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今日はダウンです (No.1771 13/08/31)

 いつもブログは夜9時を過ぎた頃から手を付けて、23時55分ころ完成する。午前零時までにアップロードすれば「当日掲載」となるから、とにかく毎日欠かさずブログを書き続けるという体裁だけは崩さないよう心掛けている。
 しかし、今夜は駄目だ。書こうと思ったら、なぜか睡魔が襲ってきて眠くて仕方がない。何とか頑張ろうと思っても、知らない間に居眠りをしていて、キーボードの上に涎をたらして寝ている。
 今日の小生の実況報告をするにも、ここまで書くのが精一杯。もはや我慢できないので、このまま寝かせていただきます。皆さん、おやすみなさ~い・・・・。。。。。
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by Weltgeist | 2013-08-31 22:49

夏休みの終わり (No.1770 13/08/30)

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 まもなく夏休みが終わる。子供の頃、8月の終わりになるとたまっていた宿題をやっつけるのに大忙しだった。だが、今の小生には毎日が夏休みで、宿題もない。だから時間に追われることもない。しかし、いつまでも期限がなくダラダラ過ごすのは刺激がなくて面白みがない。時間というものはどこかで区切りを入れるからそれが貴重に見えてくるのだ。だらしなく毎日を過ごす人間にはむしろ「はい、今日でもう休暇はおしまい。サッサと宿題を仕上げろ」とやってくれた方が生きている実感がつかめる。
 人間は本来怠惰な怠け者である。だからある程度自分に目標を設定させてそれをやらせる努力をした方がいい。負荷をかける方が生き生きした生活を送れるだろう。今の小学生に夏休みの宿題が沢山あるのかどうか知らない。「今は宿題なんてないんだよ」という話を誰かから聞いたことがある。ことの真偽は不明であるが、実際には宿題がなくても子供たちは塾などの勉強に追われて昔小生たちが味わった優雅な夏休みは過ごせないだろう。
 小生が小学生だった時代、夏休みの宿題には昆虫の標本を作って提出した。朝早く近くのクヌギの木に樹液を吸いにきたカナブンやカブトムシを捕まえて、標本にしたものを誇らしげな顔をして提出したことがなつかしい。それがもとで小生は昆虫少年になったのである。今もわが家の前の山にはカナブンがやって来るクヌギの木があって、子供たちが小さな捕虫網でそれを採っているところを見ると、60年も昔の自分に回帰する思いがする。
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by Weltgeist | 2013-08-30 23:03

久しぶりの新宿 (No.1769 13/08/29)

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 タジキスタンから帰ってきてずっと家に引っ込んでいた。しかし、そろそろ体調も快復したし、長く家にいるのも精神的に良くない。幸い、ここ数日気温も多少低くなって外を歩けるくらいになったので、久しぶりに新宿へ出てみた。別に確たる目的もなく単なる町歩きである。すると、新宿駅東口、スタジオアルタの前で、上のような人たちを見た。
 ダークスーツを着た6人の男が、妙な格好をしてダンスのようなことをしている。周りには携帯のカメラを構えた人が沢山いてみんな興味津々風である。さすがに新宿ともなるとこの種のヘンチクリンな人がいる。これは面白い写真が撮れるかもしれないと、三脚をセットして多重露光やブレを入れた動きのある写真を撮ろうとした。ところが、カメラをセットする前にパフォーマンスが終わって、男たちはどこかへ消えてしまった。ちょっと小生がやって来たのが遅すぎて、メインイベントは終わっていたのである。結局、彼らが何を目的にこのような行為をやっていたのか、すべて分からないままオシマイになってしまった。
 しかし、新宿にはこの手のパフォーマンスをやる人が多い。多分、これから売りだそうとするタレントの宣伝活動の一環ではないかと小生は推測した。これが成功して人気がでればミリオンセラーの売り上げが期待できるかもしれない。もちろん簡単ではないし、全然反応がなくて売れなかったタレントの卵はゴマンといるだろうが、新宿ではこうしたことがしばしば行われて珍しくはないのである。

