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会議で目立つ人 (No.620 10/01/21)

会議で目立つ人 (No.620 10/01/21)_d0151247_22233495.jpg 社会との協調性にやや欠くところがある小生、人とのコミュニュケーションがときどきうまくいかないことがあった。個人的に釣りや世間話をしていると問題ないのが、多数の人間の中に入って会社の営業方針など、仕事の議題を話し合うようになると、とたんに駄目になってしまう。だから、多くの人と仕事をしていく上で不可欠な「会議」というものが苦手であった。
 会議が始まると、不思議なくらい眠くなり、起きていようと努めれば努めるほどまぶたがくっついてしまう。眠くて眠くて仕方がなくなるのである。もちろん眠ってはいけないと思うから、無理矢理起きていようと努力するが、そう思えば思うほど眠気が増してくる。眠いという肉体的要求は如何ともし難く、これに抵抗出来なくなるのだ。
 そして、我慢の限界を超えた時は周囲にばれないようそっと居眠りをする。他のメンバーはたぶん小生が眠っていることを気づいているはずだが、面と向かって注意されたことは今まで一度もない。ということは、小生が会議に参加していなくても大勢に影響はないということである。一応メンバーだから声はかけられても、箸にも棒にもかからない人物として最初から期待されていないのかもしれない。そんなだから、今思えばむしろ眠くなったら遠慮なく居眠りさせてもらってもよかったのではないかと思っている。
 会議で眠くなる原因が寝不足にあるわけではない。睡眠は十分とっているにも関わらず、会議のときだけ眠くなるのだ。これは恐らく自分が内心では会議に出たくないと思っているからだろう。自分は仕事は嫌いではない。しかし、会議なんかやっている時間に自分の仕事をやりきる方がいいと思うから、嫌々した気持ちが睡魔の反抗となって出てしまうのだ。
 ところが、一方で会議大好き人間という人がいる。小生の同僚の中にも会議の始まる前にものすごい資料を造り、いざ始まると大きな声でとうとうと自分の意見を言いまくる人がいた。滑らかな口調で会議の参加者に自説を納得させる鮮やかな手並みは素晴らしい。サラリーマンで出世街道を駆け上がるならこうでなければいけないのかもしれない。だが、彼らの自信に満ちた態度を見ると、「俺には出来ない」という思いが余計強くなり、いつも隅で目立たないよう静かにしているしかないのが小生の常であった。
 とくに営業関係の仕事をしている人は、自分の考えを相手に納得させる弁舌のうまさが重要な要件であろう。こうした人は会議でも上手に議題をこなすことが出来た。口べたで恥ずかしがり屋の小生、幸い営業畑とは無縁な仕事だったから何とか定年まで首にもならずに会社に残れた。厳しい世の中になった今では小生のように会議の度に居眠りばかりやっている人間は即リストラの対象になることだろう。
 しかし、声が大きくて口の達者な人が優れた能力のある人物とは限らない。そうした人間がしばしばパフォーマンスだけがうまい、ごますり人間であったことを定年まで勤め上げた経験から小生は学んでいる。一時的には声の大きい人が目立っても最終的には、口より能力が重要であることはいつの時代でも変わらないのだ。

*添付した写真はヒエロニモス・ボッシュ「聖アントニウスの誘惑」左パネル。Hieronymus Bosch / Triptych of Temptation of St Anthony (left wing) / 1505-06 / Museu Nacional de Arte Antiga, Lisbon
by weltgeist | 2010-01-21 22:58


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