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インド・ラダックへの旅11(最終回)、デリーを経て帰国 (No.1125 11/08/01)

 15日間にわたったインドの旅も今日でおしまい。巨匠はこのあともラダックに残って、色々な場所を調べたいというが、小生は19日、午前6時50分、レー発のキングフィッシャー便で先に帰国する。
 午前4時半、例によって頼んでおいたホテルのモーニングコールはない。もうすっかりインドモードになっているから腹も立たない。こんなこともあろうかと携帯電話でアラームをセットしておいたから良かったものの、寝過ごせば帰国便に乗れなくなるところだった。携帯アラームの音で4時半に目を覚まし、5時にホテルを出る。レー空港のチェック体制は非常に厳しく、とくに荷物検査は厳重で時間を掛けるから早めに空港に行っておいた方がいいと聞いていたので、この時間でも少し心配である。
 空港の荷物検査が厳しいのは仏像などの古美術品を持ち出すやからがいるからで、とくに出発便には気を使っているという。もちろんそこで禁止品である蝶など出てきたら即刑務所行きだから注意する必要がある。以前ドイツ人が蝶を隠し持っているのが見つかって摘発されたことがあるのだそうだ。
 とにかく異様なまでにしつこい検査を何度もしたあとようやくチェックインになるが、荷物は何故かデリーまでである。デリーで成田に飛ぶエアインディアの便までスルーで連結してくれないのだ。デリーで一旦荷物をキングフィッシャーから受け取り、もう一度エアインディアのチェックイン時に預けなければならないようだ。実はこれがトラブルの始まりだったのである。
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 1時間強のフライトで午前8時ころインディラ・ガンディー国際空港(デリー空港)到着。レーからの荷物を取りだし、エアインディアのチェックインカウンターに行って荷物をキープしてもらおうと思ったら、出発が夜の9時なので、チェックインカウンターには4時間前の午後5時以降でないと入れないという。ということは大きなスーツケースはどこかに預けるしかない。ところがデリー空港は写真のように近代的なきれいな空港なのに荷物を預けるところがどこにもない。いやそれどころか朝ご飯を食べるレストランもないのだ。まずは邪魔な荷物を預けて身軽になったところで、20㎞離れたニューデリーの観光で夕方まで時間をつぶそうとのもくろみがここで崩れてくる。国際空港で荷物を一時預かりするクロークがないなんてことは考えられない。しかし、誰に尋ねてもそんな場所は知らないという。最後は空港管理事務所にいって聞いたら、やはり空港にクロークはない。どうしても預けたかったらニューデリー駅に行け。そこにはクロークがあると教えてくれた。ちょっと面倒だがどうせニューデリー市内観光をするつもりだからニューデリー駅まで行くくらいはどうってことはない。
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 空港の外に出るとタクシーの呼び込みが激しい。しかし、ニューデリー駅まではバスがいいと教わってきているので、こちらに乗り込む。バスの案内はヒンディー語と英語で言うのだが、英語はなまりがひどくてさっぱり聞き取れない。心配になり車掌に「ニューデリー駅に着いたら教えてくれ」と頼んでおいたので、問題なく駅前で下車。
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 これがニューデリー駅のホーム。日本の駅と似ているが、改札口のようなものはない。ホームにも人が溢れんばかりにいるが、チケットもどこで買うのかも分からない。このどこかにクロークがあるはずだが、英語がうまく通じず見つけるまで四苦八苦した。
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 ようやくクロークを見つけ、順番を待っている行列の最後に並ぶ。しばらくして前の人が「お前はクロークの申込書を記入したか? 」と聞いてくる。そうか、クロークを利用するには申込書が必要なのかと自分もそれを書き始めた。しかし、ここで問題点を発見。申込書には鉄道チケットの行き先などを書き込む欄がある。クロークを利用するには、鉄道のチケットを持っていることが必要なのだ。荷物を預けるだけなのに、チケットがないと駄目なのだろうか。もう一度書類を提出する場所で、チケットなしでもOKか聞いてみる。だが、ここでも英語がまったく通じない。相手が何を言っているのか、よく分からないが、どうもチケットの列車に合わせた時間とセットで荷物を受け入れているようだ。そんな難しいシステムを素人の小生が利用するのは危険である。このまま預けても、荷物が行方不明になる可能性があるのだ。事情が分からない素人は危ないことに手を出すべきではないと思い、残念ながらニューデリー市内観光も諦めてこのまま空港に戻ることにした。それがこの際一番安全なのだ。
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 ところが駅から再び空港行きのバス停までスーツケースを転がしていくと途中で、誰かが小生のスーツケースを突然担いで勝手に歩き出した。「おい、おい、何をするのだ」と言うと、「お前の荷物を行きたい場所まで運んであげる」という。誰もそんなこと頼んでいないのに、さっさと運ぼうとする。バス停は30mほど先である。そこまでいくらで運ぶのかと聞いたら「200ルピー」だという。30m200なんてとんでもない雲助である。そんなのいらない。俺が自分で運ぶと言って荷物を取り戻した。そうしてバス停まで歩き出すと、今度は黄色い幌のついた三輪車タクシー・オートリキシャの運転手が「空港まで400ルピーで行くからどうだ」と言ってくる。わずか30mの距離で次々と売り込みがあるのがいかにもインド的ですごい。しかし、20㎞400は30mで200よりずっと適正だろうと判断し、オートリキシャに乗って再び空港に戻ることにした。
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 古い人は日本にもミゼットという三輪車があったのを覚えているだろう。オートリキシャは多分これの発展形で、50ccのバイクに3人くらいは乗れるように座席を付けている。ドアや窓ガラスはなく走っていると外の空気が当たって結構涼しい。オートリキシャに乗っていればニューデリーの市内観光をしているのと同じで、快適である。しかし、信号でリキシャが止まると突然左右の空いている窓から人間の手が出てきた。物売りの少年がお菓子のようなものを買ってくれと売り込みにくるのだ。「いらない、いらない」と言ってもなかなか諦めない。そのうち信号が青に変わると急いで歩道に戻っていくが、物を売る子供達も命がけである。
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 結局市内バスでニューデリー駅まで行き、そこからオートリキシャで再び戻るという極めて短い市内観光 ( [^_^] ) を終えてデリー空港まで帰ってきた。それでも3時間ほどの暇つぶしにはなった。しかし、ここからが問題である。空港には時間をつぶすような場所どころか、レストランさえないのだ。巨匠からニューデリーでおいしいインド料理の店を紹介されていた。そこで朝飯兼昼飯を食べようと思っていたのに食事する場所さえない。クロークの件もそうだが、ここは国際空港の体をなしていないのである。
 とにかく唯一あったコーヒーショップでサンドイッチとコーヒーを頼み、あと9時間、思いっきりここで粘る覚悟を決めた。ショップ内には小生と同じくコーヒー一杯で粘っている人達がいる。写真の人はネパール・カトマンズからトランジットでシカゴに帰るアメリカ人で、彼らと話をしているうちに「おめでとう。日本女子サッカーチームがチャンピオンになったよ。すばらしい試合だった」と言われ、初めてナデシコがこの日の朝ワールドカップで優勝したことを知った。
 
