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パミール高原に幻の蝶を求めて、5、ウルムチ脱出だ (No.1757 13/08/15)

 天山天池で2頭のアポロウスバシロチョウを目撃したが、人が沢山いる観光地では蝶の採集などしているとすぐに公安警察にしょっ引かれる。新疆ウイグル自治区の中には有望なパルナシウスの生息地がある。しかし、そうした場所に外国人が怪しまれないで行くにはどうしたらいいのか。**氏のアドバイスから天山山脈の峠の云丁道斑というところが良さそうだが、昨日の天山天池のようにバスで行くわけには行かない。ここに何とか車をチャーターして行くことを二人で考えた。
 しかし、その前に必要なのが軍資金の中国元。今回、中国はトランジットだけと考えていたので500元(このときのレートで1元は18円)しか両替していなかった。これでは明らかに足りないので元を翌日両替することにした。ホテルの周囲を見渡せば沢山の銀行がある。何でこんなにと思うほど色々な銀行があるから、両替なんて簡単だと思ったのである。
 だが、中国という国は実に厄介な国である。なぜか***工業銀行とか**農業銀行と書かれた「銀行」に入って両替を頼むと、これらの銀行では外貨両替はやらない。やっているのは中国銀行だけだというのである。どうも近くにある銀行は町の金融機関程度で、外貨は大銀行しかできないらしい。それなら中国銀行はどこにあるのか聞くと、この道路を2ブロックほど行った右側にあるという。2ブロックならタクシーに乗る程度ではない。歩いて行こうとしたのだが、行けども行けども中国銀行が出てこない。
 悠久の国である中国では距離感も違うのだろう。炎天下を1時間半、約5㎞弱歩いてようやく銀行にたどり着いた。そして中に入ると受付番号をもらう。小生の受付番号は279番。現在248番くらいだったから、すぐに順番が回ってくるかと思っていたら、全然これが動かない。なぜなら窓口越しに見える行員たちが一向に仕事をしていないからだ。ヒマそうにスマホをいじったりしている。結局、銀行の順番カードをもらってから両替が終わるまで3時間近くかかってしまった。両替だけで一日が終わってしまったのである。
 町にいる人たちの全部が悪いとは言えないが、マナーは最悪。誰もが自分勝手で外国人はお金をふんだくるカモと思っているようだ。こうしたことが一度気になり出すと、あれもこれも目について、次第に小生の中国に対する印象が悪くなってくるのを感じた。
 しかし、これも明日の夜にはオシマイ。ドシャンベ行きの飛行機に乗れば新天地が待っているのだ。飛行機は深夜23時55分発であるから夕方までにホテルに戻ればいいだろうと、ホテルの受付嬢に翌日、テンシャン山脈の峠まで行ってくれる車を見つけてくれるよう頼んだのである。
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これが小生たちが留め置かれたホテルのレセプション。真ん中の女性がかろうじて英語が話せた。右側にいるオバさんはホテルに入るお客の荷物に爆弾が入っていないかどうか監視しているのだ。政情不安なウルムチらしい風景で、机の上にある黒い物は警棒、紙には「荷物検査」と書いてある。
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朝9時過ぎに中国元の両替のため銀行を探しに行って、午後1時過ぎにようやく銀行に行き着いた。ちょっと写真だと分かりにくいが先の方に中国銀行の看板が小さく見える。ただ外貨を両替するだけでもこの国ではたいへんな労力を要するようだ。手前のオバさんが売っているのはヨーグルトのようだった。 
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翌日、ホテルのお嬢さんに見つけてもらった車(よく分からないが多分白タク? )に乗って云丁道斑の峠を目指す。ウルムチ市内を抜けると次第に天山山脈が見えてくる。ここまでは極めて順調で申し分なかった。 
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新疆ウイグル自治区はほとんど砂漠だが、天山山脈の麓はこうしたひまわりや野菜の畑があり、意外に雨が降るようだ。この付近で標高は1200mくらい。まだパルナシウスが住むには低すぎるが、もう少し山の上の方、4000m近くまで登れば別な景色になってくるはずである。 
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 だが、それからしばらくして突然運転手が車を止めて、「これから先は俺の車では行けない。道が悪いから別料金として2000元余計に出せ」と言い出した。我々の足もとを見て雲助に豹変したのである。写真は地元の人が小生の持つ地図を見ながら、あと2時間も走れば行けるよ、と後ろの運転手に言っているらしいが、結局、我々は運転手の言い分を拒否してウルムチに引き返した。何とも後味の悪い出来事であった。 
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中国での人々の印象はあまり芳しいものではなかったが、中にはとても親切な人もいた。この二人連れは、天池ツアーで一緒のバスに乗っていて、我々が言葉も分からないでウロウロしているとき親切に助けてくれた。こうした人に出会えたことが救いだった。
by Weltgeist | 2013-08-15 23:11


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