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悲しい思い出 (No.496 09/09/16)

 昔、ある街角で二人の男女が深刻そうな様子で立っているのを見た。女性の方は上から下まで新調したスーツ姿で、思いっきりおしゃれをしてきているのが分かった。その服装からして、女性はこのデートに並々ならぬ思いを抱いているようであった。
 だが、その女性が激しい慟哭をしながら泣きじゃくっているのだ。彼らの間に何があったのかは分からない。女性は心の底から悲しそうな声を出して泣いる。自分は見てはいけないものを見てしまったと思った。しかし、そう思いつつも、目はどうしても女性の方にいってしまう。
 彼女が男に自分の良いところを見てもらおうと着てきた新しい服に切ない女心が出ていると自分は感じた。そして、それに応えない相手の男の無神経さに腹がたつ思いがした。もちろん何が原因でこういう事態になったかは分からないのだが、恐らく「あなたとはお付き合いは出来ない。別れてくれ」とでも言ってるのだろう。女性の心情を思い、こちらも胸が詰まるような気持ちになった。あの時のことは今でも時々思い出し、彼女はその後幸せになったのだろうかと考えることがある。
 長い人生の間には悲しいこともあれば嬉しいこともあるだろう。それは誰も同じだ。土砂降りの雨もいつかは止んで、晴れ間が出てくる。そうでなければ人生などやって行けないだろう。自分の人生を振り返ってみても、苦しいことが沢山あった。人から見れば脳天気に釣りばかりやっている男と思われるかもしれないが、どんな人でも悲しいこと、辛いことはあるのだ。
 実は昨日、小生はまたまたとんでもないミスをして悲しい思いをしてしまったのである。キルギスの蝶のことを何人かの人の前で話をしようとパワーポイントのファイルを作っていることは(No.484 09/09/04)で書いた。その発表が昨晩あったのだが、現場へ行っていざ始めようとしたらパワーポイントのファイルが会場のPCで開けないないのだ。
 小生が作ったパワーポイントのファイルはパワーポイント2003である。ところが用意されていたPCにはパワーポイント2007がインストールされていて、小生が作ってきたパワーポイント2003のファイルが認識されない。焦ってPCを見たらフィルを読み取るハードディスクのランプは付いているが「重大なエラーが発生。ファイルの読み取りが出来ません」という警告が出てきた。
 来る前に妻の非力なノートPCと、Bさんのマックブックの両方で確認していて、何の問題もなかったから、まさか自分の作ったファイルが読み取れないとは夢にも思っていなかった。会場では30人ほどの人が小生の作業が終わるのを待っている。焦ったが、こうした場合は、コントロール+オルト+デリートキーを同時に押してタスクマネージャーを起動して、一旦読み取りを中止してやり直すのがいままでのウインドウズのトラブル解消法である。ところがそれを押してもタスクマネージャーが出てこない。
 エッ、何だこれは、と思ったらOSがビスタなのである。小生はいままでビスタを使ったことがない。やり方も分からず時間はどんどん過ぎていき、ただただオロオロするだけになってしまった。
 恐らくは小生が自分のデスクトップで作ったファイルが大きすぎて(190メガあった)、ビスタ搭載のノートPCではメモリー不足で読み切れないのだろう。時間はどんどん過ぎていくので結局、パワーポイントは諦めて素材用に付けておいた写真ファイルをエクスプローラーからダブルクリックしたビュアーで見るはめになってしまった。だが、これはファイルの順番がバラバラだから、人様にお見せ出来るようにはなっていない。パワーポイントで順番に出てくるようにされていた写真が、滅茶苦茶な順番で出てくることで頭の中が真っ白になって説明もしどろもどろ。目も当てられない状況に写真の表示も途中で止めて、発表を終えたのである。
 家に戻ってもこの夜はショックで、立ち直れないほど打ちのめされていた。この日のために準備しておいた多くのスライドが滅茶苦茶になり、今回の最後を飾るはずだったパミール高原のウスバシロチョウたちの美しい姿もほとんど披露出来ずに終わってしまった。
 もしこれが仕事のプレゼンだったりしたら、自分は致命的なミスをしたことになる。仕事を離れた利害関係のない蝶の話だから、影響はそれほどなかったろうが、それでも自分のミスに打ちひしがれてしまった。昔見たあの女性と同じ心境で、泣きたい気持ちを抑えながら昨晩は過ごしたのである。
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蝶に興味の無い人にはつまらない写真であろうが、昨日、会場でお披露目出来なかったパミール高原の蝶の写真の一部をこの場を借りてお披露目させて頂きたい。上がスタウディンゲリウスバシロチョウ、下はカルトニウスウスバシロチョウの後翅部分である。
by weltgeist | 2009-09-16 21:37


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