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日本が誇る食べ物・ラーメン (No.1274 12/01/06)

 一昨年、北京に行ったときガイドしてくれた中国人が、自分が一番おいしい食べ物と思うのは日本のラーメンだと言っていた。食の大国、おいしいものがいっぱい揃っている中華料理をさしおいて、日本のラーメンが一番だと中国人が言うのだ。そもそもラーメンは少し前まで「中華ソバ」と言われ、中国はまさに本場ではないか。ところが、今やラーメンは本場の中国から離れた日本で独特の進化を遂げた食べ物になっているのである。
 では本場のラーメン、すなわち中華ソバはどんなものなのだろうか。小生、中国へ行くたびに探しているが、残念ながらいまだ試食できていない。もしかしたら食べているのかもしれないが、中国ではソバの種類が多すぎて元祖中華ソバは分からないのだ。日本ではチェーン店の「幸楽苑」が「中華そば」という名前でラーメンを出している。しかし、残念ながらこれも食べたことがないので、それが昔ながらの「中華ソバ」に相当するのかどうかは分からない。。
 わが家の近くにある「ラーメン屋街道」には数㎞の間に20軒近いラーメン屋が立ち並び、それぞれが自慢の味を競い合っている。こんなに沢山あって過当競争にならないのか気になるが、結構お客がいるから商売にはなるのだろう。ここのラーメン屋で出されるラーメンはもちろん昔の「中華そば」とは別物である。味噌ラーメン、塩ラーメン、醤油ラーメン等々、バラエティに富んでいて、「究極の味」なんてたいそうな宣伝文句を歌っているお店もある。味に絶大な自信をもっているからお客も足を運ぶのだ。こだわりのスープや麺がそれぞれのお店でみんな違い、独特の味を知ろうと20軒近いラーメン屋全店制覇した友人もいる。
 値段的には500円から高くても1000円程度で、ラーメンはそれほど高級な料理とは言えない。昔から中華そば、イコール庶民の安い食べ物というイメージがある。牛丼が300円以下で食べられる時代に、1000円を超えたラーメンは値段が高すぎて、ラーメンそのもののイメージを殺してしまうのだ。
 だからいくら頑張っても値段は頭打ちに抑えられていて、ラーメン屋のマキシム化はあり得ない。庶民の食べ物として世界に認知されるまでになったラーメン、いつまでも気楽に食べられる値段で、おいしい味をそれぞれのお店が切磋琢磨して造り出してもらいたいものである。
日本が誇る食べ物・ラーメン (No.1274 12/01/06)_d0151247_23261072.jpg
 ところで別な道から世界に認知されたラーメンもある。インスタントラーメンだ。フリーズドライさせた乾燥ラーメンにお湯をかけて3分間待てば、暖かいラーメンが食べられる。このラーメンも日本人の発明である。インスタントラーメンの起源は1950年代であるらしい。長期保存がきき、軽いことからアウトドアーでの食材に向いていたと思うのだが、小生が盛んに山登りをしていた50年代後半にはまだ山の食事にまで進出していなかった。当時は高級な食材だったのかもしれない。
 しかし、その後急速に発展し、ラーメンだけでなくウドンやソバも売り出され、山の食料としても欠かせないものとなった。カップに入ったカップラーメンがでてきたのはずっとあとのことで、こちらもまた日本人の発明であるらしい。ラーメンはまさに日本が世界に誇るすごい食材になっていったのだ。
 だが、初期のインスタントラーメンは、おいしい味というにはほど遠いものだった。うまくはないが、生きるためには仕方がない。独身者のお手軽な食事として、若い頃の小生は盛んにこれを食べて餓えをしのいだものである。それが最近のカップラーメンは味もそこそこのところまできている。中に入れるスープや乾燥野菜、エビなどのジフィーズも工夫がされ、非常食のレベルを超えて世界中で食べられるまでになったのである。
 写真はロンドンへ行くブリティッシュ・エアウエイズの飛行機の中で夜食にもらったカップヌードルである。お腹がすいていたからだろうか、これが正規の機内食よりおいしかった。たかがカップヌードルといえども馬鹿にはできない。ここにも日本の底力があると感じたのである。
by Weltgeist | 2012-01-06 23:41


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