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大雪です (No.1904 14/02/08)

 4日前、雪が降ったらたいへんだと書いたら、意外に少雪でホッとしたのもつかの間、今日は20年ぶりの大雪である。朝から一日中雪が降り続き、都心でも午後7時現在22㎝になったという。雪はいまも絶え間なく降り続いていてやみそうもない。家の中から窓越しに見ると、無数の白い雪の粒が遠い天から舞い降りて地面にどんどん積もっていく。あたり一面が白一色の銀世界に変わり、スキー場に来たような雰囲気になったのである。
 そんな雪降り風景を暖房が効いた部屋から何か別な世界の出来事のように眺めていた。外はものすごく冷たい雪と氷の世界だが、こちらはポカポカと暖かい快適そのものの別天地である。こんな悪天候から我々を守る暖かい家があるのはありがたい。凍えることもなく外の景色を美しい雪の情景として観賞できるのだ。

 雪が降るシーンは美しいけれど、なぜかもの悲しく感じる。しんしんと降り続く雪の中に自分が立たされたらどんな気持ちになるだろうか。あまりに冷たすぎる世界に自分が放り込まれることを想像したら、他の人から引きはがされた孤独感に打ちのめされることだろう。早く暖かい家の中に入りたいがそれができない。自分は皆から見捨てられて心底ひとりぼっちなのだと絶望するのではないだろうか。
 シューベルトの作曲した「冬の旅」の最後、凍った冬の寒村を聴く人もないまま楽器を鳴らして裸足で歩く辻音楽士の悲しい姿を連想してしまう。誰からも暖かい手をさしのべられないまま、孤独のなかで静かに凍え死んでいく寂しき旅人を・・・。
 天を仰げば灰色の空から雪の小さな粒が止めどもなく降ってくる。それは身を守る暖かい服も靴もなく寂しく死んでいった辻音楽士の凍った涙であろうか。遠くに見える家の窓には明るい灯がともっている。そこには暖かい団らんと笑いがあるのに、今の自分はその光の輪に入れない。晴れやかな明るさから見放された寂しい孤独の中に放り出された自分を連想するのである。

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by Weltgeist | 2014-02-08 23:54


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