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神田神保町の古本屋街に行きました (No.197 08/09/04)

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 本は図書館で借りるから買わないと言ったが、我が町の図書館にある蔵書はプアーで、自分が読みたい本はあまりない。少し専門分野に突っ込んだ本は自分で購入するしかないのだ。そこで、今日は久しぶりに神田神保町の古本屋街に掘り出し物を探しに行った。
 活字離れが言われて久しいから古本屋さんもたいへんだろうな、と思って行ったら以前と比べて本屋さんの数はちょっと少なくなっていたが、それでもまだみんな頑張っていて、お目当ての本のいくつかは見つけることができた。やはり、こうした専門店が並んでいれば、入手困難な本も見つけ出すことができるのが有り難い。特に現代のように出版物が多いと、欲しい本がものすごい数の出版洪水の陰に隠れて手に入れにくくなる。一般書店に並ばないから読者はどんな本が出ているのかも分からないうちに、優れた本が絶版になって消えていくのだ。だが、内容のない本は、一時的には人気が出ても、すぐに飽きられゴミ箱へ捨てられていくのに対し、日陰者だった良書は、静かに息吹を吹き返し神保町の古本屋に集まってくるのである。多くの本はその場限りの内容だから時間がたてば読む価値がないと判定され、古本屋さんまで上がってこない。本当に読者が欲しがる本が神保町に集まってくるのだ。
 しかし、昔と違って本をじっくり読む人口が少ない。お客の絶対数が少ないから古本屋さんも当たり前に商売していては生き残れないだろう。ただ沢山の古本をランダムに集めて売るのではなく、それぞれのお店が得意な分野に特化した特徴ある本を売っていくところにこちらも興味を惹かれる。例えば、豪華な画集を集めた美術専門しか扱わない店とか、タレント関係だけを集めたアイドル専門店、小生の大好きな釣り関係の本を集めた鳥海書店なんか、朝一番から行きたいお店の筆頭である。さらに登山関係、哲学、宗教関係に強いお店も自分好みだ。このほか、古い古文書や歴史関係のお店、軍事、鉄道といった趣味性の強いものばかり集める店など、その道の人が行ったらワクワクするようなお店が増えていた。
 今回、神保町に来たのは、古いキリスト教関係の本と、フッサール、ハイデガーの入手困難な論文集だったが、いずれも見つけることはできた。しかし、古本という概念と少し違ったのは、売られている本の値段が定価より高いことだ。入手できない稀覯本だから、売値も高くなる。これは致し方ないことだろう。
 驚いたのは、とっくに絶版にした小生の本まで売られていたことだ。こうした場所で自分が書いた古い本を見るのは恥ずかしい。多くのお店の前には客寄せで「どれも100円」という棚があって、買い手が付かない本を十把一絡げで売っている。幸い、ここに並べられてはいなかったが、一体いくらくらいで売られているのか、恐る恐る値段を見たら、定価よりかなり高めに設定されていて、少し安心した。絶版にしてもまだ読みたい人がいてくれることは有り難いと思った。
 神保町には自分の気持ちを何かワクワクさせてくれる独特の雰囲気がある。書店のドアーを開けて中に入ると、古い本独特の臭いがする。そして「エッ、こんな本もあったの」といった発見があるとすごく嬉しくなるのだ。お店を一軒一軒回って行く度に、自分の知らない夢想の世界に突入していくようで、時間が経つのも忘れて結局夕方までこの町で過ごしてしまった。こういう街はずっと残してもらいたいものだ。
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昔懐かしい喫茶店・ラドリオもまだ健在だった。古本屋街を歩いた後ここのウインナコーヒーを飲むのが定番だったが、今回は時間がなく中に入れなかったのが心残りだ。
by weltgeist | 2008-09-04 23:06


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