人気ブログランキング | 話題のタグを見る

米国金融市場の混乱(No.47 08/03/21)

 一昨日、大島から戻ってきたら米国FRBが公定歩合を0.75%と、大幅に下げる発表をしていた。これを聞いてすぐ思い出したのが日本のバブル崩壊だ。この発表の少し前にも0.25%下げているから、合わせれば短期間に1%も下げたことになる。これはあまりに大幅で急すぎる。投資会社ベアー・スターンズ社が黒字なのに危うくなったことと合わせると、日本が山一証券の倒産でバブル崩壊に繋がっていった過程とそっくりだ。確かに今回のような予想を上回る大幅な利下げで、ニューヨーク株価は一応反発したが、その先でどうなるか。一時的なカンフル剤に過ぎないのではないだろうか。もしこれが歯止めとならず、日本のバブル崩壊と同じ道を辿るとすると、かなり危うい局面に入った気がする。
 米国金利が低下し、金融不安は解消しつつあると新聞は報じていたが、本当にそうだろうか。日本がやったのと同じゼロ金利への道を進んでいる気がしてならないのだ。FRBが金利を下げるほど金融政策の選択肢は狭められ、抜け出しがたい袋小路に入り込んで行かざるを得ない。当然ドル安は加速するだろう。日本はバブル崩壊を抜け出すのに公的資金を注入し10年近くかかった。その間にいくつもの銀行がつぶれたりと、金融関係者にとっては地獄のような日々であった。まして米国は巨大な投機資金のターゲットとして、常に狙われる立場にあるのだ。
 今月12日にFRBが2000億ドルの資金提供をすると発表したが、そんなもので足りないのは明らかと14日のブログで書いた。そうしたら、昨日の新聞で、あるアナリストが今回の金融不安問題を解決するには1兆ドルくらいの資金注入が必要という観測を出していた。もしそうなら、これから先、米国を中心とした世界経済の行く末はたいへん暗いことになる。日本もそのとばっちりを受けて、苦しい状況に追い込まれるのは避けがたい。
 こんなことを書くと、小生が株や債券、外貨投資を積極的にやっている人間と見られるかもしれない。しかし、小生、株も商品取引もFXもやらない。自ら汗して働いて得たお金が一番であると思っている人間である。有り余るお金を投機資金に回し、何ら汗水たらすことなくお金を増やしていくやり方を心良く思っていないのだ。
 目先の読みだけで巨額のマネーをつぎ込み、瞬時に売り買いを繰り返す人たちも確かに立派な職業ではあるだろう。だが、こうしたものはあくまでもゼロサムの問題である。誰かが儲ければ、必ずその裏で損した人がいる。儲けは損した人を踏み台にして成立する、と言ったら言い過ぎだろうか。
 最早制御不能な状態まで巨大化し、パンドラの箱を開けたような今の投機資金は原油や穀物から、さらに次の儲けを産むターゲットを狙ってハゲタカのような目を見開いている。彼らも「努力は怠らない。しかし、それは如何にしたら儲けを得るかだけに全力を注ぐ欲望の権化のような「努力」である。素朴にコツコツと働くことで日々の糧を得る善良な人達の「努力」とは質が違うのだ。
 まじめに働く人が損をし、働く必要もないほど資金を持つ人が投機で益々金を稼ぐ、そんな歪んだ社会はいつか正されるべきだ。こんなことを言うのは小生のような貧乏人のひがみだろうか。
米国金融市場の混乱(No.47 08/03/21)_d0151247_23191648.jpg

今日はイエス・キリストが十字架に架けられた聖金曜日(グッド・フライデー)である。それにふさわしい写真として、ヨーロッパでも最も古いステンドグラスと言われるフランス・シャルトルのサン・ピエール教会で一昨年撮ったイエスの受難の場面を選んでみた。ステンドグラスのような暗い被写体の撮影は手ブレが起こりやすい。そんなときは手ブレ防止が出来るカメラが威力を発揮してくれる。
 

by weltgeist | 2008-03-21 23:25


<< フリーターの未来(No.48 ... 大島のキンシチ(No.46 0... >>