立食・バイキング形式の食事だと小生のように育ちの悪い人間はすぐに地が出てしまう。全部はとても食べきれない量の料理を皿いっぱいとって、最後は腹パンパンになってギブアップする。バイキングはどれもおいしそうに見えて、「これも食べたい、あれも食べたい」状態になって、どうしても食べ過ぎてしまうのだ。
でも、たくさん並んだ料理の中には、うまいものもまずいものもあり、その違いが食べてみないと分からない。だからおいしそうに見える物は最初に手当たり次第に皿にとって試してみるしかない。それで良かったらお代わりでおいしかった物だけを重点的にとろうと思うのだが、いつも最初の試し取りでたくさん取りすぎて腹がいっぱいになってしまうのが小生の悪い癖である。 ここまで皿に盛ってくるには周囲のまなざしをある程度無視しないとできない。痛いほどの軽蔑視線を感じても、我関せずの鉄面皮を押し通さないとバイキングで満足することはできないのである。他の人だってどうせ同じ穴の狢(むじな)と思ってガバガバ取ればいいのだ。 しかし、我が家にはもう一人厳しい批評家のお方がいる。彼女が小生の山盛りになった皿を見る目は、極めて冷たく、「なんて育ちの悪い人なんでしょう」という顔をする。その顔を見ると一瞬たじろぐが、それでも食い意地の要求は捨てがたい。「かまうものか、俺は食べたいのだ」と思い、あたりにひんしゅくの種をまきつつ皿を持って料理が乗せられたテーブルを徘徊するのである。 あと二週間もするとサンクスギビングデーのターキーパーティが開かれる予定がある。昨年も小生は皿にたっぷりターキーを入れてガツガツ食べてしまった。あのときは食べ終えた後に周囲の視線に気がついて急に恥ずかしい思いをしたのだが、きっと今年も変わらず同じことをしでかすはずである。体に染みついた育ちの悪さはそう簡単には抜けないのだ。
by Weltgeist
| 2013-11-04 23:48
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