 コーヒーショップで粘ること6時間。アメリカ人との話にも飽きてきたころ、ようやくエアインディア成田行きのチェックインが始まった。このときまた荷物検査の煩雑さに早くチェックインした方がいいだろうと、急いで手続きし、出国ゲートをくぐったのが間違いだった。小生の財布の中にはインドルピー紙幣が8940ルピー(日本円で約17880円)余っていた。これは空港の中で最後に両替すればいいやと思っていたのだが、出国ゲート先はもはやインドではない。全てはドルで売るインターナショナルのお店で、何でも高いのである。
 もはや用無しのルピーは日本円に交換した方がいいだろうとマネーエクスチェンジに行くと、何とここではインドパスポートを持っている人しか交換はできないという。日本に帰ってもルピーを交換する銀行はないので、8940ルピーはこのままだと紙くずになるしかないのだ。
 ところが、近くの店の店員が「ルピーをドルと交換してもいい」と声を掛けてきた。いわゆるヤミ屋である。ここでまだ自分はインドにいるという意識を持っていれば間違いはなかっただろうが、すっかり油断していた。店員の前で二度数えて8940ルピー確認して交換を頼んだ。彼はこれからマネーエクスチェンジに行ってドルと交換してくると言って、それからしばらくして戻ってきた。
 そして「お前は8940ルピーというが、数えたら8440ルピーしかなかったぞ」と言って、小生に160ドルしか渡してくれないのだ。彼の前で数えたではないかと言ってもらちがあかない。500ルピー札一枚抜き取られてしまったのだ。そのうえ、交換レートがひどい。17800円がわずか160ドルにしかならないなんて、まさにインド式詐欺にあってしまったのである。今思うに、これはマネーエクスチェンジと店員がグルになって詐欺をしたと思うのだが、すべては後の祭り。ま、仕方がない。インドでは楽しい思いもさせてもらったから、そのお礼と思って諦めることにし、翌朝、日本に帰国できたのである。

インド・ラダックの旅は今回で終わります。
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by weltgeist | 2011-08-01 23:55


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