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いつまで持ち続けるのか現役時代の幻想 (No.867 10/10/24)

いつまで持ち続けるのか現役時代の幻想 (No.867 10/10/24)_d0151247_21314981.jpg 日曜日の午後は昔の名刺を整理して過ごした。長い間整理していなかったので、その数は千枚を越えていた。ほぼ99%が仕事関係でもらった古い名刺なので、部署も役職も変わっているだろうから残しておく必要性はまったくない。それでも一括してゴミ箱へ、というわけにはいかない。一枚ずつ確認しては廃棄するものと、いまも関係のある人は Access で作った住所録に入力していく作業を始めている。
 千枚もある名刺の山を見ていると、代表取締役社長、専務、常務、本部長、部長、課長、係長といった肩書きの人がゾロゾロ出てくる。ところが、それらの大半の人をほとんど思い出すことなができない。渡された日時などが書かれていれば思い出すかもしれないが、何もないとどこでもらったのかも全然記憶に残っていない。そんなすっかり忘れ去られた人がいっぱい出てきたのだ。
 自分の記憶力の無さには呆れるが、千人以上の人を全部覚えているだけのオツムがないのだから致し方がない。名刺に書かれた会社名まで忘れることはないが、その会社の人物は覚えていないということは、結局その人は会社というバックボーンを離れればすぐに忘れられるただの人だということになる。個人の実力なんてそんなものなのだ。
 だが、忘れられた当人はそんなことは思っていないだろう。「会社は俺が作った。俺がいなければ会社は窮地に陥るだろう」と思い、胸を張っていると思う。うぬぼれと勘違い、これが定年で会社を離れるとはっきりと思い知らされるようになる。かわいそうだが、どんなに会社で偉い人でも、辞めればただの人でしかない。
 普通はリタイアして1年もすると、現役時代の肩書きなど何の意味も持たないことを悟って、すっかり諦めの境地に入るのだが、なかにはしぶとい人がいる。昔の地位を忘れられず、それを背後霊のように持ち歩く人がいるのだ。こうした人が周囲にいると、回りはとても不愉快になる。とっくに力が無くなっているのに、人を役職の上下で見る身分主義者の権化。そして自分より身分が低いと見るや、たちまち命令口調になる横柄さには辟易とする。
 とくに過去に偉い人だったほど出しゃばりたがる。ひどい迷惑なのに、本人だけが気が付かない。おとなしくじっとしているのが一番、ごたごた動いても若い連中の邪魔になるだけである。過去の亡霊に取り憑かれて出しゃばってくる老人は見苦しいばかりだ。老兵は静かに前線から引き下がって「若造」に任せるしかないのだ。そうやって世代交代が成立していくのである。
by weltgeist | 2010-10-24 23:11


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