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気ままな旅人 (No.1533 12/11/15)

 昨日の野田首相を見ていたら、自分のやりたいことが周りからああでもない、こうでもない、と言われ続け、八方ふさがりになって最後はキレてしまったような印象を受けた。政治家はそれぞれが自分なりの主張を持った個性の強い集団である。それが勝手に自分を言い張っただけなら物事は決まらない。どこまで行ってもまとまらず、先送りを繰り返す曖昧なままで終わるだろう。
 そんなとき、「ええい、うるさい。オレの好きなようにやらせてくれ」とわめきたくなる気持ちも分かる。自分の行動を色々な理屈を付けて縛ろうとする人たちを無視して好きなように振る舞えたらどんなにいいだろうかと思うのだ。だが、普通の人間はそんなことはできない。人間はどこかで縛っておかないとすぐに脱線してとんでもないことをしでかす節操のない存在である。あの孔子でさえ、「心の欲するところに従って矩(のり)をこえず」と言えるようになったのは70歳になってからだ。若いうちにやりたい放題なんてとんでもない話なのである。
 それでも人から干渉されないで自分の思う通りに生きられることは誰しものあこがれである。しかし、現実にそれを実行するとなると種々の制約を受けて結局は我慢しなければならなくなる。家庭を持つパパは一家を養うために働かなければならないし、幼い子供を持つママは育児を放棄することは許されない。常識的な人は気ままをあこがれても無理なのだ。そうやってストレスをため込んで行くしかないのである。
 下の写真の人は以前一度紹介したことがあるが、アメリカ、ユタ州ザイオン国立公園で会ったまさに自分のやりたいことを実行している「気ままな旅人」であった。フロリダのキーウエストから愛車ハーレーに乗って 4ヶ月、総走行距離13,000マイル(20,800㎞)も走った Nomad ノマド=放浪の旅を続けているという。
 仕事はどうしたのか、旅をする資金は、ハーレーはどうやって買ったのか、等々数々の障壁があったろうが、彼はそれをクリアーして旅に出て来たのだろう。現実の重みに押しつぶされている自分は、彼がとてもうらやましいと思う。いつも社会生活と自分の欲求との兼ね合いを問われている小生にはあこがれの人でしかないのである。
 昨日、野党から「嘘つき」と攻められて「それじゃ解散します」と言った野田首相は、そうしたもろもろのことを吹っ切って決意を言い放った。最後に自分の信念を言えた彼の心境は、恐らく本日の空のように秋晴れだったろう。
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by Weltgeist | 2012-11-15 22:25


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