 この後は紀伊國屋書店に立ち読みに行く。最近は無駄な出費を避けるためにも、新本は本屋で立ち読み、じっくり読みたい古典は図書館で借りることにしている。だから紀伊國屋書店に行くのも、立ち読みと同時に最近出た新本の情報収集も兼ねてである。
 だが、さすがに紀伊國屋書店。面白そうな新本が二冊あった。一冊は、岩波現代全書の「ドゥルーズの哲学原理」。これは面白そうだからと早速その場で速読を始めた。しかし、哲学書は速読には向かない。すぐに諦めていずれ図書館が購入してくれるのを待つことにしたのである。
 だが、もう一冊の本にはしびれてしまった。タッシェンが発行したヒエロニモス・ボッシュの新しい画集だ。A2くらいのサイズで厚さは5㎝くらいありそうな大著である。これにボッシュの全作品が細かい部分写真を入れて事細かに解説してある。自分はボッシュの原画の多くを実際に欧州の美術館で見ているからある程度知っているつもりだった。しかし、この画集では原画でわずか10㎝四方くらいの細かい部分をページ全面サイズまで拡大した鮮明な写真で見せてくれている。そうすると、ボッシュって細かいところでこんな風に描いているのだと分かる。それがため息が出るほど素晴らしいのだ。
 だが、ボッシュ画集は素晴らしいけれど、値段も素晴らしかった。17000円という金額は小生のお小遣いの範囲を完全に超えている。買うことができない以上、紀伊國屋書店で立ち読みするしかない。小生、この分厚い本の最初のページから最後まで、穴の開くほど見て、無い脳みそにたたき込んだのである。約1時間、この本に蝉のようにへばりつく小生に書店の店員さんたちは往生したことだろう。
 自宅に戻った今、あの時の素晴らしさを牛が反芻するように思い出そうとしている。だが、脳みそに空洞が目立って記憶力が減退しているので、昼間見たばかりのボッシュの絵の記憶がもう消えかかって思い出せないのだ。情けない。こんなことならボッシュ画集は購入して、自宅でなめ回すように見ればよかったと思う。しかし、17000円の壁はあまりに高すぎて、小生には手が出せない。あの本が売れてしまう前にもう一度紀伊國屋に行って再立ち読みするしかないのである。
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by Weltgeist | 2013-08-29 23:43

目がおかしいです (No.1768 13/08/28)

 朝起きて外を見ていたら何かおかしい。目の前をうっとうしいハエのような虫が飛び回っているのだ。ところがうるさいなと追い払おうとすると消えてしまう。しかし、1秒もしないうちにまた出て来て右に左に素早く飛び回っている。これは変だと思ったら、目の中にゴミのようなものがあって、それが虫のように見えているのだ。昨日までそんなものは影も形もなかったのに今朝になって突然現れてきたのである。
 これは目が見えなくなる前兆ではないかと、あわててネットで調べたら、どうやら「飛蚊症」であることが分かった。
「飛蚊症とは目の内部を満たす硝子体が混濁することによっておこるもので、混濁の原因には、
1.生理的飛蚊症(病的ではないもので生来のもののことが多い)
2.後部硝子体剥離(病的ではないもので加齢・強度近視・打撲などによるもの)
3.その他(網膜裂孔、網膜剥離、硝子体出血、ぶどう膜炎などの病的なもの)」
ウイッキペディアには書いてある。
 どうも小生の場合は、網膜剥離で剥がれた網膜の一部が水晶体に漂って蚊が飛んでいるように見えているようだ。原因は加齢によるもので、しばらくすると漂っている網膜の一部がどこかへ行ってしまい気にならなくなることもあると言われた。しかし、そうは言っても目を動かす度に蚊があちらこちらに飛び回るようでとてもうっとうしい。
 しかし、しばらく観察していたら、目を決められた方向に向けたときだけそのゴミが見えることが分かった。そうならゴミが見えにくい角度に目を保っていればいいことになる。だが、実際には目を固定することは不可能だからいまのところ飛んでいる蚊を撃ち落とすことはできそうもない。
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 若い頃の小生の自慢は目がとても良いことだった。辞書のような細かい字も裸眼で見えていたのでメガネなど全然いらない幸せな人間だったのである。それが今になって目の不具合に悩まされるようになってきた。そういえば老眼になるのもとても早かった。若い頃の視力が1.5と、やや遠視気味が災いして、早くも40代初めには老眼となり、いまでは老眼鏡が手放せなくなっている。若い頃のツケをいまになって支払わせられているのである。
 最近は外に出ると目がとてもまぶしいと感じ、ときどき景色がぼやけて見えたりしていて自慢の目は全然怪しくなっている。これも聞いたら「白内障」の症状だという。白内障の原因は飛蚊症と同じく加齢による目の老化である。60歳代で70%、70歳代で90%、80歳以上はほぼ100%の人が白内障になるのだそうだ。71歳の小生は完全に90%のグループに入れられているだろう。視力低下に白内障、それに続いて飛蚊症まで悩む年齢になってもはや小生の目は自慢どころか、滅茶ヤバイところまで追い詰められているのである。
 「うるさい」という漢字は「五月蠅い」と書く。5月のハエはたしかにしつこくて往生することがある。だが、最近日本ではあまりハエを見なくなった。殺虫剤の効果でハエが絶滅の危機に追い込まれたのかどうか知らない。今は8月、8月のハエには出会わず、目の中に蚊を常駐させてしまっている。この蚊がはやくいなくなって欲しいと願っているが、簡単にはいかないだろうなぁ・・・。
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by Weltgeist | 2013-08-28 23:47

