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釣り師の楽園・アラスカ (No.1723 13/06/11)

 アラスカへサーモン釣りに行ったのは1983年が最初だ。それまで日本国内の釣りしか経験のなかった小生は、アラスカに着いてたまげてしまった。アラスカが世界最高のサケ釣り場であるとは聞いていたが、至る所の川にサケが溢れんばかりに泳いでいたのである。州都アンカレッジ市内を流れるシップクリークという小さな川にまでキングサーモンが泳いでいる。
 小生たちはフィッシングライセンスを購入し、アンカレッジの北側にあるモンタナクリークという川に行ってみた。釣りは翌日からだが、前もってポイントを見ておこうとモンタナクリークを偵察したら、ここでも少し水深のある場所にはキングサーモンが数尾ずついて、アラスカの底知れない魚影の濃さを感じさせられた。
 しかし、こんなにサケが沢山いるのに、アラスカでは釣りは厳しく管理されていて、キングサーモンは一人一日1尾だけ。年間5尾までしかキャッチできない。あんなに沢山いるのに何でそんなに厳しいのか、不思議な気がした。
 そしていよいよ釣りができる午前零時になった。日本ではいくら釣り師が早起きといってもせいぜい朝の5時か6時くらいに始める。ところがアラスカは白夜の国。午前零時でも日本の夕方くらいの明るさである。零時で日付が変わると同時に何人もの釣り人がポイントに入って行く。それも空にピストルをパンパン撃ちながらである。周囲にはグリズリーが沢山いるから熊よけに銃を撃っているのだ。
 それまで釣りは朝になってからでいいとキャンピングカーで仮眠していた我々も慌てて支度をして、前日に偵察しておいたポイントに行く。着いて釣りを開始したのは確か午前零時半くらいだったと思う。前日キングサーモンが見えたポイントにルアーをキャストすると、それにすぐさまヒットしてきたのである。ワンキャスト・ワンフィッシュの入れ食いである。
 しかし、20㎏近い巨体のキングサーモンは、フッキングしても簡単にはランディングできない。魚というより獣でも描けたほどの強い引きで暴れまわる。それに耐えて岸に引きずり上げるまで10分くらいはかかった。そして銀色に輝くキングを見て「ヤッターッ! 」と歓声を上げたのであるが、それは喜びと同時に悲劇の始まりでもあった。あっと言う間にこの日の制限尾数達成から、釣りは強制終了させられてしまったのである。キングサーモンは一日一人1尾釣ったら終わり。その規則を破ったところを見つかれば留置場にぶち込まれてしまうのである。
釣り師の楽園・アラスカ (No.1723 13/06/11)_d0151247_23475028.jpg
 そんなアラスカの懐の深さに魅せられた小生はその後毎年のようにアラスカに訪れるようになった。しかし、それから10年ほどたった1990年後半頃から、なぜか次第にサケの魚影が薄くなってきたのである。かっては川底が見えないほどサケがひしめいていて、ルアーを投げればサケの背中に落ちてしまう夢のような場所から次第にサケの姿が消えていったのだ。
 83年に川底が真っ黒になるほど沢山いるサケを見たとき、釣り人に制限尾数をもうける人たちの保護活動に疑問符がわいていた。しかし、今の現状をみるとどんなに豊かな自然も人間が手を下すとたちまち自然破壊の荒波を被ることを知らされた。
 「アラスカよ、お前もか! と言いたくなるほど最近は釣れなくなっている。それでも、釣れないといっても日本の釣り場と比べれば、まだまだアラスカは釣り人の楽園ではある。今年もアラスカのサケ釣りのシーズンがやってきた。先日ギフチョウを採りに新潟まで一緒に行った田原氏が今年もアラスカに釣りに行くと言っていた。小生も今年中央アジアに行かなければアラスカに行きたいのだが、残念ながら体は一つしかない。田原氏がキングとファイトするところを想像するだけで我慢しようと思っている。
by Weltgeist | 2013-06-11 23:55


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