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最も快適でアットホームな服装 (No.1975 14/05/13)

 家の中で一日中パジャマでいたら奥さんから「そんなだらしのない格好をしないでください」と注意されてしまった。本日はどこへ出かけるわけでもない。ずっと家にいるのに一番楽な服装はパジャマである。これなら朝起きたときからすぐに着替えることなく行動に移せるし、動作も楽だ。家にいるときはパジャマにまさる快適なウエアーはないだろう。
 しかし、不意の来客があったりするとあわてる。パジャマで出るわけにはいかないから急いで普段着に着替えて、何事もなかったふりをして出て行く。不精者の小生にはこれが面倒で、やりたくないことである。
 以前、非常に親しい親友が来たとき彼ならいいだろうとパジャマのまま出ていった。口うるさい奥さんはちょうど買い物かなにかで外出していたので、鬼の居ぬ間にパジャマで友人と話していた。しかし、運の悪いことに奥さんがそのとき帰ってきて、小生のパジャマ姿に目が三角につり上がっていくのが見えた。
 もう30数年も一緒に生活しているとこういうとき彼女が何を言いたいのか分かるのだ。小生、雷が落ちる前にあわてて着替えに走ったのである。そうして世間並みの服装に替えて戻ると、彼女が「なんてだらしのない人なんでしょう・・」とあきれ顔をしている。面と向かって文句は言わないが、腹の中で怒っているのはよく分かる。
 だが30数年前、まだ彼女と結婚する前は小生もこんなではなかった。デートのときは、一番上等なよそ行きを選んで着ていったつもりである。汚らしい格好をして彼女に嫌われることがないよう、一生懸命気を使ったのである。
 しかし、こうしたことは小生には例外に近い。まだ独身の時代に入っていた釣りの会で、「***会の三キタの一人」と言われたことがある。キタを漢字で書くと「汚い」である。なりふり構わず汚い格好で釣りばかりやっている小生に、周りの人はそのように見ていたのである。
 そんな人間だったからまさか彼女が出来て結婚までするとは夢にも思っていなかった。女性にほとんどもてた経験のない小生は、一生独身で寂しく死んでいくと思い込んでいたのである。それがとんだどんでん返しで、結婚まで出来た。そして結婚してしばらくたった頃、彼女が小生の初印象を「なんて汚い格好をした人でしょう」と思ったと教えてくれた。自分ではめいっぱい頑張ったつもりだったが、それでも世間一般のレベルまで行かない男だったのである。
 そうして新婚時代の緊張感もなくなると、小生の本性は丸出しになる。もはや奥さんになった人の気を引き留める必要などない。悪い言い方をすれば釣れた魚に餌はあげないで、終日パジャマで押し通す。そのつど奥さんは小生の意識改革をしようと指導を強めるが、一向に効果が現れなくてもはやさじを投げられた感じなのである。
 ところで、パジャマばかり着ている小生だが、意外に衣装持ちである。といっても普通の方のものとは違う。釣りに行くときのフィッシングウエアを、海の船釣りから礒釣り、淡水のアユ釣り、渓流釣り用など、それぞれの釣りものに合わせて10数通りずつ揃えている。その数の多さは驚くほどで、以前問題になったイメルダ婦人の靴のコレクションを連想させるほどある。普通のおしゃれに興味はないけれど、釣りは別。サラリーマンがスーツでビシッと決めるように、釣り場でビシッとなるためのおしゃれ感だけは人一倍に強いのである。
 小生は野人。普通の人がおしゃれをする場はどうでもいい。フィールドでこそビシッと決めたいと思う、困った人間なのだ。
最も快適でアットホームな服装 (No.1975 14/05/13)_d0151247_23353047.jpg
猫のウエアは毛皮一枚だけ。寝ても起きても、また夏でも冬でもこれ一枚で全部通す。不精者の小生は本当は猫と同じようにしたいのだが、世間はそれを許してはくれない。だから、小生は猫を見るたびにうらやましく思い、猫が好きになるのだ。

by Weltgeist | 2014-05-13 23:50


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