人気ブログランキング | 話題のタグを見る

我が家に食洗機が無い理由 (No.185 08/08/23)

 最近は多くの家庭に普及しつつある食洗機が我が家にはない。これは将来に渡っても持つつもりはない。食器を洗うとき洗剤を使わないように、手洗いしているからだ。お湯で食器を洗った後、それを布巾で拭き取るだけ、ということをもう10年以上続けている。川の環境汚染が洗剤によって加速され、海に流れ出た後では赤潮の原因ともなると教えられてから、洗剤なしに洗える方法として古典的なお湯による手洗いに行き着いたのである。
 お湯で洗うのは妻の役割、拭くのは小生の分担事項になっている。仕事をしていた頃は家事をほとんど手伝ったことがなかったから、最初、この拭く作業をやらされるのがいやだった。しかし、いつしか慣れてしまい、今では何の抵抗感もない。むしろ、下水浄化の一旦を担っているという気持ちがあり、それを誇りにさえ思っている。だから、今は頭を洗うシャンプーも石鹸シャンプーだし、風呂場の洗剤も使わない。我が家から流れ出る水はできるだけクリーンになるよう心掛けているのだ。
 しかし、環境問題は我々が考えるほど単純ではない。洗剤は使わなくともお湯は使う。このお湯はガスの燃焼でもたらされ、その時燃料の消費や炭酸ガスを放出する。また、大きな生ゴミは取り払うとしても、洗い流した脂分などはどうしても下水に流さざるを得ない。シャンプーは使わなくとも石鹸水は流れる。どう転んでも、人間が生活する限り、何らかの歪みを自然に与えることは避けられそうもないのだ。我々の出来ることはそうした悪影響を可能な限り少なくする努力しかないのである。
 最近、こうした環境を少しでも良くしたいという行為が、逆に新たな環境破壊、汚染を生じさせていると指摘する本が出た。これが結構売れているそうで、小生、書店でその本を見た。このたぐいの本を買う気は毛頭ないから、今特訓中の「速読」で立ち読みした。しかし、読んでいるうちに、この著者は何を目的にこの本を書いたのか疑問が生じてしまった。「お前達はペットボトルを再処理するのにどのくらい電力を使うか知っているのか」と言ったたぐいの告発本で、要するにどんな環境保護、資源再利用をしても、多かれ少なかれそれによる新たな資源浪費、汚染が発生すると言いたいようだ。
 確かに、著者が指摘するように、一般人は環境や資源再利用について詳しい知識がない。だからやり方によっては、逆に環境を破壊することもあるだろう。たとえば、小生が好きな釣りの分野では、世界で最も南の地域に分布する紀伊半島のイワナ、キリクチのいる川に、イワナを増やそうとして養殖ニッコウイワナを放すような、愚行をしている。数の減った貴重なイワナを保護していると思う行為が、逆にキリクチを絶滅に追い込んでいるのだ。
 しかし、こんな例はまれで、多くは個人レベルでも環境にいい影響を与えることが沢山ある。小さな個人的努力でも沢山の人間が手を携えれば効果の出てくることが多いのだ。それに水を差す態度はいただけない。ならば、あなたはどうするんですか、このまま汚染はほったらかし、資源再利用もしないですますつもりか、と本の著者に聞きたいほどである。
 釣り師である小生のアユ釣りホームグランド、相模川の汚れ具合を見ていても、水が少しずつきれいになっているのが分かる。下水道が整備されてきたからだ。これに我が家のように洗剤を使わない家庭が増えれば、水はもっときれいになるだろう。多摩川にしても、最近は東京湾からアユが大量に遡上してきていると言う。
 微力ではあるが、我が家のノー洗剤運動も、それの一助となっているはずである。だから、今後も絶対食洗機は買わないつもりなのだ。
我が家に食洗機が無い理由 (No.185 08/08/23)_d0151247_22415438.jpg

by weltgeist | 2008-08-23 22:42


<< 初秋の花 (No.186 08... 負けるべくして負けた星野ジャパ... >>