人気ブログランキング | 話題のタグを見る

週刊ダイヤモンドが書く不吉な予言 (No.279 08/12/14)

週刊ダイヤモンドが書く不吉な予言 (No.279 08/12/14)_d0151247_2384720.jpg これから途方もない経済危機がくるかもしれない、なんて昨日書いてしまった責任感から急に自分の予測が正しいのか心配になり、経済雑誌を買って確認してみた。小生がときどき読むのは「週刊エコノミスト」が多いが、今日は「週刊ダイヤモンド」も買った。表紙に赤い大きな文字で「中国大不安、新興国クライシス」とあり、いかにも読者を引き込む刺激的な言葉に、ついつい釣られてしまったのである。
 中を開いて見たら中国を初めとする新興国の悲惨な状況が、これでもか、という具合に書いてある。今回の危機でドル下落の影響を比較的受けなかったのは日本の円だけかと思ったら、中国元も為替だけなら傷は軽微なようだ。しかし、それでも中国産業界に与えた衝撃は相当ひどく、経済成長率だけでも3.6ポイントも下落し、企業の倒産、従業員の首切りが進んでいて、各地で暴動のような騒ぎが頻発しているという。
 新興国でとくにひどいのは韓国で、通貨ウオン、株価、不動産、輸出の4つが大幅に下落したところに大統領の支持率が下がるという、「五つの暴落」にあえいでいるという。もちろん、ロシア、インドなど少し前まで飛ぶ鳥を落とす勢いだった国々も全てダメのようだ。今週のダイヤモンドは、どのページを開いても、ここもダメ、あそこもダメだったという悲観的な記事ばかりで、やはり恐慌勃発前夜という緊張した雰囲気が伝わってくる。
 米国の大恐慌は底を打つまで4年かかった。途中何度か一時的な回復傾向が見えて、一瞬かすかな希望を持たせたが、希望はすぐ絶望に代わり、経済は株を含めて奈落の底に落ちるように崩壊して行ったのである。だが、現代のスピードでは4年なんて先は、それこそはるか遠い未来のことでとても予測出来ない。ダイヤモンドの記事でも、せいぜい1年先程度のことしか扱っていない。皆、大恐慌が再来してもそれが数年間続くなどと思っていないのだ。しかし、これはやってみなければ分からない。一年で危機は遠のくかもしれないし、4年以上の長期にわたって大崩落を続けるかもしれないのである。恐れるのは、前回の大恐慌と同じく数年続く方になった場合だ。短期間なら何とか持ちこたえられても、これが数年続くとなると日本も現在の状況とは比較にならないたいへんな事態となるだろう。
 かって、恐慌は資本主義に内在する矛盾が循環的に現れ、それが恐慌で一掃されて次の繁栄が生じると教えられた。溜まりに溜まった矛盾をぶち壊し、一度全部ご破算にして一からやり直す、それが恐慌だと自分は思っていたのである。とすれば、今回の件は物の実価値を無視して原油や穀物の価格を投機で吊り上げたマネー自身の自己回復の過程ともとれる。身から出たサビではないが、行きすぎたマネーがこのまま行けば自らの存続をも危うくするとして、自然発生的に生じた反動であると思っているのである。
 しかし、それなら被害は投機資金で世の中を滅茶苦茶にした連中に一番強く当たらなければいけないはずなのに、彼らはまだため込んだドルがあるのか、あまりひどい目にあったようにも見えない。何でこうしたバブルを発生させた連中の傷が浅く、弱い庶民が一番ひどい目にあうのか、理不尽な思いがしてならない。
 我々にとって関心があるのは恐慌が起こった場合、どんな有効な防衛手段があるかだ。欲しているのは、それからの脱出、回避策である。だが、ダイヤモンドにもエコノミストにも決定的な解決策を示した記事は見あたらなかった。か細き庶民は嵐が襲ってくるのが分かっていても、それから逃れるすべがないのだろうか。
 
by weltgeist | 2008-12-14 23:06


<< ファジーな真理。その8、ハイデ... 百年に一度の経済的危機で来年は... >>