中国のカントリーリスク (No.1767 13/08/27)

 本屋でプレジデント9月16日号を立ち読みした。例によってこの雑誌は経営者の都合の良いことばかり書くので好きではない。今回もトヨタとグーグルの経営方針についてあれこれ書いてある。しかし、こんなろくでもない記事はすっ飛ばして、パラパラと速読で読んでいたら、大前研一氏が「バブル崩壊前夜の中国とどう付き合うのか」という記事のところで目が止まった。
 先日新疆ウイグル自治区で中国の負の部分を嫌と言うほど見せつけられたばかりなので、この記事だけは真面目に読んだ。それによれば中国ではカントリーリスクの増大によって生産拠点としてのメリットが喪失して、バブル崩壊前夜の様相を呈しているという。
 大前氏によれば新疆ウイグル自治区やチベットでは共産党政権による締め付けが強化されて、その矛盾が暴動にまでなったと書いている。だが、共産党の支配は中華人民共和国成立のときからのもので、今になってその矛盾が突出してきたとはどういうことだろうか。その原因について大前氏の分析が小生には興味深かった。
 中国は日本が歴史を歪めて認識しているのはけしからんと言っているが、大前氏によれば歴史認識を歪めているのは中国の方ではないかと言う。中国共産党が日本を追い出したというが、実体は蒋介石率いる国民党が追い出したのであって、国民党は解放後3年経って毛沢東たちに追い出された。最初共産党は日本を追い出すほどの力を持ち合わせていなかったのである。そのことを共産党が国民に教えないのは、真実を語れば共産党支配が崩れてしまうからだ。彼らがこうした歴史を直視しない限り日本との関係が友好的になることはあり得ないという。
 かって日本と戦っていた毛沢東主義の共産党は農村を基盤としていた。それは発展した現代の中国とはかけ離れている。共産主義は貴族や資本家から奪った富を貧しい農民に分配することは説明できても、今の時代に富をどのように分配するかの理論が弱い。共産主義とは貧しい時代の教義だからだ。
 中国は豊かになったけれど、その富を国民に分配せずに共産党幹部や政治家に集中させている。これが今の中国の矛盾である。重慶の薄煕来が汚職で問われているのはそうした矛盾の一角に過ぎない。退任した温家宝が2000億円もの財をどうして作れたのか。共産党幹部はお題目にすぎなくなった共産主義をいまだに唱えてすさまじいばかりの富の収奪を繰り返している。これが今の中国が抱える矛盾の根本的なことなのである。
 つまりは、新疆ウイグル自治区や尖閣問題で強圧的に振る舞うのも同じ根から出たものにすぎない。近代化した中国を古い共産党政権が牛耳っているところに全ての問題があることになる。共産党の一党独裁支配こそ、諸問題の元凶なのである。そうなると気の毒なのは中国国民だ。共産党の都合のいいように世論を操られ、産み出されてきた富は共産党に横取りされる。習近平はそれを改善する気持ちはありそうだが、本気での改革はできないだろう。なぜなら、それは自らの金づるを失うことであり、改革をやれば仲間から背中を刺されかねないからだ。
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by Weltgeist | 2013-08-27 21:27

