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写真を撮る楽しみ (No.1499 12/10/04)

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 ヨーロッパへ行くとこういう彫刻が沢山あって撮影することが楽しくなる。日本と違って教会や美術館の中でもカメラ撮影には大らかなところが多く、うるさいことも言われずに自由に撮影することができる。もしヨーロッパへ行く機会があれば町中に沢山あるこうしたものを撮ってくることをお勧めしたい。ただし、美術館の中などはフラッシュと三脚使用禁止が大半なのでほとんどが手持ち撮影となる。だが、最近のデジタルカメラはISO感度が3200とか、6400といったフィルム時代には考えられないほど感度をあげることができ、暗くて光が弱い場所でも手ブレ無しで撮れる。暗いカテドラルの中といった厳しい条件でも自分のイメージした構図で写真を撮ることが可能だ。
 上の写真は2006年に小生が初めて買ったデジタルカメラ、ニコンD70で撮ったもので、今の先進的なカメラに比べるととても貧弱なスペック(多分画素数は800万くらいだった・・・)しかないものだが、それでも撮影者の意図したものを満たす能力はあった。ただし、この写真はデジタルカメラの悪い癖がはっきり出ていて、白と黒のコントラストがつきすぎている。暗いところは真っ黒につぶれ、明るいところは色が白く飛んでしまっていることだ。その上、感度をあげたので、ノイズ(ざらざらした感じ)まで出ている。
 恐らく最新の優秀なデジカメなら、こんな風にはならないだろう。しかし、ここが写真の面白いところでもある。コントラストがつきすぎたと思うのは早計である。結果を逆手にとってもっと極端に画像処理すれば、印象の違った写真に仕上げることもできるのだ。写真とはあるがままの現実を写し取るものではない。むしろ自分が受けた印象を切り取るものであるから、得られたものを自分のイメージに仕上げて初めて完成する。
 女性でいったらスッピンの顔ではなく、お化粧して美しく変身した顔で撮ってあげることである。カメラマンの中で「女性専科」という人がいる。女性を撮らせたらすごくきれいに撮るカメラマンだ。彼らはモデル自身も気がつかない美しい面を引き出すから人気があるのだ。決して本物の顔では無い、嘘かもしれないけれどそれでいいのだ。
 要はカメラマンの感性で「これが美しい」と思ったものを引き出して撮る能力に長けているから「女性専科」になれるのである。それは画家と同じである。青い鹿児島湾の向こうに桜島が見えていたとする。そのまま撮れば普通の桜島の景色に過ぎない。ところが片岡珠子が描くと桜島の山肌は炎のような真っ赤に描かれる。これと同じで、自分のイメージをぶっつけるようにして撮るのだ。
 それで失敗したところでどうってことはない。プロが女優の撮影に失敗すれば、もう一度スタジオから女優のスケジュール調整までたいへんだが、アマチュアにはそんな心配はない。バカの一つ覚えのように、いつも決まった被写体を金太郞飴のように撮りまくるのではなく、新たな世界に一歩踏み出す。自分の持つイメージを昇華させて、斬新な撮影を試みることをお勧めしたい。
 写真愛好家の中にはカメラの性能にひどくこだわる人がいる。良い機材を揃えれば良い写真が撮れると錯覚しているのだ。写真はカメラではない。撮影する人のイメージである。だからバカチョンだって傑作は撮れるとここで言っておきたい。
by Weltgeist | 2012-10-04 23:53


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