毎日曜日恒例のY先生の読書会が本日も都内某所で開催された。しかし、今日はいつもと違って先生も生徒である我々もあまり読書会に熱が入らない。というのも、Y先生が御年85歳の誕生日を迎えられたからだ。そして少し日にちがずれるが、Mさんも誕生日。そんなわけで読書会はみんなで昼食を食べるお祝いの会にしようということになり、近くの和食レストラン「鮮の庄」での昼食付き特別読書会となった。
鮮の庄は夜はお酒を出すが、昼間だから酒はなし。もちろん、堅苦しい話はなくてランチを頼んで楽しく談笑となる。まずは先生が誕生日を祝ってくれたお礼を述べた後、自分の歩んできた人生を語る。第二次世界大戦終結の少し前、19歳の時に海軍に入ったが一年で終戦。戦後、京都大学を出て、某商社に勤め、中東各地の支店長を経験したという。ここまでなら普通のサラリーマンでも頑張ればできる。すごいのはこの後で、経済学博士号をとって某大学教授になったことで俄然人生の経路が変わってくることだ。 このあたり転機の経緯をあっさり言っただけなので先生がどのようにして博士号をとったのか分からない。しかし、商社の仕事のかたわらコツコツ勉強したのだろう。それで博士号がとれてしまうのだからすごい。というのも某大学とは、何を隠そう小生が大学院の学生として在籍した大学である。小生は某大大学院修士課程に2年、博士課程に4年も通いながら、ついに博士号はとれず終いだった。ところが先生は、確か十年ほど某大教授を続けた後、経済同友会の何とかという会長から頼まれてどこかの政府機関での仕事をし、さらに別な大学の教授もして現在に至っている。 85歳というのは小生より15歳年上ということである。頭はかくしゃくとしていて、全然ボケていない。69歳にしてすでにアルツの世界に足を踏み入れつつある小生としては、「人間はなぜこのように能力の差がついて生まれるのか」、嘆きたい気持ちになってしまう。多分、小生が今の先生の年齢に達したときには記憶力も定かでなく、親しい友人をみても「どなた様でしたっけ」と馬鹿なことを聞いていることだろう。そう思うと先生は本当にすごい人である。
by Weltgeist
| 2012-04-15 22:09
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