ジョン君はイギリスに帰っていった (No.1766 13/08/26)

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 タジキスタン旅行の報告が長引いて他のことが書けなかったが、イギリスからわが家にホームステイしていたジョン君のその後について書いておきたい。彼は日本の良さを十分に堪能して今は国に戻っている。昨年は北アイルランドのダブリンからコペンハーゲン経由で日本に来たが、今はロンドンに住んでいるので、ブリティッシュ・エアウエイズの飛行機でロンドンに帰って行った。短い期間だったが、帰ってしまうと息子がいなくなったような寂しさを感じた。それにあの早口なキングスイングリッシュがもう聞けないのは残念である。
 しかし、若者の成長の早さは驚くほどである。昨年わが家に初めて来たときは、まだ少年の面影が残っていた。それが今年はすっかり大人の顔に成長していた。心持ち体も大きくなったのではないかと思われる。この写真ではTシャツ姿だが、彼にタキシード、シルクハットを被せ、ステッキを持たせれば格好いい英国紳士となるのではないだろうか。こんな青年ならわが家の息子として養子に迎えたいほどである。
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 今年も東北大震災の被災地でのボランティア活動をしたり、日本を堪能した彼も現代青年らしくコンピュータは欠かせないツールのようだ。わが家では盛んにネットサーフィンしていた。ところが、そうなると猫のイライがすぐに寄ってきて、彼のラップトップコンピュータのキーボード上でタップダンスをする。いたずら者のイライはいくら注意してもジョン君の邪魔をする。しかし、ジョン君はなれたもので知らんぷりをしていると、イライも諦めて彼のコンピュータの後ろでおとなしくしていた。といっても完全におとなしくなったわけではない。スキを見つけては思い出したようにジョン君の指を甘噛みするのである。この写真を撮ったときも30秒後にはジョン君の右手人差し指を「しゃぶって」いた。
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by Weltgeist | 2013-08-26 23:06

パミール高原に幻の蝶を求めて、15(最終回)、ドシャンベから日本へ (No.1765 13/08/25)

