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中国幻蝶探索紀行7、チベットウスバシロチョウ生息地へ (No.2008 14/08/02)

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 今日からチベットウスバシロチョウを本格的に探しに行く予定だが、朝起きたら雨が降っている。雨では蝶も飛ばないからと、もう一度寝なおして8時半ころ起きると、雨はあがっていた。
 ところがホテルの窓から外を見るといつの間にか中庭にこのような集団がいるではないか。彼らが着ている防御用のチョッキに武装警察と書いてある。機関銃で武装した彼らの横には暴徒鎮圧のための盾が並べてある。あとで分かったことだが、インドに亡命しているダライ・ラマがこの日から何かをやっているらしく、当局は我々がいるホテルの中庭に隠れて、チベット人が騒ぎを起こしたら出て行く体勢をとっているのだ。機関銃は脅しではない。暴動が起これば発砲も辞さない緊張した情勢が出現していたのだ。
 この写真は彼らがお弁当を食べて油断しているところを見計らって隠し撮りしたものだが、あとでチェックしたら一番右側の人がこちらを見ているではないか。ヤバイ。もし小生が隠し撮りしたことがバレたら、我々は要注意人物として取り締まりの対象になってしまう。幸いにこのあと何もなかったから良かったが、この程度の写真を撮るだけでもやっとの小生には報道カメラマンは勤まらないだろうと実感させられた。
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 9時半ころに晴れてきたので、中庭にいる兵隊を気にしながらホテルの外に白タクを探しに出ていく。すると例によって砂糖に群がるアリのように運転手が集まってきて、料金交渉が始まった。
 昨日までの経験から、曖昧な口約束だとまた雲助に豹変する恐れがあるので、今日から行き先と1日分チャーター代金をノートに書いて(漢字が通用します)、運転手のサインももらっておくことにした。このやり方が功を奏して以後はトラブルはなくなった。

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 ここが以前巨匠がチベットウスバシロチョウの♀を1頭だけつかまえたところである。しかし、このときのものは翅の鱗粉がはげ落ちて、種類が特定しにくいものだったようだ。日本で何人かの方に見せたら、「本当にチベットウスバシロチョウ? 」と疑問符をつけられて本物と思われなかったらしい。だから、今回こそ新鮮な個体を確保して、「どうじゃ、これがチベットウスバシロチョウだ。文句あるか・・」と言いたいのだろう。もちろん、寡黙で必要不可欠なこと以外何も言わない巨匠だから、そんなげすなことは言わないが、小生は彼がきっとそう思っていると心の内を読んでいた。チベットウスバは右手の斜面でとれたという。

 

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 申し訳ないがこの場所の具体的地名まで明らかにする権限は小生にはない。小生は巨匠に連れてきてもらっただけの人間だから勝手に地名を明かすことはできないのだ。1994年に小岩屋さんが採った場所に近いところというヒントだけで勘弁してもらいたい。(ブログを見て行きたいと思う人は写真を参考に自分で調べてください)
 しかし、パルナシウスという高山蝶は本来乾燥して岩がゴロゴロしたガレ場に生息するものである。この場所は草原のように草が生い茂っていて湿気もある。こんな場所に本当にチベットウスバシロチョウはいるのだろうか。巨匠が1♀をとったと言う場所は、昔と違って環境が変わってしまったようだ。以前は沢山あった食草のまんねん草が全然なくなって他の草が茂っている。餌がなければ蝶は育たない。ここはつぶれてしまったのだろうか。
 この日、午後2時くらいまでこの付近を探り歩いたが、白い蝶はミヤマシロチョウの仲間と思われるものを見ただけで、チベットウスバは影も形も見えない。となるとこれから別な新産地を探さなければならない。
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 ところが場所を移動しようとしたら、突然渋滞に巻き込まれてしまった。山の中で何で渋滞なのか、不思議に思っていたら、公安(警察)が町に入る車を意図的に止めているのだ。朝見た武装警察と連動した動きで、人々が自由に行き来できることを簡単に止めてしまう。
 これが中国のやりかたなのだろう。我々は行くことも戻ることもできないまま夕方まで5時間近く足止めをくらってこの日は終えたのだった。やはり今日も移動が出来ない理不尽なトラブルに出会った。中国は魑魅魍魎の世界であることをますます思わされた一日だった。

以下続きます。


by Weltgeist | 2014-08-02 23:07


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