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台風で釣りはお流れ (No.1171 11/09/20)

 犬を飼っている人達は餌をやるとき、「おあずけ」といって一時的に餌を食べさせないようにする。犬は食べたくて仕方がないが、飼い主の命令だから仕方なく食べることをストップする。しかし、この命令は一時的なもので、すぐに「よし」という許可が下りることを知っているから犬もしばらくの間我慢するのである。これが、餌を前にしてずっと「おあずけ」のままだったら、犬だって怒ってしまうだろう。ストレスがたまって、飼い主に噛みつくことだってありうるかもしれない。
 本日の小生はちょうどそんな状態だった。実は明日は東京湾口でワラサを釣る予定で釣り船の予約をしていた。それが今回の台風で船が出られそうもないから港まで来るな、と船宿から連絡があったのだ。久しぶりの釣りで数日前から張り切って準備していたのに、「おあずけ」になってがっかりである。
 しかし、眠い目をこすりながら早朝に港まで行って「今日は駄目」と言われるのに比べたら実害は少ない。釣り場を目の当たりにして「おあずけ」と言われようものなら本当にショックである。そういえば、今年の春にアジ釣りで三浦半島の鴨居港まで行きながら悪天候で船が出なかったことがある。あの時の悔しさに比べたら今回はずっとマシである。釣るぞーっ、と意気込んでいた気持ちが挫かれただけで、精神的に少し落ち込んだ程度ですんでいる。
 おりしも台風情報を見たら名古屋では庄内川が氾濫してたいへんな事態になっている。和歌山県の土砂ダムもいつ崩壊するか分からない状況で、住民たちは避難しているようだ。ということはものすごくヤバイ状態にあるわけで、こんな悪天候時に釣りに行くことは危険だし、第一不謹慎だ。船が出ないというのは「やめておけ」という天のお告げであろう。とりあえず明日のワラサ釣りは一週間延ばして来週の潮周りの良い日に再チャレンジということになった。
 しかし、「海は逃げない。釣りはいつでもできる」と言われるが、ワラサは逃げるかもしれない。ワラサという魚は潮の流れや水温などでめまぐるしく移動していく。どこか他の海で泳いでいた群れが、例年は9月の初め頃東京湾周辺に回遊してきて、10月ころには再びどこか別な海へ移動してしまう。今年の東京湾のワラサはすでに下火になりつつあり、来週までワラサが残っているかは分からないのだ。釣りの状況というのはわずか一週間ズレるとまったく変わってしまうことがよくあるのである。
 だが、先のことは分からないということは、良い方に変わることもあり得るのである。もしかしたら新しい群れが回遊してきて、いまよりもっと状況が良くなるかもしれないのだ。そうなると魚影が急に濃くなってワラサの入れ食いになる・・・・。
 釣り人というのはいつの時点においても楽天的である。釣りに行く前は取らぬ狸の皮算用を始めて、「沢山釣れたらどうしよう」なんておめでたいことを考える。絶対に自分が坊主になるなんて悲観的な事は考えない。頭のすみに「釣れないかもしれない」という不安はよぎるが、「そんなことは絶対ありえない。釣れる」という楽観論がそれを打ち消してしまうのである。明日の釣りをおあずけされた小生は、来週の再チャレンジまで指折り数えて、ワラサの爆釣を夢見る。このときの小生はまるで遠足前夜の小学生のような気持ちになっているのである。
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魚について知らない人はワラサと言ってもどんな魚か分からないかもしれない。ワラサというのは関西で言うところのハマチのことで、ブリの子供である。同じ魚を関西ではハマチ、関東ではワラサと言うのだ。そして、ワラサが成長すると最後はブリになる。地域とともに成長段階によっても名前が変わる「出世魚」である。
by Weltgeist | 2011-09-20 23:55


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