人気ブログランキング | 話題のタグを見る

東北の天然ヤマメ釣り(No.96 08/05/14)

 小生、渓流釣りが大好きなのに、今年はほとんど渓流釣りをしていない。それは前にも書いた通り、東京周辺の渓流釣り場が、どこも養殖した成魚を放した「ニジマスの管理釣り場化」して、面白く無くなっているからだ。数日前まで養殖用の池で泳いでいたヤマメを川に放して、さも自然の魚のように見せかけて釣らせている。魚は確かに釣れるから、ただ釣れればいいと思う人には楽しいかもしれないが、昔気質の小生のような人間にはそれが気にいらない。釣れるにしても気分良く釣りたい、偽物は出来れば釣りたくないのだ。関東はそんな場所ばかりだから、最近は渓流より、むしろ磯や船釣りに精を出していたのである。
 そんな時、岩手に住む友人のOさんから「天然ヤマメが絶好調だ。いい場所見つけたから来たら」というお誘いを受けた。東北から北海道にかけてはまだまだ天然、あるいは稚魚、卵放流の準天然ヤマメが釣れる場所が沢山ある。そうした東北の釣り場もようやく冷たい雪解け水が終わり、ヤマメ釣りのいいシーズンになってきたのだ。こうした川では昔ながらのスリリングな渓流釣りが楽しめるだろう。Oさんが見つけた川では、型のいいヤマメが好調に釣れているというから、十分期待できるはずだ。「絶好調」と言う言葉に弱い小生、これは大釣り間違いなしと読んで、妻を運転手に昨日まで岩手県の渓流に行ってきたのである。
 Oさんお勧めの川は東北特有のゆったりした流れで、ヤマメはポイントごとにいる素晴らしい川だった。小生が流した仕掛けに最初の1投目から食いついてくるほどの魚影の濃さである。しかし、腕が悪いのか、あるいはずっと渓流釣りをしていなかったから腕が鈍ったのか分からないが、ハリに掛けても水面でポロリと落ちてしまう。糸が切れるのではなく、ハリの刺さりが悪く、一旦掛かってもハリが外れて逃がしてしまうのだ。
 ヤマメは沢山いるから、1尾、2尾バラシたところでどうってことはない。しかし、最初の頃は5尾掛けると4尾は水面でハリが外れてしまう。あまりのひどさにOさんが見かねて、G社のアマゴ半スレというハリがこの川に向いていると言って、小生にそのハリをくれた。やはり郷にいれば郷に従えで、その土地独特の癖があるのだろう。ハリをすぐさまアマゴ半スレに取り替えると今度は嘘みたいに外れない。
東北の天然ヤマメ釣り(No.96 08/05/14)_d0151247_23104632.jpg
 釣れたヤマメは天然魚独特の鱗がしっかり付いたきれいな姿形をしていた。タマアミにすくい取って、マジマジと見ると、何か気持ちがワクワクするような魚体をしている。サイズも今の時期としては悪くない。30㎝を越える大型は出なかったが、最大は27㎝くらいのヤマメをカメラに納め、今日の釣りは午後1時で終了した。
 関東の成魚放流の魚は型は大型だが、ヒレがすり切れたり、手で触ると鱗がはげ落ちる汚らしい魚体ばかりである。だが、ここのヤマメはそんなものとは全く違う美しい姿をしていた。体側にパーマークと呼ばれる小判型の斑点を付けたきれいな天然ヤマメの感触を味わえただけで、もう十分満足である。数も予想より多く釣れたし、言うことはない。
 午後は運転手兼財務大臣である妻と共に、近くの観光地を急ぎ足で回って見た。思い出して見れば、東北の渓流もあちらこちら行ったが、いつも釣り場に直行していて、周囲の観光地など見たこともなかった。釣り、釣り、釣り、しか頭に無かった小生、今ではすっかり自制して、自分を省みることができる年齢になったのかもしれない。午後は財務大臣へのゴマすりも兼ねて民話の里、遠野の町を竿も出さずに見学し、火曜日の真夜中に家に戻ったのだった。
東北の天然ヤマメ釣り(No.96 08/05/14)_d0151247_23114543.jpg
遠野を流れる猿ヶ石川もヤマメの濃い川である。この川では何度もいい思いをさせてもらったことがあり、大好きだから30年以上前から通い詰めている。流れの変化が少ないようでいて、意外にポイントはある。特に、人が釣りにくい木の枝が茂っているような場所では必ずアタリがあった懐かしい川である。
東北の天然ヤマメ釣り(No.96 08/05/14)_d0151247_23121290.jpg
ゆるい高原状の遠野の山に夕日が当たり、どこか外国にいるような景色になった。ここは高地のため寒いのか、まだ新緑が始まったばかりで、山は萌えている感じだった。こんな里川でも尺近いヤマメが潜んでいて、釣り人をしばしば驚かせるから油断できない。遠野周辺は本当にいい釣り場揃いである。
by weltgeist | 2008-05-14 23:12


<< 遠野のカッパ伝説(No.97 ... 今日、明日は休みます(No.9... >>