少し前のニュースで今年の春はカツオが獲れないと騒いでいた。どうも黒潮の流れが変わったようで、いつもの漁場にカツオがいないらしい。「目には青葉、山ほととぎす、初ガツオ」の通り、春にカツオを食べられないのはさみしい。遠い外国の海にカツオは健在かもしれないが、冷凍の難しい魚だから日本近海で獲れないととたんに高価な魚になってしまう。それで今年は庶民には高嶺の花となったカツオを賞味するのは難しいかもしれないと思っていた。
ところがその後漁獲量が回復したのか分からないが、昼間買い物に行った奥さんが、カツオを1尾、まるまる買ってきた。彼女の話だと、いつも行くスーパーの鮮魚部でカツオ1尾が2400円で売られていたが、これは専属の魚屋さんが三枚におろしてくれる料金を含んだ値段である。自分の家で調理するから安くしてと言ったら2000円にしてくれたと言う。400円分自分でおろすことでまけてくれたのだ。 それでもカツオ1尾が2000円というのが高いのか安いのか分からないが、我が家では基本的に魚は丸ごと1尾ずつ買うようにしている。結婚した当初は魚の処理など何も出来なかった彼女だが、釣り師の女房になってすっかり魚の処理を覚えた。海川でほぼ毎週のように小生が新鮮な魚を釣ってくるうちに彼女が魚のおろし方を覚えてしまったのだ。今では出刃包丁を小生より上手に扱って、魚をさばいている。魚は1尾丸ごと買って家でさばくのが我が家の流儀となっているのである。 我が家では頭や中落ちも食べることができるが、スーパーの店員さんにおろしてもらったならこれらは「商品にならない物」として捨てられるのではないだろうか。もったいない話である。1尾丸ごと処理できれば、中落ちや頭の部分も煮付けや塩焼きでほぼ全部をきれいに食べることができる。せっかく命をくれたものだもの、少しだって無駄にすることはできない。そうやって食べてやれば命を落としたカツオは我々の血となり、肉となっていくのだ。小生はカツオに感謝しつつ本日の恵みを賞味したのである。
by Weltgeist
| 2014-06-09 23:25
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