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パミール高原に幻の蝶を求めて、3、ウルムチ蟄居 (No.1753 13/08/09)

 中国新疆ウイグル自治区ウルムチは、かってはシルクロードの拠点としてにぎわった古い町である。上海からこの町を経由してタジキスタン、ドシャンベに向かう予定だった我々は飛行機の遅延から2時間半遅れで到着した。それでもドシャンベ行きの飛行機が我々を待っていてくれるのかもしれないと淡い希望を持っていた。というのも、ウルムチは中国の辺境にあたり、きっと小さな飛行場がある程度の町だから、少しくらいの時間は待ってくれるかもしれないと考えていたのである。
 だが、暗闇に浮かび上がってきたウルムチ空港はバカでかく、沢山の飛行機が並んだハブ空港のようだった。着陸してから駐機するまで長い地上滑走をしていく。そしてドアが開くと我々乗り継ぎ客数人は、別なバンに乗せられ中国南方航空のチェックインカウンターまで連れていかれた。しかし、もしかしたらという淡い期待は打ち砕かれた。担当者が、すでにドシャンベ便は出たので今日はウルムチ泊まりだ。ホテルは用意してあるから明日の朝もう一度ここに来るようにと告げられる。
 頭をハンマーでぶん殴られたような感じである。ドシャンベには我々の到着を待ってパミールまで連れて行ってくれるガイドが待っている。飛行機に我々が乗っていなければどうなるだろうか。小生たちはここで多少の抵抗を試みたが全ては無駄だった。ぬかにクギを刺すような中国人の対応に頭にきていたが、**氏は「中国人に期待しても駄目です。失望するだけですよ」と相変わらず鷹揚な態度をしている。
 とにかく仕方がない。深夜のウルムチ空港から航空会社が用意したホテルに向かう。しかし、この町、見れば見るほど大きい。とても辺境の田舎町とは言えないほどの大都市である。ホテルに着いたら、**氏の持つ携帯でドシャンベのガイドに電話を入れて、「今夜は着けない。旅行は中止したわけではないので、明日、飛行機の便が分かればまた連絡する」と電話する。携帯の国際電話は衛星通信を使っているようで音声がとても悪くて聞きにくい。そのうえ、一度話すとタイムラグがあって10秒ほどしてから返事が返ってくる。それでも今日我々がドシャンベに着かないことだけは分かってくれたようなので少し安心した。
 ホテルの水道はまったく流れないからシャワーどころかトイレ(水洗だった)も使えない。当局の監視が厳しくインターネットも使えないようだ。なんちゅう具合の悪いことになってしまったのか。頭をかかえてみたもののどうしようもない。願わくば明日中には何とかドシャンベに着いてほしいが、うまくことが運ぶのだろうか。
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 翌朝、荷物を持って再びウルムチ空港(上の写真)の中国南方航空カウンターへ向かうと、何とドシャンベ行きは4日後の24日以外にない、そのあいだ貴殿たちはホテルで待機してくれという返事を繰り返す。もし少しでも早く着きたければ3日後にタジキスタン航空の便があるが、その代金は当社では負担できない。自腹で行ってくれと冷たくいうのである。
 後でチケットを買った日本の代理店に聞いたら、実はウルムチ→アルマトイ→ドシャンベという他の航空会社の便が毎日あり、エンドースメント endorsement という制度で中国南方航空にこの便を使わせろと要求ができたのだそうであるが、無知な我々は担当者の言いいなりになるしかなかった。結局、4日後のドシャンベ行きを予約し、それまでウルムチに留め置かれることになったのである。貴重な旅の日程を4日間も削がれなければならないことは、我々にとっては痛い誤算だった。これなら5万円高くてもイスタンブール経由のトルコ航空にすべきだったが、いまとなっては後の祭りである。
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by Weltgeist | 2013-08-09 23:33


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