ロンドン、ナショナルギャラリーの主宝であり、ロンドンを旅行する人にはこの絵だけは絶対見逃すなと、小生は言い続けている。思ったより小さな絵だが、細部にわたる描写は驚くほど細密で、左の人物の毛皮のコートは毛の一本ずつが細い筆で丁寧に描かれている。また、壁の中央にある丸い鏡の中に写っている人物も、気が遠くなるほどすごい細かさで描かれている。毎週土曜日の夜、テレビ東京で放送している「美の巨人たち」の中で、この絵を取り上げていたが、作者・アイクの並々ならぬ技量は「人間ワザとは思えない」と言っていた。ロンドンに行かれる予定のある方は、600年も昔の室町時代に、欧州の人間はこんなことまで出来たのだということをぜひ見てきていただきたい。ナショナルギャラリーは入場無料である。
by weltgeist | 2008-11-25 23:46


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