デジタルカメラの落とし穴、色飽和 (No.207 08/09/16)

 数年ほど前からデジタルカメラを使い始めた。銀塩フィルムカメラに長年慣れ親しんできた人間には、何か取っつきにくいところがあり、ずっとデジタルカメラは敬遠していたのだが、あまり頑なにデジタルを拒否していると時代に置いて行かれると、2006年にニコンのデジタル一眼・D70を初めて買った。以来、D200、D300と買い換えてきたが、確かにデジタルの便利さには納得せざるを得ないところもある。しかし、不満も沢山ある。第一にデジタルは、コントラストが強すぎることだ。フィルムでは真っ白から真っ黒までほぼ滑らかなグラデーションがあるが、デジカメではこれが極端で、黒は真っ黒、白は真っ白になってしまう傾向が強い。
 いわゆる白飛び、黒つぶれという現象に悩まされるのである。初期の頃、試しにD70で撮ったものを印刷原稿に使ったところ、印刷オペレータも慣れないところがあって、真っ白と真っ黒の部分が出たひどい写真となり幻滅したことがある。これでは銀塩フィルムに勝てないと思って、仕事で使うことは諦めたものである。
 だが、D300になって、こうしたデジカメの欠点をかなり克服してきているようだ。ややアンダー気味の露出で撮れば、白飛びは相当部分で避けられるようになったし、階調度も以前よりずっと良くなったと思う。しかし、もう一つ、やっかいなことがある。それは色飽和という問題だ。写真、特にデジタル写真を知らない人には「色飽和」というのは初めて聞く言葉かもしれないので、とにかく下の写真を見ていただきたい。赤い花を撮ったのに、赤がつぶれたような発色になっている。これは赤色が鮮やかになりすぎた飽和状態になり、ディテールがつぶれてしまったからだ。これが色飽和と言って、デジカメのネックとなっていることでもある。
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この写真はわざと赤色が色飽和を起こすように、ニコンD300の設定で「ピクチャーコントロール」を鮮やかな色に再現する「ビビッド」という設定で撮ったテスト画像である。ニコン以外のコンデジでも「鮮やかな色に」という指定をするカメラは沢山あるから、自分のデジカメがどのような設定になっているか、一度確認しておいた方がいいだろう。見てくれが鮮やかな感じになる設定だと色は鮮やかになるから「きれいな写真になる」が、赤色などが多めに写った写真では、細部がつぶれた色飽和を起こした所が目立ってくる。特にこれから紅葉の季節などではあまり彩度を強めにすると、こうした赤色~紫色や濃い橙色では色飽和が起こりやすくなるから注意した方がいいだろう。
撮影データ・D300、AF-S DX 17-55mm F2.8G。ISO/400、F/7.1、1/1000秒、ピクチャーコントロール/ビビッド、アクティブDコントロール/標準、EV±0。
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同じ写真をPhotoshop CS3のCamera Raw 4.5を使って、露光量-0.25、彩度-9で現像。さらに、Photoshop CS3の「イメージ」→「色調調整」→「色相・彩度(H)」を開き、彩度を-9に落とすレタッチをしてみた。これで上の画像より多少赤の細部が出てきたが、色の鮮やかさは少し失われれいる。
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彩度を-9に落とした上の写真を、さらに明暗調整したのがこちらの写真だ。Photoshop CS3でレタッチするときは「イメージ」→「色調調整」→「明るさ・コントラスト(C)」と開き、上段にある明るさのスライダーを-30まで暗めにしてみた。明るさだけの調整なら「トーンカーブ」を少し引き下げて暗くしてもいいだろう。これで、鮮やかさは出ないが、赤色の細部はだいぶ出てくるようになった。しかし、それでも本物の花に比べると、まだまだの感じがある。色飽和を起こした写真をレタッチで直すのはこのあたりが限界で、やはり撮影するとき、こうした色飽和を起こしやすい被写体はあまり鮮やかに写る設定をカメラにしない方がいいだろう。なお、今回は普通のデジカメの使用を想定し、jpgで撮ったが、Rawで撮ればレタッチの許容度はもう少し良くなる。しかし、それでも気休め程度と思い、あまり後処理に期待しない方がいいだろう。
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by weltgeist | 2008-09-16 22:49


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