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ダンガラでの夜は恐ろしいくらい暑くて寝苦しかった。翌朝、ホテル向いのレストランで朝食を早めにとるが、早朝だというのにすでにお客がいる。タジキスタンはイスラム国である。8月9日までがラマダンの断食期間にあたり、イスラム教徒は昼間食事をとれないから朝からお客がいるのだ。ここの朝食で出た「カイマク Qaimak 」という特製生バターがおいしかった。柔らかくてやや酸っぱい味。おみやげに買おうかと思ったが、生はすぐに味が変質するし、多分空港で持ち出し不可と言われるだろうと聞き、諦めた。 
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8月3日、今日はいよいよドシャンベである。進むにつれて次第に道路事情が良くなり、車の数も増えてきて都会に近づいてきたことを思わせた。しかし、途中、何気ないところで車が止まった。ムキムが向いの小屋に行くと、バケツと大きなジョウゴを持った人が出て来る。ここがソリンスタンドだったのだ。20リッターくらい入りそうなバケツにガソリンをいっぱい入れて、ジョウゴで車のタンクに詰めていく。値段はどのくらいか分からないが、多分バケツ一杯いくらといったかなりアバウトなものだろう。 
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11時頃ドシャンベに着いた。広い道路に大きな街路樹(多分プラタナス)が植えられた落ち着いた雰囲気の町である。市内の車の数は思ったほど多くはなく、市民の足はトロリーバスがメインのようだ。ここは市の中心部に近いところだが、暑いのか昼間でも人影はまばらである。ただし木陰は案外涼しい。 
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町中にはこのような銅像があちらこちらに結構ある。これは見たことがある人と思ったら、どうやらスターリン(左の人物)のようだ。旧ソビエトの衛星国だったタジキスタンではまだスターリンは昔の栄光を保っているのだろうか。 
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これは左が劇場、右がレストラン。いずれも立派な建物で、昼食は右のレストランで食べた。 
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レストランの内部はこんな感じ。小生のような野人には全然ふさわしくない息を飲むような豪華さである。だが、ラマダンのためか昼間食事をするのは非イスラムの我々のような人だけなのだろう。貸し切り状態である。余談だが、夕食に訪れたトルコ料理のレストランは、人々であふれかえっていた。ラマダンの絶食といっても、日が落ちたら食べていいわけで、イスラム教徒たちは皆は夜の食事を楽しんでいた。 
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レストランの天井を写真に撮ってみた。見事なばかりの彫刻で飾られていて、雰囲気もすごい。ムキムは最高ランクのレストランにつれていってくれたようで、地元の人はここで結婚式もやるらしい。 
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レストランで小生はボルシチとトマトの千切りサラダを頼んだ。ボルシチ(左)は野菜による薄いピンクの色がついていて、日本で食べるものとは味が違う。もちろん本場だけにおいしい。コップに入っているのはタジキスタンお馴染みのチェリージュース。しかし、ここのジュースはレストランのオリジナルらしく、氷を入れて飲むとたいへんおいしかった。 
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ドシャンベ出発は8月4日、午前1時30分。真夜中の出発なので空港には今夜の23時半頃行ってチェックインすればいい。それまでこのホテルで仮眠した。ホテルは「アベスト Avesto 」という名前で、ムキムの説明によれば古いゾロアスター教教典の名前らしい。四つ星ホテルで中はエアコンが効いていて快適。久しぶりにシャワーを浴びてから、モバイル端末のスカイプで日本にいる妻と話をした。それまで Wi Fi がなくて一切連絡できなかったのだが、ここで初めて最新日本のニュースを聞いた。彼女の方は我々がウルムチで乗り継ぎできなかったことをチケットを購入した代理店から聞いていて知っていた。 
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この写真はドシャンベ空港ではない。北京から羽田へ行く全日空のボーイング787型機である。ということはあの厳しいドシャンベ空港のチェックも、中国での乗り継ぎも無難にクリアーできたということである。しかし、ドシャンベ空港での荷物検査は非常に厳しかった。タジクへ着いた時ザリーナから「ドシャンベ空港の荷物検査はとても厳しい。もし蝶を持っていることが見つかったら1頭につき5000ドルずつの罰金がとられるから蝶は持ち出すな」と脅かされていた。それが実際事実であることが分かったのである。空港では全部で3回の荷物検査があり、最初の関門はクリアしたが、税関のところで**氏と二人だけがなぜか鞄を開けるように言われる。中にお金、ドルがないか何度も繰り返して聞かれ、バッグを開けさせると、しつこいくらい手探りで中身を調べている。「俺たちは蝶なんか持ってないよ~っ」と安心していたが、もしどこかに隠し持っていたのをバレたらたいへんなことになっていたろう。
かくて空港のチェックもクリアし、無事に日本に帰り着いたのである。 


パミールの旅は今回が最終回です。
蝶に興味のない人には長い間、オタク的なことばかり書き綴って申し訳ありませんでした。明日から普通のブログに戻ります。
「パミールの旅」を初めから読みたい人はこちらをクリックしてください。
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by Weltgeist | 2013-08-25 21:38

パミール高原に幻の蝶を求めて、14、パルナシウスの聖地よさようなら (No.1764 13/08/24)

