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ワーファリン服用者の白内障手術、その2 (No.2097 16/02/01)

 昨日の白内障手術は本当に怖かったけれど、初日はとにかく切り抜けた。そして翌1月21日朝一番に眼帯を外してもらう。はたして目はどのようになっているのか。ガーゼを外したT先生は手術した目を見て「申し分ない。バッチリだ」と言ってくれた。どうやら無事成功したようだ。まずは薄目を開けると、これまで悩んでいた目のぼやけがなくすっきり見える。
 だが私の場合はこれで終わりではない。ワーファリンによる出血が心配である。恐る恐る鏡を見ると、真っ赤に充血したウサギの目になっているではないか。それでもT先生はしばらくすれば出血も止まり、普通の白目に戻るという。
 そして翌日、右目の視力検査をした。手術前は0.7で、次の運転免許更新時に眼鏡使用になるヤバイ状態であったが、右目を計ると1.2にレベルアップしているという。なんと0.7まで悪化していた目が1.2と良くなっているのだ。そして驚いたのは、今まで老眼鏡をかけなければ見えなかった新聞が眼鏡無しで読めるようになっていたことだ。白内障で老眼は治らないと聞いていたが、実際新聞が読めるのだからこれはすごいことである。
 私の場合右目は大成功だったと言える。手術は怖いけど、こうなると左も頑張るしかないだろう。翌週の1月27日、残っていた左目の手術を受けた。前の週に右目をやっているから慣れているだろうに、やはり目をメスで切られるところで猛烈な恐怖があった。体が硬直し、思わず「神様助けてください」と小さな声で叫んでしまうほど意気地のなさである。
 それでも30分ほどで終了。前回と同じようにガーゼの眼帯を付けられて、翌朝外す。そしてその翌日視力測定したら、左目も1.2に改善されているという。ただし、左目の出血は前回以上で、ほとんど真っ赤状態である。でも最初の右目はかなり出血が収まってきているから、左目も次第に戻ってくることだろう。
 かくして私の白内障手術は、両目成功ということで終わった。しかし、それにしても私がここまで怖がったのはなぜだろうか。後で友人の眼科医・Uさんに聞いたら、白内障の手術は簡単なのに、なぜかヒゲを生やした男は怖がると言っていた。私はUさんの意見に異論はない。自分は結構度胸はある方だと思っていたが、今回どうしようもない臆病者であることが分かったのである。それもヒゲを生やしているからだろうか。
 終わって見れば手術は確かに簡単ではあった。目を切るのに痛みはほとんど無かった。しかし、簡単でも、痛くなくても恐怖心は起こる。目をメスで切ることを想像していただきたい。思い出しただけでも怖くなる。これは現実の恐怖ではない。想像力がもたらす精神的な恐怖なのだ。
 私は今回の手術で人間の大きな精神的障害である恐怖心の原因を見る思いがした。恐怖とは想像力、お前の頭が造り出した物であるということである。異常なまでの恐怖心を持ったということは、私の想像力が豊かだったということなのかもしれない。負け惜しみだが、「私は鈍感な人よりずっとセンシティブな想像力を持っている」と自らに言い聞かせることで、恐かったこの二週間を総括しようと思っている。
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Lucas Cranach der Ältere / Porträt Johann der Beständige von Sachsen (detail) / C.1526 / Kunstsammlungen, Weimar. ルーカス・クラナッハ 父 画、ザクセン選帝侯・ヨハン不変公の肖像(部分)、ワイマール国立絵画館蔵。前回のビーナスと同じく、クラナッハの描く人物は、どれも目に独特の力強さがある。ヨハン不変公の目は白内障とは無縁なようだが、彼は立派なヒゲを生やしている。Uさんが言うようにヒゲを生やした男は白内障の手術を怖がる傾向があるというから、こんな強そうな顔をしていても、もし彼が手術を受けたらきっと顔に似合わず怖がったことだろう。
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by Weltgeist | 2016-02-01 23:56


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