1ドル50円って本当かいな (No.548 09/11/06)

 いつも利用している図書館で「日経ビジネス11月2日号」を見たら、表紙に「ドル最終章、1ドル50円の恐怖」と書いてあり、思わず読んでしまった。最近はこういうセンセーショナルな記事はなるべく一歩引いた位置から読むようにしているが、とりあえず内容が内容だけに気になる。ことの真偽は別にしてその論旨をここで軽く紹介しておこう。
 まず表紙をめくると、エマニュエル・トッドさんという人が、ドル暴落の概略的シナリオを書いている。それによれば米国の金融危機が終息し、通常の経済に戻ればドルの下落が始まる。経済力の裏付けのないドルは、二つの可能性の下に雲散霧消するだろうと彼は予測しているのである。
 一つは米国経済の衰退が限界点を超えることで、中東産油国がドルを見切ることである。産油国がドルを買い支えてくれなくなるというのだ。
 第二は軍事的なことだ。アフガニスタンで米国の無力ぶりが明らかになることでドル売りが加速するということの二点である。
 こうした恐ろしい可能性のあるドルを買い支えることは、解決出来ない矛盾を積み重ねていくことになり、近い将来起こりうる大暴落の被害を大きくするだけだ、とトッド氏は警告しているのである。
 さらに、本文に入っていくと、三井住友銀行のチーフストラテジストが、1ドルが50円まで下落すると予想している。理由は米国経済の悪化とドルの中長期的な下落が、ドル基軸通貨体制の崩壊を招くからだ。現在、ドルの下落をにらむように、金の価格が上昇し、1オンス、1000ドルを超えた史上最高値(本日、5日のNY相場は1088ドルとさらに上昇)を更新しているという。ニューハンプシャー州ブレトンウッズで1オンス35ドルと決められていた価格からみると、破格の高値と言える。つまりそれだけドルの信用がなくなり、金に逃避していることになる。
 1988年の日本の一人あたりのGDPは20417ドルで、スイス、ルクセンブルグに次いで世界第三位だった。それが2007年度名目GDPは円で403万8千円で、世界19位である。なぜこうなったかと言うと、ドルが真の国力を表せなくなっているからだ。19位は1ドルが117円で換算しているからで、もし80円なら一人当たりのGDPは50475ドルで世界7位、50円なら3位になるというのである。
 そんな価値が下落しているドルがこれまでなんとか維持できていたのは、世界の基軸通貨として使われていたからだ。各国は暴落しようとするドルを買い支えてきたのだが、ここにきて世界の基軸通貨としてのドルの価値が揺らぎつつある。基軸通貨と認めなくなれば、それはたちまち50円まで下落することになるのである。

 以上、日経ビジネスに載っていた「1ドル50円」という恐怖のシナリオを簡単に書いたが、もしそんなことになったらたいへんである。ドルが安くなれば海外旅行で有利だ、なんて考えは吹っ飛んでしまう。世界の経済がめちゃくちゃに破壊され、たいへんな混乱した事態になるだろう。
 だが、落ち着いて少し前に経済評論家たちが言った言葉を思い出してみよう。昨年起こった米国発の金融危機で、世界経済は100年に一度の危機的状況、恐慌に陥るだろうと専門家は予測していた。確かに経済は悪化はした。だが、少なくとも今現在の状況は恐慌とまでは言えないだろう。まだまだその下落は続くかもしれないが、100年に一度という表現とはほど遠い。これは彼らの予測が外れたことを意味している。彼らの予測も当てにはならないのである。
 つまりは、大げさに言われすぎたと思うのだ。小生、もちろん経済についてはまるっきり素人である。専門家の言うことに素人がけちをつけるのか、と言われれば反論することは出来ない。しかし、それでも50円という金額に対して「大げさ」であると感じてしまう。雑誌社が本を売らんがために、読者にショッキングなことを言いふらしているようにしか思えないのだ。
 これは小生の勘であって、何ら根拠のないものだが、自分の長年の経験から経済学者が右と言ったら左、上がると言ったら下がる、下がると言ったら上がる、買いと言ったら売りという具合に、逆をつくとそれが当たることが多いと信じている。彼らの言うことは当たらないのだ。だから、経済評論家の逆を見るのである。今回の1ドルが50円にまで下落するという説も小生の「逆をつく理論」から言えばドルは下落しないで、持ち直すのではないかと思っているのである。
 理由はただ一つ、ドルに変わる世界基軸通貨はいまのところ無いからだ。ユーロも円も、人民元もすべて力不足である。結局、不安はあってもドルを買い支えなければならないと推測しているのである。と言っても、何度も言うようにこれは素人のさしたる根拠もない推測だから、その結果については一切責任は負わない。数年後、ドルがどのような為替レートを維持しているのか、経済の専門家だってそれは分からないはずである。もし確実に分かれば為替FXで大もうけ出来るからだ。それを知るのは神のみなのである。
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先の見えない暗い世の中とも無関係に、庭の木々は例年通り、秋の収穫の時期を迎えていた。差し込む日差しはそろそろ冬の斜光となり、赤い木の実がその光の中に輝いていた。この木の実が熟れるとまもなく寒い冬がやってくる。
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by weltgeist | 2009-11-06 23:21


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