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8月1日、ついにグシュコンパスからお別れの日が来た。ここにいられたのはわずか5日間だけ。ウルムチの閉じ込めがなければあと4日余計にいられたのに残念だ。ガイドのムキムの判断で、日が昇ってくる前に暑さを避けようと早朝、後ろ髪を引かれる思いで下山を開始した。しかし、登って来るときは一歩ずつ体を持ち上げるしんどい動作を要求されたが下りは楽だ。ただ足を前に出せば自然と下って行ける。
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山を降りる頃になって体の調子が戻って来たようで快調なペースで下って行ける。今頃になって体調不良が治ってくるなんて皮肉なことだが、このあとしばらくして麓のバンチ村が見えてきた。登り口に着いたのは、テン場を出てから4時間弱だった。下りで4時間だから小生のような者が登りに8時間以上かかっても当たり前なのだ。ま、71歳であそこまで登れた。上ではだいぶへばって、ろくに動けなかったけれどそれでも目的の幻の蝶と出会えたのは上出来、良しとしようと総括することにした。 
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バンチ村のゲストハウスに戻ったとき、「何か食べたい物はあるか」と聞かれたのでスイカを所望した。山の上ではほとんど食事を食べられなかったが、スイカのような果物なら食べられるだろうとずっと思っていたのである。宿の娘さんがとってくれたサクランボと一緒に夢中で食べた。口の中に入れると甘いスイカの汁がジュワッと拡がる。世の中にこんなにおいしい物があったのかと思うほどで、これで生き返った気がした。 
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ゲストハウスで2時間ほど休憩したあと、ドシャンベに向けて出発した。帰国便は8月4日の午前1時半。チェックインを3日深夜23時半ころにやれば良いので時間的余裕はある。しかし、途中で何が起こるのか分からないのがパミールだ。アフガニスタンとの国境、M41号線に入ってまもなく車のウアーズが故障した。運転手のアジズが暑い中車の下にもぐって必死で直している。そのあいだ対岸のアフガニスタンを観察する。乾燥した急な斜面にできたわずかな平地に小さな家が7~8軒だけ建っている。前後50㎞以内に川を渡る橋はないからタジク側とは断絶した孤立集落である。そんな場所でアフガンの人たちはどのように生活しているのだろうか。この山の向こう側では今も戦禍に苦しむ人がいると聞くが、前にある集落はそんなことが想像できないほど静かで落ち着いていた。 
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帰路初日第一夜の宿泊はカブラボットパスから降りて来たとき立ち寄ったカライクームである。ゲストハウスより立派な建物だが、部屋の中は猛烈に暑くていられない。ここでも標高は1200mくらいだから高地なんだろうけど、熱帯のような暑さである。結局、夜になってこれはたまらないと、後ろでムキムが座っている台に布団を敷いてもらい**氏と野外で寝た。我々の向いに座っているのがドライバーのアジズ。 
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帰路二日目。アフガニスタンとの国境沿いの道ではこんな物も目撃した。このあと道路からトラックが転落した直後の現場で人々が集まっているところも目撃。ドシャンベまでは何が起こるか油断できないのである。 
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二日目の夜はダンガラという町までやってきた。一日中走っていてもまだドシャンベには着かない。日本で地図を見ていたときは簡単に行けそうに思えたが、とてつもなく遠いのだ。ダンガラでは一応ホテルらしい建物に泊まった。幸運にも外から見ると各部屋にエアコンがついているのが見え、まともなホテルのようである。しかし、エアコンは外から見える部屋だけで我々の部屋には扇風機しかなかった。多分、客寄せオトリのエアコンも故障しているのだろう。部屋の中は猛烈に暑い。この国が仙台と同じくらいの緯度にあるとは信じられない。まったく熱帯の国と変わらない暑さで、夜は暑すぎて熟睡などとても望むべきもなかった。
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by Weltgeist | 2013-08-24 23:12

パミール高原に幻の蝶を求めて、13、最終日の逆転 (No.1763 13/08/23)

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7月31日、今日がグシュコンパスで蝶を追える最後の日である。ドシャンベまで麓のバンチ村から三日は見ておく必要があるから明日8月1日は朝一番に山を降りなければならない。こうなるとウルムチで4日間無駄に過ごしたことが悔やまれる。あと4日あれば十分満足いく採集ができたろうに残念だ。
今日は残った全力を注いで昨日アレックスがアウトクラトールをペアで採ったという写真右手の谷の奥を目指した。**氏はまだ具合がすぐれず今日も近場で頑張るというので、小生は単独行動である。体は朝ご飯が食べられるまでに復調しているが、相変わらず足は重く、なかなか先へ進めない。それでも上に登るにつれて白い蝶があちらこちらから飛び出してきて、今日は少し期待が持てそうな気がした。
 
