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オール電化の危うさ (No.1546 12/11/28)

 昨晩から北海道は強い風を伴った猛吹雪で、送電線の鉄塔が倒れて大規模な停電が起こった。今やあらゆるものが電気でコントロールされていて、北海道では停電で暖房が使えなくなったらしい。
 ストーブはガスや灯油を燃すが、それは電気で点火、維持するから電気がないと使えない。氷点下の寒さのなか、暖房なしに過ごさなければならなくなったのである。照明からテレビ、パソコン、光電話も使えない。人はいつの間にか電気に縛り付けられていたのだ。電気の奴隷である。
 もしわが家が同じようになったらと考えた。家の暖房器具はエアコンとガスストーブだ。いずれも電気で作動させるから冬の停電なら寒さに震えるしかない。コンロ、オーブンは乾電池で点火するから煮炊きはできるが、電気釜は使えない。困るのは、トイレと風呂。トイレは最新式のウオッシュレットにしたが、流すときのフラッシュまで電動にしてしまった。第一、トイレの水をくみ上げるポンプが作動するかもよく分からない。
 何から何まで全部電気にお任せのオール電化に頼っていると、いざ長時間の停電が起こればお手上げになってしまう。便利さがあだとなる。不自由でもアナログな物も持っていないとこういうとき途方に暮れるのだ。
 昨年の東日本大震災の計画停電で、多少学んだつもりではあるが、我々の生活の基盤は極めて虚弱な物の上に乗っていることを改めて思い知らされた。全てを電化した最先端の生活は実はとても脆いのだ。
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 もう現代人はランプとたき火の生活に戻ることはできない。一度知った蜜の味は忘れられない。しかし、電気を産み出すシステムについて思いを馳せると、また違った局面が見えてくる。今年の総選挙はどうやら「原発」が争点のようだ。原発は即時廃止するという共産党から、曖昧な自民党まで様々な主張が繰り広げられている。
 昨日発足した滋賀県の嘉田由紀子知事が率いる「日本未来の党」は、卒原発というスローガンのもとに、第三極を結集するという。一方、「日本維新の会」は最初反原発を掲げていたのに、石原「太陽の党」と合流することで、原発反対の声がトーンダウンしつつある。
 小生も原発はない方がいい、だから反原発に一票入れたい。しかし、電気の重要性を考えたとき、そんなに簡単に止められるのかという疑問がある。第一に原発がなくなればコストアップで電気代は大幅に値上げされる。原発は嫌だが値上げも嫌だ、は通らない。第二に廃炉や使用済み核燃料の処理をどうするのか。こちらも膨大なお金がかかるし、放射性廃棄物処理場建設で大もめになりかねない。3年前に民主党がバラ色のマニフェストを掲げながら、現実の壁にぶち当たって失敗した例を思い出す。
 原発は反対だ、と口で言うのは簡単である。しかし、そうならそこに至るロードマップをしっかり示してくれなければ空約束にしか見えない。いまのところどの政党も具体的に原発依存からどう脱出できるのかの具体案を出しているところはないように見える。
by Weltgeist | 2012-11-28 21:43


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