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ジワジワ迫ってくる不気味な危機 (No.1001 11/03/14)

 かってソビエト共産党を率いて、ボルシェヴィキ革命をやったレーニンは、「共産主義とは、ソビエト政権の権力、プラス全国土電化だ」と演説でぶった。抜群のアジテーターであったレーニンは、ほとんどインフラができていない後進国であったロシアで最も必要とされるのは電力であることを認識し、「全国に電気を供給せよ」と吠えたのである。
 彼の革命から100年弱になろうとする今、我が国ではほぼ国土の全域で電化が完了している。現在では電気はあって当然の物になっているのである。しかし、今回の地震でレーニンが言っていた電気の重要さを改めて思い知らされた。空気のような当たり前の存在であった電気のありがたみが分かってきたからだ。
 東京電力によれば、我々が使っている電気の需要は4100万キロワット程度であるという。それが今回の原発事故で3100キロワットしか供給できない状態になった。電力の需給予測でいけば1000万キロワット足りないので、一定時間電気の供給を停止させてもらいたいと言ってきたのである。
 この計画停電の要請を受けて、本日、電車などの公共交通機関での運転中止、間引き運転などが行われた。突然のことで首都圏では沢山の人の移動手段が制限されたようである。テレビでは電車に乗るために鉄道の駅で長い行列を作って待っている人の様子を報道していた。このほか、製造工場など大口電力需要者の操業自粛や、商売を諦めて店を閉めた人も沢山いたようだ。
 電気がなければ、人工透析とか人工呼吸装置を使っている病院などでは人の命を守ることができなくなる。また、一般家庭でも電気が無くなると、様々な困ることが出てくるだろう。
 最近の家は「オール電化」に近づきつつあり、照明はもとより、暖房から、ウオッシュレットのトイレまで電気が来ないと動かなくなる。テレビも電話も、インターネットも使えなくなり、冷蔵庫の冷凍食品は解けてしまう。最早電気無しの生活など考えられなくなっているのである。
 幸いなことに今日のところは、わが家のグループでの停電は実施されなかったが、明日以降がどうなるかはまだ分からない。しかし、当分の間不便な状態になることは確かだろう。地震による直接的な被害はないと安心していた我々にもその影響が時間差をおいて出てきたのである。
 また、原発の不具合も不気味だ。福島第一原発1号機に続いて3号機まで爆発し、2号機も冷却装置の不調からコントロールできなくなったようだ。もしかしたら第二のチェルノブイリになるのではないかという不安が鎌首を持ち上げつつある。明日以降はどうなるか予測のつかない混沌とした状況になっているが、今の困難を乗り越えるためにも、われわれはまず一致団結して被災者をあらゆる面から支援すること求められている。そして、節電が必要とされるなら積極的にそれに協力すべきだと思う。
 この歳になって東北までボランティアに駆けつける元気はない。それだからこそ、節電が必要ならせめてそれに協力すべきではないかと思っているのである。
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かってレーニンが「ロシア革命で一番必要なものは全国土電化だ」と電気の重要性を演説したクレムリン、赤の広場のひな壇。彼はこのひな壇の下にあるレーニン廟に今も永眠している。うしろにみえる Ленин というキリル文字がレーニンという語である。
by weltgeist | 2011-03-14 22:43


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