東北の鮎釣り場でも特に有名な小国川だが、不思議とこの川でいい釣りをしたことがない。数年前に、ある有名作家と解禁日に行ったら、大雨で川は薄く濁り、数尾の貧果ですごすご帰ったことがある。そして、昨年、今度こそリベンジしてやるぞと出かけたら、解禁3日前に1.5mの増水があり、またまた絶不調。ようやく小さな鮎を15尾釣って、危うく坊主は免れたが、どうもこの川と小生の相性はあまり良くないようだ。
それでも馬鹿な釣り師は懲りない。今年は天気もいいし、増水の恐れはない。その上、天然遡上も多そうだから、去年のようなことはないだろうと、明るい気持ちで、またまた解禁日は小国川で迎えることにしたのである。同行してくれたのは、宮城県に住むIBさん、MYさん、STさんである。彼らの話では地元宮城県の鳴瀬川、江合川も今年は遡上が良く、最高の条件だという。しかし、リベンジにこだわる小生が「小国川に行きたい」と所望したため、皆さん、地元の川を諦めて、小国まで付き合ってくれているのである。 ところが、川に着いてびっくり。今年は渇水で水がないのだ。水が多ければ多いで困るし、少なければまた困る。何とも鮎釣り師というのは、面倒で手前勝手な要求をする人種なのだ。それでも増水で濁っているよりマシと、午前4時、まだ暗いうちから仕掛けをつなぎ、釣りを開始した。最初に竿を出した場所は、一関大橋から500mほど上流の瀬だ。水温は18℃と、鮎の条件としては悪くはない。 釣り始めてすぐに1尾きた。しかし、小さい。13㎝くらいだろうか。これを無理矢理オトリにして沈めるとすぐに第二弾がくるが、これも小さい。川の渇水状況と鮎のサイズから、小生、すぐさま糸を0.03号の極細に変える。細い方が絶対有利だと判断したのだ。細糸だからオトリの動きも良く、しばらくは順調に釣れてきた。作戦は大成功と思われた。ところが、これが裏目に出てしまったのである。最初のトラブルは上流から流れてきたゴミである。これに触れた糸が簡単に切れてしまったのだ。続いて根掛かりで2尾目のオトリを喪失、さらにそのあと、異常なくらい大きい放流鮎が掛かり、これがセットバラシで3尾目も逃げられる。糸は切れ、鮎は逃げる。しかも、切れた仕掛けを修復させるために、時間のロスがどんどん出てくる。そんなこんなで、午前9時頃までに5尾くらいしかキープできない悪いパターンとなってしまった。 このまま行くと、昨年の悪夢の再来と読んだ小生、再び糸を0.04号に少しアップさせる。この糸は0.03号よりワンランク太いだけだが、強度は比べものにならないくらいある。それ以後はトラブルもなく順調で、お昼に上がるとき数えたら21尾だった。決していい数字ではないが、午後の事を考えれば、40尾くらいは射程圏内に入る数である。 だが、これが甘かった。午後は少し上流の砂利屋の裏に入ると、まるで釣れない。2時間で2尾と悪夢の萌芽が顔を出し始める始末である。午後2時15分、この場所を諦めて、下流のバイパス橋下に移る。残り時間は2時間少ししかない段階で23尾しか釣っていない。少なくとも合計30尾が納得の数字だから、後7尾は釣りたい。だが、すでに釣れそうな場所には先行者が頑張っている。そこに割り込む鉄面皮さは持ち合わせていないから、諦めの心境である。それでも何とかチビ鮎が4尾きたのは、上出来だったかもしれない。4時半、目標の30尾まで3尾及ばないところで本日の釣りは終了。 帰りしなに、IB さんの携帯に地元、宮城の情報が入ると、彼の顔が急に曇りだした。ウーン、これは悪い知らせだなと思ったら、やはり悪い。なんと、地元の鳴瀬川で94尾も釣ったというのだ。夜、MYさんの家で94尾釣ったYDさんの釣果を見せてもらったが、小国川の煮干しチビ鮎とは比較にならない見事な魚体で、小生、思わず「恐れ入りました」とYDさんに頭を下げたのだった。 チクショウ、明日こそ見ておれ、俺様も鳴瀬川で大暴れをしてやるぞと、心に誓ったのだが、睡魔には勝てない。すぐさま爆睡状態に落ち入り、翌朝まで前後不覚となってしまった。布団の中で入れ掛かりの幸せな夢を見たかどうか、眠りが深すぎて覚えてはいない。 *2008年鮎釣り第7日目、釣果27尾、累計総釣果301尾、日アベレージ43尾。
by weltgeist
| 2008-07-03 21:30
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