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この日はパルナシウスと遭遇する度に1回ずつ回数をカウントしていくことにした。1時間半ほどで20回を越えて数は上々である。しかし、目撃回数は多くても実際に捕獲できたのはまだ3頭だけで、確率が極めて悪い。原因は蝶が飛んできたとき小生が金縛り状態で動けないからだ。飛んで来た方向に走って網を振ればもっと採れたろうに、足がもつれてそれができないのである。
しかし、写真の場所に来たところでパルナシウスが水を飲みに集まってくることに気がついた。いままでパルナシウスが吸水するなんてことは聞いたことがないが、ここでは明らかに寄ってきて水を飲んでいる。この場所で待ち伏せしているとカルトニウスの♀ばかりが次々にやってきて効率が良い。これにテンシャンウスバの♀も混じる。そういえば一昨日のアウトクラトールも♀がテン場の水場に吸水にきたものだった。あとで**氏に聞いたら「パルナシウスが吸水することは知らない」と言っていたが、明らかに水を飲んでいるところを小生は観察したのである。
 
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吸水する場所で多分50回以上パルナシウスの飛翔を目撃したが、飛んでくるのはいずれも飛び古した♀ばかりである。♂は吸水しないのかもしれない。翅が傷ついていない新鮮な♂なら、この場所でない方がいいだろうと、さらに高度計が3230mを示すところまで登った。ここまで登ってくるとパルナシウスが飛んでくる確率はもっと高くなるが、走り回る体力のない小生には全然つかまえることができない。 
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ものすごく気合いを入れて午後4時まで上で粘ったが、目撃した数に比べてたいした成果のないまま夕方テント場に戻った。すると**氏がうれしそうな顔をしている。なんと右手に赤紋が鮮やかなアウトクラトールの♀を持っているではないか。エッ、なぜ。どうしたの。どこで採ったんだろう。俺は最後の力を振り絞って頑張ったのにボロの♀しか採れていなかった。それなのに、なぜだ。近場で楽をしていた**氏が採るとは・・・。
ガックリとする小生に**氏はムキムの方を見てニヤリとした。だが、彼の笑い顔を見て小生はすぐに状況を了解した。ウーム、素晴らしい手を考えたものだ。病人はベースキャンプにいて一昨日の小生のようにムキムに「採ってこい」と命令したのではないか。そんな奥の手があることを思いつかなかったのは小生の失敗である。**氏はそうやってこれをゲットしたのだろう。そう思い込んでいたのである。
だが、それは小生の**氏に対する失礼な早とちりだった。実はこれはムキムが採ったものではない。**氏がアウトクラトールを沢山採っているアレックスに頼んで分けてもらったのだという。それも思いっきりきれいな♀をもらったのである。
 
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これがアレックスから分けてもらったアウトクラトールの♀である。傷一つない生まれたばかりのような新鮮さをしていて、後翅にある独特の赤紋がとても美しい。これが高き岩山の上の方にいて「俺を採りたければ上まで登って来い」と命じていたパミール高原の王者である。「 Autocrator =専制君主」の名にふさわしい威厳に満ちたこの蝶に小生は息を飲む思いがしたのだった。 
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ベースキャンプ最後の夕方、フランス人のギヨーム・メッソニエ(左から三人目の黒いシャツの人)が登って来た。彼もアウトクラトールが狙いである。テント場は日本、タジク、ロシア、フランス人が集まった「国際アウトクラトール会議場」のような雰囲気が出来上がってきていた。みんなの共通言語は英語だが、このときの小生は幾分高山病気味で、話す英語が滅茶苦茶になっていた。しばしば単語を忘れて言葉に詰まるだけでなく、動詞を全部過去形で言い始めていた。「明日はバンチに降りた・・・」といった具合に未来のことまで全部過去形を使うひどい英語で頭も混乱していたのである。アレックスの英語もときどき窮するとスペイン語(彼はペルーにいたことがあり、スペイン語を話す)が出てきたし、ギヨームも”H"を発音しないフランスなまりの英語を話した。だが、共通の趣味を持つ者同士ならそれでも話は通じる。かくてグシュコン国際村最後の夜は楽しくふけていったのである。 
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by Weltgeist | 2013-08-23 23:18

