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床屋さんで聞いたハゲ情報 (No.561 09/11/19)

床屋さんで聞いたハゲ情報 (No.561 09/11/19)_d0151247_035972.jpg このところ頭の毛がだいぶ薄くなってきた。ハゲというまでにはなっていないが、頭のてっぺんは頭皮が透けて見えるほどになってきている。わが家の家系にハゲの人はいないので、たぶん遺伝的にはハゲにならない体質と安心していたが、ちょっと危うい感じもある。小生より5歳も若い友人の**氏はすでに頭の部分に毛と呼ばれる物が一切存在しない。むき出しになった彼の頭皮は見事なまでの光り具合になって、皆から「電気の明かりはいらない」などと言われている。小生も額の後退が進んでいるので、彼と同じ丸ハゲにはならないにしても、フルトヴェングラー(右の写真)みたいに真ん中がツルッパゲ状のカッパ頭になるのではないかと恐れを抱いていたのである。
 だが、今日床屋さんに行ったら、「お客さんの頭はたぶん大丈夫ですよ」と言われて安心した。その根拠は小生の髪の毛が、まだ十分な硬さと太さを保っているからだという。床屋さんが言うには、ハゲになるのは、髪の毛が抜けて無くなるからではない。だんだん細くなって、最後は見えないくらい細い産毛のようになるからだと教えてくれた。
 毎日頭を洗髪していると沢山の抜け毛が出る。最近その量が増えていると危惧していたのだが、普通の人でも一日に50本程度は抜けるのだそうだ。これは髪の寿命で新しい髪が生え替える新陳代謝だから心配する必要はないらしい。毛髪は日々成長するので毛根から生えたものは次第に長く伸びていき、ある時点でそれが新陳代謝で抜け替わるのである。抜け替えのサイクルは男性が3~5年、女性は4~6年で生え替わるらしい。
 頭がハゲることの原因はまだ良く分かっていないらしいが、ハゲになりやすい人は、どうやらこの抜け替えのサイクルが早いことが原因ではないかと、床屋さんは言っていた。抜け毛の量は多くなるし、普通なら毛髪が太く成長するはずなのに、その前に寿命が尽きて、新しい毛髪に入れ替わるから、髪の毛が太くなれないのだ。それが歳をとるにつれてどんどん細くなりハゲになるのではないかと言っていた。
 だから、遠目にはハゲのように見えていても。実際にはまだ毛根が残っているので、そこに「育毛剤」で栄養を与えれば、また太くなり、毛が生えてきた状態に戻れる可能性がなきにしもあらずのようである。リアップのような育毛剤は、毛根を太くするのにある程度有効なのだという。
 ところで、そんな話をしているうちに、床屋さんの将来性も今や危うい状況にあると言う話になってきた。最近、若い人で床屋さんになるのが少ないのだそうだ。理髪師より美容師の方に人気があるかららしい。カリスマ美容師なんて言われる人が出てくると、どうしてもそちらの方に魅力を感じてしまう。だから、髪の毛を切ってもらうにも、床屋より、美容院でやってもらう男が増えているというのだ。美容院の方が格好良くカットしてくれると思っているのだろう。。
 だが、厳密に言うと男の髪を美容院でカットしてもらうのは問題があるらしい。今回初めて知ったのは、床屋さんは「理髪師」の免許、美容師は「美容師」の免許がそれぞれあって、お互いに許される分野は微妙に違うらしいことだ。美容師法では女性の「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくする」ことを業務とするが、男性の髪をカットするだけの行為は違法となる。また、逆に美容師がカミソリなどを使って、顔の産毛を剃ったりすることは、理髪師の領分で、美容師には違法となるという。そもそも、人の体に刃物を当てることが許されるのは、医者と理髪師だけなのだそうだ。といっても、こうした区分は有名無実であって、厳密に守っているところなどないのが現状らしい。
 いつも床屋さんに行くときは昼寝のチャンスで、散髪台に座るとすぐに眠ってしまうのだが、今日はこのような興味深い話を聞いて、これは早速ブログで報告しなければと思った次第である。

 髪の毛を切ることで思い出すのは旧約聖書の士師記に出てくる怪力の持ち主・サムソンだ。マノアという男の妻は長い間子供が出来ないで悩んでいた。あるとき、み使い(天使)が現れ、お前の妻に子が授けよう、ただし、その子の頭に決してカミソリを当てて髪を切ってはならない、と言われる。こうして生まれた子・サムソンは、ものすごい怪力の持ち主で、ユダヤ人を支配するペリシテ人を次々とやっつけていく。だが、デリラという女に自分の急所は髪の毛だということをもらし、寝ているとき彼女に髪の毛を切られてしまう。
 怪力を失って捕らえられたサムソンは、目をえぐり取られるという残酷な目にあう。だが、ペリシテ人たちはやがてサムソンの髪の毛が新たに生えてくることを忘れていた。再び髪の毛が伸びてきて力を取り戻したサムソンは、ペリシテ人の前に引き出されたとき、宮殿の柱につかまりたいと頼む。油断したペリシテ人がそれを許すと、サムソンが柱を揺すって宮殿を破壊し、ペリシテ人をやっつけるという豪快な話である。
 この話をレンブラントは好んだのだろうか、マノアがみ使いから懐妊を知らされるところを描いた「マノアの燔祭(ばんさい)」(1635-40年)と「目をえぐりとられるサムソン」(1636年)という絵を描いている。
床屋さんで聞いたハゲ情報 (No.561 09/11/19)_d0151247_23561956.jpg
洋の東西を問わず、坊さんというのは、ハゲ頭が多い。坊主というのはハゲ頭の代名詞である。小生の大好きなイタリア・ルネッサンス時代の変人画家、カルロ・クリベリが描く坊さんの頭もツルツルである。きっと、この時代からすでに坊さんの頭はツルツルのハゲ頭だったのだろう。
Carlo Criveli 1430/35? -1493/95 / Saint Jaques de la Marche / Musée du Louvre / Paris

by weltgeist | 2009-11-19 23:57


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