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猫も人間も贅沢になるばかりだ (No.1695 13/05/09)

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猫も人間も贅沢になるばかりだ (No.1695 13/05/09)_d0151247_21452357.jpg 連日猫の手も借りたい忙しさだが、わが家の猫・イライは助け船になるどころか手間ばかりかかるいたずら者で困ってしまう。最近は以前ほど噛みつくことは少なくなったが、それでもときどき暴れ回ったり、わがままをして我々を困らせている。
 人は成長すると賢くなる。しかし、猫は次第に贅沢になってくるようだ。あまりに激しいイライの食欲に餌代がかさんできたから、以前より少し安い猫缶を与えてみた。するとそれには見向きもしない。腹が減ったらそのうち食べるだろうと放っておいたが絶対食べない。「こんなまずい缶詰など食えるか」という態度で以前の猫缶を出してくれるのを待っているのである。
 一度知ってしまった蜜の味は忘れられないのだ。おいしいものを経験したらそれが出て来るまで猫は妥協しない。小生のように生きるためなら何でも我慢するのと違って、まずい物は絶対食べない贅沢な猫になってしまったのである。
 しかし、これって現代の若者たちにも共通した傾向があるのではないかと気がついた。厳しい就職難に若者は就活で必死だが、それは誰もが安定した大企業を目指すからで、会社の規模や職種を選ばなければ働く口はあるはずだ。実際には職が無いとさ迷う若者がいる反面、人出が足りないと困っているところもある。産業界のミスマッチはいまも続いているのである。
 しかし、安いエサを拒むイライと同じで、不人気な職種に若者は目を向けない。一般論として就職口がなければ、ランクを下げればいいのに、これが自分自身のこととなると話は別となる。総論賛成、各論反対である。でも追い詰められてくると背に腹は代えられないから、最後は「仕事があるなら何でもいい」ところで落ち着く。こうしてミスマッチは多少緩和されるのだがあとあとまで問題は残る。
 ハッピーな仕事を選べたわずかな人を除けば、仕事にたいする不満が次第にわき起こる。最初は働けるだけでもありがたいと思えたのが、給料が安い、仕事がきつい、将来性がない等々、様々な不満が鎌首を持ち上げてくるのだ。小さな不満が次第に大きくなって、我慢できない若者はせっかく得た職場を辞めていく。
 それはイライがおいしい餌が出て来るまで餓死しそうになっても待ち続けるのと同じ発想である。イライは最終的には餓死する前に嫌々ながらも飽きてきた猫缶を食べるが、人間はそうもいかない。なぜなら人間には自尊心があるからだ。「俺はこんな仕事で一生を終えたくない」と思えば辞めて新たな道を探すしかないのである。
 イライには「お前は贅沢だ」と言えるが、仕事に納得できていない若者に同じように「贅沢なわがままだ」といえるのか。小生には分からない。実際、仕事なんてそんなに面白いものではない。多かれ少なかれ不満があっても我慢してやっていくうちに仕事の面白さが分かってくるものである。だから一般論としては頑張って我慢せよとエールを送りたい。
 しかし、それはまともな職場であるからで、正社員という看板につられて入社したら、名ばかりの正社員で散々酷使されたあげくに使い捨てされるブラック企業なんてこともある。一概に不満を言わずに頑張れとも言えないのだ。本当にむずかしい問題である。
by Weltgeist | 2013-05-09 23:57


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