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雨の中に咲く花(No.93 08/05/10)

 朝から雨が降っていて、日課の森歩きもこの雨では行けそうもない。それで、窓の外を見ながら、のんびりと家で読書などしていると、先日虫が隠れていた薄いピンクの花が目に付いた。その花が今日は雨に濡れて花のこうべをたれ下げている。冷たい水滴がひっきりなしにかかり、季節はずれの寒さに震える花は、ひたすら雨が止むのジッと堪え忍んでいるように見えた。
 雨に耐える花の姿も悪くないかと、D300を取り出し、家の庇(ひさし)で雨がしのげる位置から傘も差さずに数枚シャッターを押してみた。以前の銀塩フィルムならこの後、現像が上がってくるのを待つしかないが、デジタルではすぐパソコンで写り具合を確認できる。早速、PCを立ち上げ、さっき撮った花の画像を確認する。しかし、どうも自分のイメージしたものと違うような気がする。
 雨が降っている時は光量が足りないから、力強さが欠けたフラットな写真になりやすいのだ。写真はアングルも重要である。庇の下で雨に濡れないよう撮ったことが影響しているかもしれない。だが、この雨の中、濡れないで撮影するには庇で雨がしのげる位置しかとれないのだ。もちろん、傘を差してまで外へ行く気はないから、アングルを変えるのは難しい。もう一度同じ位置から庭に出て同じ花を、今度は少し露出のシチュエーションを変えて、コントラストが付くように意識して撮り直すことにした。こうした素早い対応が出来ることがデジタルの便利なところでもある。
 それが下の写真である。再度PCで確認してみると、イメージ的にはだいぶ良くなったが、それでも自分が撮りたいと思っていたものとは少し違う気がした。どこが違うのか、しばらく考えて、花の向きが他の花と違うことに気づいた。ほとんどの花は雨に打たれて、しなだれるように下を向いている。そのけなげさを表現したかったのだが、撮れた花は上を向いている。雨にジッと耐えた下を向く花を撮ろうとすると、庇をから出た位置に行かないと撮れないのだ。だから無意識のうちに撮りやすい上を向いた花を狙っていたのである。
 雨に負けてうなだれる花を撮ろうとして、雨の中でも元気に上を向く花の写真となってしまったのだ。しかし、改めて見ると、この上向きの花には何か力強いものが感じられた。それは、他の花が皆雨粒の重さで、しなだれている中、自分だけは負けないで頑張ってるよ、と自己主張しているように思えたのである。薄化粧した和服姿の美しい女性が、春の雨の中、濡れるに任せて元気に歩いて行く、そんな印象を小生は受けたのだ。雨はうっとおしいかもしれないが、注意すれば身近なところに意外な発見があるものである。
雨の中に咲く花(No.93 08/05/10)_d0151247_23512778.jpg

 
by weltgeist | 2008-05-10 23:51


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