人気ブログランキング | 話題のタグを見る

マイクロソフトの野望(No.22 08/02/14)

 マイクロソフトのビル・ゲイツがMS-DOSをひっさげてコンピュータの世界に登場したとき、我々はその斬新さに驚き、興味津々でDOSを使ったものである。多くの日本人と同じくPC98からスタートし、DOS-Vに移行した小生、MS-DOSの使いにくさに文句を言いながらも、何とかそれを使いこなそうと徹夜でパソコンと格闘したのが懐かしい。今と違ってパソコンのメモリーなんか、64kb(メガバイトではない、キロバイトだ)しかない貧弱なものを、EMSという方法で拡張して使っていた。DOSコマンドで64kbのメモリーをものすごい速さで輪切りにし、映画の連続コマのようにメモリー領域を増やす方法である。いちいちコマンドを打ち込まねばならないDOSは使いにくく、マックを使う人が羨ましくて仕方がなかった。だから、ウインドウズが初めて出た時はビル・ゲイツを絶賛し、新宿のカメラ店に深夜並んで購入したものである。
 そんなマイクロソフトが最近ヤフーの買収を始めたことで話題になっている。MS-DOS以来、ずっとマイクロソフトを使っている身としては、またか、という思いが強い。これまでマイクロソフトはOSを支配していることを武器に、強引とも言える方法で競争相手を蹴散らしてきたのを見ているからだ。代表的なのはインターネットのブラウザだ。Internet ExplorerをOSとセットで販売することで、それ以前から頑張っていたネットスケープを駆逐したことが当時痛烈に批判された。また、エクセルをぶっつけることで、表計算ソフトの定番だったロータス123をも撃破した。OS・ウインドウズを持つ強みでロータス123やネットスケープをプリインストールしているPCメーカーに圧力をかけ、ライバルをけ落としたと噂されているのだ。
 こうしてブラウザはInternet Explorer、表計算はエクセル、ワープロはワードという、マイクロソフト王国が世界中で完成したのである。しかし、それはいびつな王国である。なぜなら、マイクロソフトが全てで勝利したと言っても、ソフトが優秀だからではないからだ。日本語ワープロである一太郎・Atok の日本語変換能力はワード・MS-IMEの比ではない。抜群の使い易さなのに、マイクロソフトの強引なやり方で、ネットスケープやロータスと同じようにAtokが葬り去られようとしているのは残念だ。最終的にユーザーは馬鹿なMS-IMEの日本語変換に悪態をつきながらも、それを我慢して使うしかなくなるのだ。
 そこまでして大きくなったマイクロソフトは何処へいくつもりだろうか。今回のヤフー買収でマイクロソフトはヤフーのためにも、また我々ユーザーの利益にもなると言っているが、もし一般ユーザーの利益を言うなら、リナックスのようにウインドウズのソースコードを公開して、もっと安い値段で販売するのが筋ではないだろうか。
 恐竜はその体が大きくなりすぎたゆえに滅びたと言われている。ヤフーまで手に入れて巨大になりすぎれば、マイクロソフトは逆に衰退して行くこともありうるのだ。ここまでグローバルになったなら、相手のことも考える必要がある。独り占めした者は、結局、最後は食いつぶす相手もいなくなり、自らの生存基盤そのものを失うのである。
by weltgeist | 2008-02-14 23:54


<< チャングムの誓い(No.23 ... 人は変わることが出来る(No.... >>