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顔認識で人はあぶり出される (No.1675 13/04/19)

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 ボストンの爆弾テロ犯人について警察は写真のような画像を公開した。犯人を見つけるのに顔認識という技術が使われたようだ。沢山の人間の中から特定の人物の特徴をコンピュータで浮かびあがせる技術である。たとえば顔の骨格や目、鼻、口など身体的特徴をデータ化し、それと一致する人物の映像を選びだす。現場付近で不審な動きをした人物をピックアップして、顔認識で選んだ映像から犯人を特定できたのだろう。その成果がすぐに出たのか、本日夕方(日本時間)には早くも犯人を追い詰めた警察によって一人が射殺されたようだ。
 顔認識を使えば手配中のテロリストがカメラの前を通っただけですぐに検知してくれると言われている。多数の群衆の中から危険人物を探し出したり、無数にある町の監視カメラのデータから犯人と推測される人物の映像だけを拾い上げることが簡単にできるのである。人が沢山通る駅の改札口に指名手配犯の検知データを入力したカメラを設置して犯人逮捕に役立てるなんてことも可能である。
 こうした顔認識の技術はデジカメ技術からの転用である。レンズを通して撮影された絵はR(レッド)G(グリーン)B(ブルー)という光の三原色の画像データとなり、カメラに組み込まれた画像処理エンジン(コンピュータ)がきれいな写真画像としてくれる。犯罪捜査はこの画像データを顔認識技術に転用することで、特定の人物の検索手段として使うのである。
 いつもあまり深く考えることなく使っていたカメラが、今回の事件で思いもしない方面で使われていたことに気づかされた。そういえばカメラにも顔認識の機能がついていることを思い出したのである。カメラを被写体に向けたとき、カメラが自動的にサーチして人の顔の部分にフォーカスポイントを合わせてくれる機能だ。
 今のデジカメでは動いている人物でも顔認識から動きに合わせてフォーカスポイントが移動してくれる。カメラの方で自動的にピントピッタリに合わせてくれるわけで、誰にでもミスの少ない写真が撮れるようになっているのである。
 小生が写真を始めた50年以上昔、ピントはマニュアルで合わせるのが当たり前で、それからしばらくして登場した「オートフォーカス」をプロはみな馬鹿にしていた。あんなものでピントを合わせるなんてとんでもない。フォーカスは絶対マニュアルに限ると思われていたのである。
 そんな時代をくぐってきた小生は、今でもオートフォーカスを使うと、何か後ろめたい気持ちになる。オートは素人が使うものという思い込みから抜けきっていないのだ。だが、先月買ったばかりの新しい一眼レフカメラのオートフォーカスを使ってみて、馬鹿にできないほどピント精度が出ていることに驚いた。もはや写真の世界では誰もがプロと同じレベルのピントの合った写真が容易に撮れるようになっているのである。
 FBIの素早い操作で犯人を割り出したのと同じで、技術は恐るべき速さで進んでいる。もはや古きマニュアル信仰は陰を潜めるしかないようである。
by Weltgeist | 2013-04-19 23:43


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