人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アメリカ旅行7、グランドキャニオンの光と影のドラマ (No.231 08/10/27)

 ラスベガスからグランドキャニオンまでは約470㎞、車で5時間の距離をいよいよ走り出す。だが、ラスベガス市内の道は複雑で信号や交差点が多い。町中で一度道を間違えると、たいへんなので、少々危険とは思ったが、いきなりハイウエーに乗り、50㎞先のフーバーダムまで走る。この作戦が大成功。一旦高速に乗ってしまえば、あとはインターチェンジを間違えない限り、他の車と同じ速度で走ればいいから意外に安全なのだ。
 フーバーダムは時の大統領フーバーが、1931年に失業対策として作った巨大なダムで、これが当時起こった大恐慌から立ち直るきっかけにも役だったと言われている。ダムでせき止められたコロラド川の水はミード湖として、グランドキャニオンのすぐ下流まで続いている。ミード湖の貯水量は400億トン。日本全国にあるダム湖の総貯水量が250億トン、琵琶湖の貯水量でさえ280億トンしかないのだから、その半端でない大きさが分かるだろう。1982年にラスベガスから日帰り一日観光でグランドキャニオンまでセスナで飛んだことがあるが、このときミード湖の端から端まで飛行機で15分も掛かった記憶がある。それほど大きいのだ。
 フーバーダムを過ぎるといよいよアリゾナの本格的な砂漠となり、小さな草木が疎らにあるだけの道をひたすら走る。国道40号を経て、グランドキャニオンに着いたのは午後3時半。途中一度給油した程度で、アメリカでの車の運転にも慣れて順調に走れた。グランドキャニオンに入るには少し手前にあるゲートで車一台につき25ドル払うと7日間有効のチケットを日本語の公園ガイドに貼り付けてくれる。そこから10㎞ほど走ったところでついにキャニオンに到着した。マザーポイントと呼ばれるグランドキャニオンでも1、2を争う眺めの良い場所の駐車場に車を停め、ほんの5分ほど歩くといきなりグランドキャニオンがドーンという感じで現れた。
アメリカ旅行7、グランドキャニオンの光と影のドラマ (No.231 08/10/27)_d0151247_17402472.jpg
写真左上 グランドキャニオンのゲートを過ぎてしばらく行ったら、鹿が道路の横で悠然と草を食べていた。
左下 公園の中にあるホテルに泊まるためには一年前から予約しないと難しいと言われたが、ネットで検索したら丁度キャンセルが出たらしく、幸運にも伝統あるブライト・エンジェル・ロッジに泊まることができた。一泊二人で91ドルは意外に安いと思った。
右上 グランドキャニオンを代表する展望台、マザーポイントには沢山の観光客がいた。
右下 泊まったブライト・エンジェル・ロッジ前の展望台からでもここまできれいな景色が見える。
アメリカ旅行7、グランドキャニオンの光と影のドラマ (No.231 08/10/27)_d0151247_1741324.jpg

マザーポイントから見た夕暮れのグランドキャニオン。崖の岩は赤い色をしていて、これが夕日で一層赤く見えた。深く切れ込んだ谷底の深さは1500mもある。

 小生は25年前に一度見たことがあるとはいえ、それでも雄大な谷の景観には圧倒される。平坦なコロラド高原をスッパリと切り裂いた谷の底の方にコロラド川が流れているのがかすかに見える。谷の深さは1500mもあるというから驚く。
 グランドキャニオンの崖は赤い岩で、これがちょうど始まったばかりの夕暮れで一層赤く染まって、写真を撮るには絶好だった。前回来たときはラスベガスからの日帰りツアーだったため、夕暮れや朝焼けは見れなかった。しかし、今回はネットでキャニオンの中でも眺望がいいブライト・エンジェル・ロッジを予約できたので、日が完全に落ちるまでじっくりと見学することができた。  そして、翌朝は、暗いうちに宿を出て、朝焼けがきれいと聞いたヤバパイポイントに向かう。まっ暗い中、崖の先端に墜落防止の手すりが付いたヤバパイポイントに着くと、すでに沢山の人が夜明けを待っていた。東の空が赤く染まり、最初の曙光が谷に入ると、岩峰状の岩の突起の部分が赤く染まり、それがどんどん谷の底の方へ降りていく。岩の色は刻々と変わり、自然のスペクタクルに我々観客は酔いしれたのだった。
アメリカ旅行7、グランドキャニオンの光と影のドラマ (No.231 08/10/27)_d0151247_17441416.jpg
朝6時、ヤバパイポイントに集まった人たちが夜明けを待っていた。やがて東の空が少しずつ赤みを増してきた。グランドキャニオンに泊まった人だけが堪能できる壮大なドラマがいよいいよ始まるのだ。
アメリカ旅行7、グランドキャニオンの光と影のドラマ (No.231 08/10/27)_d0151247_1746302.jpg
深く切れ込んだ谷底に朝の曙光が差し込むと、岩が赤く光り始めた。岩の全面を照らす光と、後ろの暗い闇が絶妙のコントラストを見せている。そして、それが刻々と変化して行くのはただただ圧倒される。自然はかくも雄大なのだということを実感した。

アメリカ旅行8、ブライスキャニオンにジャンプ。
by weltgeist | 2008-10-27 17:51


<< 三浦半島、小網代のワラサ、イナ... ついに妻も還暦を迎えた (No... >>