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怒濤のように襲う買い換え需要 (No.1572 12/12/26)

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 23日に会ったRさんの息子が欧州を旅行中で、彼が撮った写真をフェイスブックに載せているというので見せてもらったら驚いた。小生が持つニコンの一眼レフデジカメ、D300とは別物の映りをした写真を掲載しているではないか。これが最新の高画素一眼デジカメで撮ったものなら分かる。彼が持つのは2万円弱のコンデジだという。カメラやPCは進化速度が非常に早く、数年で旧製品は陳腐化すると言われているが、4年前にニコンのフラッグシップD300がコンデジにも負けるほどになっていたのである。ここまで旧製品が置いてけぼりをくっているとはショックだった。
 だが、驚くのはまだ早い。Rさんは息子のフェイスブックを薄い iPad のような端末で見せてくれた。iPad に似ているが、見た感じはもう少し小さく薄い。これは iPad mini なのだという。ITに詳しい皆さんならとっくにご存じだろうが、小生 iPad mini を見るのは今日が初めて。その小ささと画像の鮮明さ、ネットサーフィンからメール、スカイプまでできるパソコン並の機能を小さなパネルに収めている進化ぶりにまたまた驚いてしまった。時代は驚くべき速さで進行していて、自分はその流れを読めず、置いてけぼりをくっていたのである。
 しかし、今の小生には新しいカメラやiPad を買う余裕はない。そこで自分を納得させるために、急遽次のような負け惜しみを考えることにした。よりシャープに映る写真を撮りたければ最新のカメラに買い換えなければならない。でも、古いカメラでもクオリティは多少落ちても写真は撮れる。適当なところで妥協すれば、新しい物に買い換える必要性もない。20年前、フイルムカメラを使っていた人たちは、デジタルなど無くても楽しく写真を撮れていたではないか。気は持ちようだと自らに命じたのである。
 それなのに人は新しい物を買い換えなければならないと思わされている。我々は進化とか発展という言葉に踊らされていて、不必要に物を買いそろえているのではないか。最低の衣食住が確保されていれば、物など無くても人は生きて生ける。負け惜しみでもそう思いたい。しかし、そう自分に言い聞かせようとしてもなかなかうまくいかない。最新のカメラや、iPad を見ると、それがどうしても欲しくなってしまうところに人間の弱さがあるのだ。
 折しも、数日前、20年以上使っていた食卓の椅子が壊れて買い換える羽目になった。ところがその翌日には今度はガスヒーターが調子悪くなってきた。東京ガスの人に見てもらうと、もう11年も使っているから買い換え時だという。今年の春にエアコンを買い換えたばかりなのに、こうして次から次へと買い換えが起こってくる。
 買い換える必要はないと頑張っても、津波のように古い物が壊れ新しい物を買い換えろと精神的な脅迫をしてくるのである。そんなことを考えると、やはり進歩は人を幸福にはしない。むしろ蟻地獄のような欲望の巨大な渦の中に、ジワジワと引き込まれて次第に不幸になっていく気がするのである。
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by Weltgeist | 2012-12-26 22:58


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