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演奏会の楽しみ方 (No.1090 11/06/11)

 ニューヨーク、メトロポリタン・オペラの日本公演が8日から開かれている。今回の演目はプッチーニの「ラ・ボエーム」、ヴェルディの「ドン・カルロ」、ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」と魅力的な曲ばかりだ。とくに小生はラ・ボエームが好きだから行きたいと思っていたが、チケット料金を見て諦めた。最上のS席が64,000円、最低のF席でも16,000円とあり、小生が払えるお小遣いの限度を超えている。
 オペラのように出演者の数が多く、舞台装置などお金がかかるのは分かるが、それでも高すぎる。わずか数時間の楽しみで、貧困国民の年収分ほどのお金が消えてしまうのは今の小生にはもったいなさ過ぎる。一度聞いたらオシマイの生演奏よりDVDで何度でも聴き直しができる方を選ぶことにした。
 今回のメトロポリタン・オペラの日本公演は東日本大震災と原発事故で実施が危ぶまれた。アメリカ大使館が福島第一原発から80㎞以内のアメリカ人に待避を促し、日本に来ていた外国人が大挙して帰国したなかでの来日公演決定である。日本に行くかどうか、決定までには複雑な内部事情があったようだ。メトロポリタン・オペラ総裁のピーター・ゲルブは
Our visit to Japan will raise the spirits of the Japanese people, who are in need of visible shows of support and solidarity
「我々の日本訪問は、目に見える形での“支援”と“連帯”の気持ちを必要としている日本の人々を勇気づけることとなるだろう」と言って積極的に日本を支援する姿勢を示した。しかし、スター歌手であるアンナ・ネトレプコやジョセフ・カレーヤは、原発事故による放射能汚染を理由に来日を拒否している。
 百人以上のメンバーの中にはカレーヤのように「日本には行きたくない」と思っている人も何人かはいただろう。我々からみればそうしたことは残念だが、総裁のゲルプは「我々が来日するかどうかを世界のオーケストラや劇場が注目していたので、日本に来れたのは大きな例になった」(毎日新聞)と言っている。日本に来ることに心配もあったが、最終的には来日にこぎ着けたことには感謝したい。
 同じ日の毎日新聞には毎年別府で開かれる「別府アルゲリッチ音楽祭」でのマルタ・アルゲリッチのことも出ていた。大震災二日後にアルゲリッチから連絡があり、「こういう時だからこそ音楽祭をやらねば」と激励されたという。音楽祭は5月8~19日に開かれ、「東日本大震災の被害者への思いあふれる音楽祭になった。ライブで録音されたメーンのコンサートはCD化され、売り上げのすべてが被災者への義援金として寄付される。”日本の人たちとできるだけ一緒にいたい”とアルゲリッチは繰り返し語った。・・・そして”次は別府アルゲリッチ音楽祭を東北でやらなければいけないと思う”としめくくった」(6月8日毎日新聞夕刊)という。
 二つの演奏会の様子を聞いて、メトロポリタン・オペラは行かない、いや行けないとしても、アルゲリッチ音楽祭だけは機会があれば無理してでも行ってみたいと思った。九州まで行くのはたいへんだが、もしアルゲリッチが来年東北で演奏会を開くなら是非聴きに行きたいと思う。今回のアルゲリッチ音楽祭のCDは絶対買うつもりだ。
演奏会の楽しみ方 (No.1090 11/06/11)_d0151247_20552844.jpg
日本をこよなく愛し、今回の大震災でも全面的に支援を申し出たマルタ・アルゲリッチ。写真はAlgerich Arts FoundationからDLさせてもらいました。
by weltgeist | 2011-06-11 20:44


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