パミール高原に幻の蝶を求めて、12、今日も採り逃がしばかり (No.1762 13/08/22)

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7月30日、6時起床。昨日アウトクラトールの♀をネットインさせたムキム君が朝ご飯のスープを作ってくれる。小生の胃腸の調子は昨日よりマシになっていて、スープくらいは食べられそうだ。下痢はまだ続いているが恐る恐る少し口に入れる。しかし、**氏の方はまだ相当具合が悪そうだ。今日も空は雲一つない快晴で、昼間になると暑くなりそうだ。このため朝まだ暑くならないうちの方が蝶と出会える確率が高くなるだろうと8時にキャンプを出かけることにした。 
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本日アレックスが我々のために教えてくれたのはこのポイント。手前のガレにかすかに見える踏み跡(多分放牧された家畜が歩いた跡)をトラバースして、先に見えている岩場の付け根まで行け。そうすれば上の方からアウトクラトールが降りてくるだろうという。しかし、ガレのトラバースは見るからに危険そうである。無鉄砲な小生でも今の自分のコンディションを考えたらとても行ける場所ではない。岩場の付け根にはアウトクラトールの食草であるコリダリスも生えていて有望だというが、残念ながら諦めた。採りたい欲望を理性が抑えたのである。 
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仕方がない。昨日に続いて同じ場所に行くことにした。比較的ゆるいガレのスロープをトラバースし、崖の下に来ると、すぐにアウトクラトールらしきものが飛んで来るのが見えたが採れない。そしてそのあともう1頭きたが、これもわずかな差でネットに入らないで逃げられてしまった。太陽の日は強烈に地面を照らし、ジリジリと熱気がわき起こってくる。暑い。ここは3000mの高地だというのになんという暑さだろうか。
10時半まで崖の下で粘るが、何も飛んでこないので、手前に見えるゆるいスロープの方に移動した。すると白い大きなパルナシウスがフワフワと飛んできて少し先の地面に止まったのが見えた。チャンス到来である。
 
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カメラを構えて近づくと赤い斑紋が鮮やかなカルトニウスがじっとしている。ここで小生、ネットを出すか撮影が先か迷ったのだが、カメラを優先させた。そして2回ほどシャッターを押したところで彼女(多分♀)は風に乗ってどこかへ飛び去ってしまった。ちょっとピンの甘い写真は撮れたが、中途半端なまま肝心の彼女は小生の手の届かぬところに行ってしまったのである。
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お昼には早くも戦意喪失。テントに戻って再び休養モードに入る。アウトクラトールがいる夢の場所に来ているというのに、具合の悪い**氏と日陰で横になっていた。情けないけど体は言うことを聞いてくれないのである。
午後になってティロが戻ってきてすごくきれいなカルトニウスを採ったという。早速岩の上に置いて写真を撮らせてもらうと、後翅の赤紋が発達した Parnassius charltonius vaporosus の♀だった。インドで見たカルトニウスとは全然違う。赤紋がアウトクラトールの♀のようにつながったすごい個体である。有名パルナシウス研究家である**氏によれば、パミールにいる vaporosus という亜種でもこの地域のものは、後翅の赤紋が連続して帯状になる型が出現する確率が高いのだそうだ。だから、彼はアウトクラトールと同時に、こうした赤紋が帯状に連続したカルトニウスを目標にしていて、これに出会えたことに喜んでいた。
 
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この日、キャンプに新たにサンクトペテルブルグから来た研究者のボリス(中央の青いシャツの人)が加わった。彼が持って来たウオッカでみんなが乾杯している。だが、下戸で下痢が治らない小生はお茶で乾杯である。本日到着したばかりのボリスは、早くもアウトクラトールの♂1頭とカルトニウス1頭を採ったという。このあとアレックスも帰ってきて、アウトクラトール1♂1♀、カルトニウス3頭を40分ほど上に歩いたところで採ったという。ここなら明日になれば小生でも何とか行けるのではないか。グシュコンパスで我々が採集できるのは明日が最後で、明後日には山を降りなければならない。小生、明日は絶対この場所に行ってみるぞと思ったのである。 

以下明日に続く。
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by Weltgeist | 2013-08-22 22:51