すると横殴りの雨が容赦なくズボンなどを濡らしてくる。傘も役にたたない嫌らしい雨に気分はブルーになっていく。不要不急の用事がない限り、外を歩くのはごめんな悪天候なのだ。こんな日は家のなかで本でも読んでいるに限ると、そのあとお昼過ぎまで本を読んで過ごしていた。しかし、雨は一向にやみそうもなく、このまま降り続けるとどこかで土砂崩れでも起きそうな勢いである。 ところが2時を過ぎた頃急に雨がやんで、しばらくしたら青空さえ見えてきた。外の庭を見ると雨で濡れた木や蜘蛛の巣についた水滴がキラキラ光っている。最初、それをボーッと眺めていたのだが、しばらくして急に何かがひらめいた。 小生に写真を教えてくれたW先生が、口癖のように「人が尻込みする悪天候のときこそシャッターチャンスがある」と言っていたことを思い出したのだ。そうだ、滅多にないこうしたときこそ写真を撮るチャンスではないかと思い、60㎜のマイクロレンズを付けたカメラを持って庭に出てみたのである。 ちょうどその頃から太陽も出て来て、葉っぱに着いた水滴は強い太陽の光で輝きを増し始めていた。蜘蛛の巣についた雨粒はダイヤモンドのように輝き、ナンテンの白い花には無数の水滴が微妙なバランスで乗っていた。雨上がりの太陽はほんのひとときだけこれらの上に光のシャワーを降りそそぎ、最高のシャッターチャンスを与えてくれていたのである。 だが、それから30分もしないうちに太陽は再び黒い雨雲に隠れ、水滴の輝きも急速に失われていった。梅雨の空模様は気まぐれなのだ。しかし、風光明媚な有名観光地へ行くこともなしに、小生は自らに与えられた最良の瞬間を我が家の小さな庭の中でほんのひとときだけ経験できたのである。
by Weltgeist
| 2014-06-12 22:50
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