ところが、お金を投資に回す人は、こうした発想が前提になっている。100円投資したのだから、利子を付けて120円で返してもらわなければ損をしたと思うのだ。投資した後は待っているだけでお金がガッポガッポ入ってくる理不尽さを当たり前と思うのがお金持ちの発想である。しかし、これは投資すべきお金も無い人には無縁なことである。明日の飯をどうするか心配な人はまず働いて稼ぐことに専念しなければならないからだ。 バブルの時代、1億円出して土地を買ってしばらくしたら2億円で売れた。別にその土地から原油が噴き出したわけでもないのに値段が上がっていく。これってよく考えるとおかしくないか。需要と供給のバランスが値段を決めた。1億円で買ったときと2億円で売れたときでは需給関係が変わってきたからだと説明されても何か納得できないものがある。 この至って単純だが、欲望に目がくらんだ人には見えない疑問が、バブルの崩壊で一度明らかにされた。このとき分かったのは価値の暴落は洪水と同じ、調整であるということだ。上がりすぎたものはいつか下がらざるを得ない。永遠に上昇を続けることはあり得ないので、最後のババを引いた人を頂点に急降下する。100円は100円に戻って行こうとするのである。 しかし、このことは決して痛い目にあった人々に教訓を与えない。懲りない人々が今度こそ儲かるぞという、得体の知れないことに暗黙の期待を持っている。飢えたハイエナのように「何かいい儲け話はないか」とあたりをかぎまわることをやめないのだ。そうしてある人は良い獲物に運良くありつく。しかし、最後はやっぱり洪水が起こってきれいに洗い流されてしまう。その跡には大損害を受けた何人もの犠牲者が途方にくれたまま取り残されるのである。我々の生活ってそんなババ抜きゲームの繰り返しのような気がする。
by Weltgeist
| 2014-02-05 23:48
|
カテゴリ
以前の記事
2016年 05月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
最新のコメント
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||