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インド・ラダックへの旅2、レーに到着 (No.1116 11/07/23)

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 デリー到着後、タクシーの運ちゃんに多少回り道をされたが、何とか無事にネットで予約していたホテルに着いた。ここは空港から3㎞ほどの距離にある所で、周囲に沢山のホテルが並んでいる。空港からニューデリーまで20㎞近く離れているので、デリー空港周辺で乗り継ぎ便を使う人たちが利用するのに便利な近場のホテル街のようだ。こんな所を知らないと言った運ちゃんはとんでもない食わせ者である。何かラブホテル街のような裏道を入った右側がこれから一夜を過ごす「ユーロスターホテル」である。ホテルの設備はまあまあで、トイレも水洗。トイレットペーパーはないのが普通という噂と違って、ちゃんと完備していた。
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 荷物を置いて外に出るとものすごい数の車と、人の波。インド独特の黄色い幌のついた三輪車タクシー、オートリクシャが我先にと疾走していく。ここには交通法規なるものは存在していないようで、とにかく人より先にかき分けてでも出るのが原則のようだ。
 ホテルのボーイが写真の左端にある Bikaner というお店がお勧めのおいしいレストランというので、夕食はここでカレーを食べた。さずがに本場だけあってカレーは安くて(ナンがついて全部で100ルピー、200円)おいしかった。ただし、慌てて食べてしまったため、インド最初の食事の写真カットはなし。
 参ったのは無数のハエが飛んでいて、蒸し暑さで汗ばむ腕や顔にハエが容赦なくとまってくることだ。周囲のインド人たちは慣れているのか、一向に気にも掛けない風である。インドでは虫は殺してはいけない。だから蝶採りも許されないのだが、こんなところにも生命の尊厳を重んじる宗教的慈愛の精神が行き渡っているのだろう。それともあまりに多すぎて、いちいち追い払ってもきりがないから最初から諦めているのだろうか。
 そんな状況に慣れない小生はあまりのうるささに手でバシッとやってハエをたたき落としてしまった。オーッ、たちまちにして小生はインドのタブー、虫を殺してはいけない罪を犯すという罰当たりなことをしてしまったのだ。
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 翌朝、ラダックの州都レーまでのフライトは午前4時45分発。日本では考えられない早朝便に間に合わせるためには午前2時半起床、3時にはホテルから空港に向かう必要がある。ホテルに2時半にモーニングコールを頼んでおいたが、翌朝は何のコールもかからない。**さんがロビーに降りていったら、けしからんことにフロントのオヤジは大いびきをかいて寝ていたという。こうしたインド的いい加減さはこの後もずっと悩まされることになるのだが、まずは怒りを抑えてオヤジを起こし、車を呼んでもらう。
 昨日も書いたように空港まで3㎞の道のりはあっという間で、5分で到着。チケットを持っていない人はここから先、空港の中には入れない。マシンガンを持った兵隊がEチケットとパスポートをチェック。何度もテロ攻撃にあっている空港の警備は厳重で、3回ほど厳しい荷物検査をしてようやく飛行機に搭乗することができた。
 デリーからレーまでは格安航空会社(LCC)のキングフィッシャー航空が飛んでいる。**さん(**だと失礼なので、今後は彼のことを巨匠と呼びたい)によれば、以前はレーまでのチケットをとるのが難しく、長距離バスで3日くらいかけて行ったのだという。しかし、今は1時間強でひとっ飛びである。
 まだ暗いなか離陸してまもなく夜が明けてきた。眼下には雪を頂く鋭い峰峰が朝日に輝いていて、ラダックが紛れもなく大ヒマラヤ山脈の一角を担っていることが分かる。この山のどこかに小生があこがれるパルナシウスが生息しているのだ。しかし、実はこの険しさが問題で、レー空港はインダス川の深い谷底にあって、飛行機は山までわずか数百mくらいの狭い谷間を、ぶっつからないように降りていく。ちょっとでも操縦を間違えたらたちまち山に激突しかねない怖い空港だから、霧が発生するとすぐに欠航になることも、また霧が出る前の早朝に飛ぶのもこれを見て納得した。
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 今回泊まったレーのホテルはここ。西洋風の作りで、宿泊客は長期滞在している欧米系の人が大半で、外観を見た限りはきれいである。だが、中はやはりインド風でシャワー、お風呂はなし。あえてシャワーを浴びたい人はフロントに頼むと、熱いお湯をバケツに入れて持って来てくれる。これを水道水で温めに調整して体にかける。トイレは水洗が一箇所だけで、外にはボッタン式の穴ぼこトイレがある。インドでは事後お尻を水で洗う習慣があるようで、トイレの脇には水洗用のバケツが用意してあって、水を手に付けて洗うようだ。当然ながらトイレットペーパーはない。小生は手動式携帯ウオッシュレットを持参したが、日本から行くならこれはお勧め品である。
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 ホテルの窓からは雪を被ったこんな山が見えた。おそらく6000mくらいの高さだろうか。レーの標高は3500m。富士山より少し低い高さで、周囲はこうした高い山に囲まれた盆地になっている。3500mでは酸素の量はさほど減少してはいないが、それでも急激な動作をすると息が切れる。ここで無理をすると高山病になるので、着いた直後は体を高地に順応させるためにも、一日くらいはゆっくりレーの町を見学することが望ましいようだ。
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 これがレーの町のメインストリート。町には噂に聞いていたとおり牛が悠然と歩き回っていた。牛は日本のものと比べるとかなり小型で、毛並みも良くないからかりに食べてもおいしくはないだろう。
 この日と明日一日は、高度順応のためレーの町でのんびり過ごして、体を低酸素に対応できるようにする予定であったが、72歳の巨匠は急な坂道の多いレーの町中を驚くほどゆっくりと歩いてくる。4歳若い小生はどうしても早足になってしまい、しばしば巨匠が追いついてくるまで待つ形になってしまう。こんな足の遅い老人が5000mを越える山を登ることができるのか、不安になるほどの遅さである。だが、それはとんでもない小生の誤解であった。まるでアリが歩くほどの遅さだが、巨匠の足並みは決して乱れることなく、つねに一定の速度を保っている。その歩行法が後日驚くべき結果となって現れることをこの時点で小生は知る由もなかった。

以下明日に続く。
by weltgeist | 2011-07-23 23:47


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