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中国幻蝶探索紀行9、食草探し (No.2010 14/08/04)

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 今朝も目が覚めたら雨が降っている。しかし、甘孜に来て次第に分かってきたのはこの地方では朝は必ず雨だが、昼間になると晴れ間が出るということだ。昨日は雨が上がるのを待って遅く出発したため公安の道路封鎖で身動きがとれなくなった。今朝は昼は晴れることを前提に午前7時に出発した。公安が道路封鎖する前の早い時間に通り抜けようという作戦である。
 ホテル中庭に兵隊がやってくるのは午前8時過ぎである。彼らが来る前に甘孜を出て、4000mの峠を越えて、今日は北の白都方面を探って見ることにしたのである。狙いはばっちりで、道路封鎖もなく峠を越えるところまで順調に来ることができた。しかし、草原状になった峠の向こう側に見える5000m以上の山々にはまだ朝が早いからか、雨雲が残っていた。
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 巨匠の話だとチベットウスバは標高が3500mくらいのところにいるという。それで標高が高すぎる峠付近は可能性がない。500mほど下っていく必要があるのだ。地図の等高線を頼りに3500mラインまで下がって行くと、良さそうな雰囲気の場所が現れてきた。

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 車を走らせながらときどき周囲の斜面でチベットウスバの食草であるまんねん草を探す。小生より4つ年上の巨匠は、年齢を感じさせない軽やかな足取りで斜面を登ってまんねん草を探すが、これが思いの外見つからない。食草がなければその場所はチベットウスバの生息地ではないと判断してどんどん進んで行く。

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 すると急な斜面にへばりつくようにこんな集落が出て来た。よく見るとそのなかにラマ教の立派な寺院が建っている。わざわざ急斜面に家を建てるというのはカシミールでも見たチベット人特有の生活スタイルである。

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 部落の入り口付近にある民家の外壁には燃料に使う家畜の糞がぺたぺたと貼り付けてある。丸くきれいに糞を家の壁に貼り付ける風習は日本にはない。いかにも過酷な地で暮らす遊牧民の生活を感じさた。しかし、一番奥にある寺の門をくぐるとそれらは無くなる。神聖な寺の敷地は家畜の糞で汚すことはあってはならないのだろう。
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 細い路地をさらに歩いて行くと、奥の方に立派な寺院が見えてきた。相当大きな寺院で、地元の人に聞いたら东谷寺(トンクースー)というのだそうだ。スケールも相当大きそうでどうやら格調の高いお寺のようだ。

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 お寺の中に入るとすごい数の仏像があちらこちらに飾られていた。内部の作りも装飾も、また仏像の数もすごい。有名なラサのポタラ宮を知っている巨匠の話では、この东谷寺の方がずっと見応えがあるとのことだった。寺院を見学していたら、この寺院の僧侶がついてきてひとつひとつ説明してくれる。小生には言葉が分からないのでコアな部分は理解出来なかったが、相当歴史がある由緒ある寺院であることは分かった。
 この場所は百人以上の僧侶がお経を上げることができる所らしい。カラフルな飾り付けは日本のお寺とは全然違っていた。こんな場所が寺院内部にいくつもあるのだ。注目したのはここでダライ・ラマの写真が飾られていたことだ。一般にダライ・ラマの写真など持っていると当局からにらまれるのだが、ここではそれも許されているのか、あるいは公然と反発しているのかは分からなかった。

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 东谷寺の見学を終えて、再び食草探しを始めたら、寺院のすぐ近くでついにチベットウスバの食草・まんねん草を見つけた。まんねん草はキリンソウの仲間で日本にもあるが、当地では岩がゴロゴロした場所に生えている。
 これがあるということはもしかしたらこの付近にチベットウスバがいるかもしれない。しかし、残念ながらこのときはまだ小雨模様で仮にチベットウスバがいても飛びそうもない天気だった。我々はこの場所をチェックポイントのひとつとしてマークし、晴れたら次回に探ってみようということで次の場所に移動した。

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 この日、午後になって晴れ間が出て来た。ここも巨匠が「可能性があるぞ」とひらめいた場所である。小さな沢沿いに登って行くと、やはりまんねん草が出て来た。しかし、チベットウスバは飛んでこない。たまに白い蝶がいるが、よく見るとミヤマシロチョウの仲間である。

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 実は今回チベットウスバ探索で一番目に付いたのがこのミヤマシロチョウ。あるところでこのような集団になって吸水していた。これが全部チベットウスバならもう言うことがないのだが、この日見た白いチョウチョは全部これだった。今日は全部で10カ所ほどポイントを回ったが残念ながらチベットウスバはまったく姿を見ることが出来なかった。

以下続きます。


by Weltgeist | 2014-08-04 23:50


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