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爺さん婆さんのより良き老後 (No.1853 13/12/10)

 今年71歳になった小生は世間一般の年代ランクからいうと「老人」の段階に入れられてしまう。「おれはまだ若いんだ。年寄り扱いするな」と言ってみたところで犬の頭吠え。老人というランク付けが変わるわけではない。じたばたしてももうお爺さんだから、おとなしくその現実を受け入れるしかないだろう。
 小生より5~6歳若い団塊の世代の諸氏もそろそろ年金受給資格を得て、実社会からは足を洗っているのではないだろうか。いわゆる爺さん候補のリタイア組だ。リタイアという英語は優雅なお金持ちのお気楽生活と世間様には思われているふしがある。しかし、実際は「社会からそろそろ消えたらどうでしょうか」とお払い箱の宣告を受けただけのことである。
 リタイアしてなくなるのが今までやってきた仕事だ。ごく一部の幸運な人は定年を過ぎても長く会社に残っていられる。しかし、それは少数派で、普通は少し程度を落として(当然ながら給料も減る)アルバイト的な仕事をやらされるようになり、やがてはそれもなくなる。完全に無くなるのがちょうど小生の年代、70歳くらいからだろう。こうして老人入りした人は本当の意味で退職、職を退くのである。
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 爺さんになって仕事もなく家でぶらぶらしていると、暇な時間をもてあますようになる。高額な年金で老後が心配ない人なら何かの趣味を楽しむことができる。しかし、一方で年金も無いか、あってもお涙金だけの厳しい人もいる。人は様々である。
 上を見ればきりが無いし、下を見ても同じである。そう考えれば貧富の差異などさして大きな意味を持たなくなるだろう。お金があって優雅に過ごせる人が必ずしも幸福であるわけではないし、貧しい人が不幸であるとも限らない。
 問題はリタイア後の人生をどのようにしたらより良く生きられるかである。まずは与えられた自分の状況を「これがおれが築いた実力の結果」と受け入れることである。上を見て不満を感じず、下を見て奢らないことだ。そして、深呼吸して、自分が歩んで来た人生の道のりを少しずつ回想してはどうだろうか。自らの歩みを振り返ることは、人生の意味を教えてくれる契機となることだろう。
 爺さんが持っている特権とは、若者と違って自らに残された未来が短いことだ。それゆえに人生のおぼろげな全体像を見通すことができる。苦しかったこと、楽しかったこと、うれしかったこと等々、あらゆることを乗り越えて来た今になってもう一度総括的に考えることができる。そうすると自分の人生で起こったすべてのことが、こんにちの自分を作ってきたと悟れるのだ。爺さん婆さんの段階になったとき初めて人生を総括してその意味を見つけることができるのである。年をとることは必ずしも悪いことではないのだ。
by Weltgeist | 2013-12-10 23:57


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