本日期待のワールド・ベースボール・クラシック、日本はプエルトリコに負けてしまった。8回に点が取れて追いつくところまでいったのに、このあと走塁ミスがあって一塁走者がアウトになったことが惜しい。ワンナウト一塁二塁でピッチャーが投球したスキを盗んで一二塁走者が一斉に走り出した。ところが、二塁走者が三塁まで進むのは無理と判断し、二塁に戻ってしまったのだ。しかし、一塁を飛び出しすぎていた走者は行き場を失ってアウトになった。結果としてこのミスがたたって、日本は決勝まで進めないで敗退したのである。
テレビで解説者がこの失敗はダブルスチールのサインを見間違えたのではないかと言っていた。しかし、気の毒なのはアウトになった一塁走者だ。「全ての原因は自分にある」と思い込んでいるような悲しそうな顔をしていた。その打ち沈んだ選手をテレビが「戦犯はコイツだ」という感じで何度もアップで撮っていたのはいただけない。 テレビで見ている我々視聴者の立場も複雑だ。彼がミスしなければ同点に追いついて最後は勝てたかもしれない。しかし、彼を責めるのは酷である。勝負は勝つ者がいれば負ける者もいる。敗者になったとしてもそれは仕方がないことではないか。 ここでミスの原因を追及することは重要だが、「あいつがミスさえしなければ勝てた」と責任論まで発展することは勘弁してほしい。わずかな油断が重大な失敗を起こすことは誰にでもありうることである。自分の過去を振り返ってみても、「あのときこうしていれば」と悔やむ事件の一つや二つ誰もが持っているはずだ。それを一つ一つ厳しく追及されるのはつらい。 悪夢は忘れてしまいたいが、心に刻まれた傷の深さが容易にはそれを消し去ってくれないだろう。しかし、仕方がない。やってしまったことはもう修正できない。甘んじて受け入れるしかないのだ。 失敗した人をなじるのではなく、彼を暖かく受け入れてやることである。人は誰も間違いを犯す。しかし、次はミスしないように学習して成長して行くのである。ミスした選手はきっと悔しくて心がかきむしられるくらい痛みを感じていることだろう。それだけでもう十分。ミスが名選手を育むのだ。我々は痛みを共有することで彼を暖かく迎えてあげる。そうやって良い選手が育っていくのである。
by Weltgeist
| 2013-03-18 23:55
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