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マイクロソフトの野望Ⅱ(No.29 08/02/23)

マイクロソフトの野望Ⅱ(No.29 08/02/23)_d0151247_22313316.jpg 2月14日(NO.22)記の「マイクロソフトの野望」で、MSは「ウインドウズのソースコードを公開すべきだ」と書いたら、昨日の夕刊に「マイクロソフト、ウインドウズ設計情報公開」という見出しが一面に載っていた。まさか、小生の提言が受け入れられたわけではないとは思ったが、思わず「エエーッ」と驚きの言葉を発してしまった。それからすぐに冷静に戻って「そんなことやるわけがないよなぁー」と思いつつ、新聞を詳しく読んだら案の定、やはりまやかしだった。
 今回のMSの発表を一言で言えば、ウインドウズで作動するソフトが使いやすくなるよう、OSの一部分を公開するから是非今まで通りウインドウズをお使いくださいということである。抱き合わせソフト「オフィース」だけを大事にし、他社のアプリケーションを蹴散らしてきた態度を改め、これからはウインドウズでうまく作動するよう情報公開しますというのだ。
 これはMSがヤフー買収でさらに独占を強めるとの批判を避ける作戦であろう。そうなると、抱き合わせソフト販売のように強引な政策も見直すかもしれない。だが、話はそれほど単純なものではないようだ。まずはっきりしているのはMSは決してユーザーにサービスしてやろうなどと思っていないことだ。なぜなら公開するのは一部分で、相変わらずOSの核となるソースコードは明かさないからだ。OSの一部だけ明らかにして、ウインドウズ上で動くソフトを増やそうとしているだけである。そうなればウインドウズにぶら下がるソフトは益々増えて、MSは安泰となるだろう。
 MSがこうした動きを始めたのはヤフー買収で世間の心証を良くする狙いだけではない。ライバルのグーグル等が、ネット上でオフィースと機能的に似たソフトを無料で公開していることに不安があるからだ。高いお金を払ってオフィースを買わなくても、ネットと繋がる環境があればタダで使える。そうなれば、ユーザーがグーグルに流れるのは当たり前である。小生が以前から愛用していた「駅スパート」等を使わなくなったのも同じ流れだ。ヤフーの画面上で最新の路線、時刻表データが検索できるし、翻訳ソフトや地図情報など、様々なものが無料で使えるようになっているからだ。MSオフィースを初めとするモロモロのソフトが高額で売れる時代は変わりつつある。だが、アプリケーション無料化が時代の流れとなるのをMSはくい止めたいたいのだ。
 以前、ある人がインターネットで有料会員サイトを開いた。会費は月200円程度と、非常に安くしたが、すぐに行き詰まった。安くしても会員が集まらないのだ。インターネットは無料が常識である。例え200円と安くても、セキュリティの問題もあるし、人はそんな口車には乗らないのである。
 こうしたことに先見性があったグーグルは「無料」で客を集めながら、ワンクリック広告で収益を上げていた。MSはこれに気づくのが遅かった。現在、MSのネット事業での売り上げはグーグルの6分の1に満たないのである。 
 IT業界はかってないほど熾烈な戦いの中にあって、MSの快進撃にも陰りが見え隠れする。もちろんグーグルに独占されるのも困るが、いつの間にか巨大化した別な企業がグーグルをも消し去っていくかもしれない。ITとはそういう世界である。
 米国のアナリストによれば、MSは流れに負けてオフィースを将来ネット上で無料化するかもしれない、とユーザーには嬉しい推測をしていた。そうなれば、エクセルやワードを使う人は朗報である。もっとも、一太郎を愛用し、仕事を離れた今、エクセルをほとんど使わなくなった小生にとって、それはどうでもいいことであるが。
by weltgeist | 2008-02-23 22:32


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